ラブをしよう・・・ミスター・サンシャイン6話まで


韓国ドラマ「ミスター・サンシャイン」6話まで視聴。

 

 

「ラブをしよう」
あまりにもベタな記事のタイトルをこのブログで書くことになるなんて、想像もしませんでしたよ。
きっとこのドラマでのきめ台詞になるのでしょうけれども、あまりにもセンスがなさ過ぎて失笑。
I love youを「月がきれいですね」と訳した夏目漱石の逸話のように、もっとひねりを加えれなかったのか?
どうしたキム・ウンスクとつぶやきながら、なぜか「ミスター・サンシャイン」を6話まで視聴しました。
「シティ・ホール」「シークレット・ガーデン」で私を夢中にさせてくれた脚本家キム・ウンスク。
「紳士の品格」「相続者たち」でちょっと首をかしげ、「太陽の末裔」はソン・ジュンギ演じるユ・シジン大尉になんだかんだと夢中になり。
「トッケビ」のファンタジーだけれども、どこかビターで、永遠の愛を求めながらも永遠の愛なんて不可能という突き放したラストにしびれたのですが。
愛は限りがあるから、愛なんだと。
「トッケビ」に関しては、最後までの感想をこのブログでは書いておりませんが、あのドラマは冷静に永遠の命と愛は両立しないことを描いていましたよね。
でもそれが、生きているということなのだと、好きなドラマのひとつになったのです。
そして。
満を持しての「ミスター・サンシャイン」
ドラマ視聴が相変わらず絶不調な私は、全然何も調べずにビョンさま久しぶりの主演のドラマなのね、ぐらいしか知らなかったのです。
キム・ウンスク脚本だと知った時の喜びから、今は・・・
頭の中にハテナがたくさん渦巻いている状態。反日ドラマすれすれな感じもする。

 

 

「朝鮮で生まれたのは事実だが、僕の祖国はアメリカだ。朝鮮は一度も僕を受け入れたことがない」と語るユジン・チョイ(イ・ビョンホン)。
奴婢であるユジンの両親は、大監によって残酷に殺された。ユジンの母は、息子を逃げさせるために大監の嫁を人質として捕らえ、幼いユジンはその隙を狙ってやっと逃げ出したのだ。ユジンは追奴(チュノ)に追われるに身になり、逃亡して陶器職人の家に隠れた。そこでユジンは、職人に自身をかばって欲しいと哀願した。
彼はユジンのことをかわいそうに思い、陶器を買いに来たアメリカ人に「この子を連れていけ。アメリカかどこだか、あなたの故郷に」と押し付けた。ユジンは新しい地、アメリカで新しい人生を始めることになった。ヒロインのコ・エシン(キム・テリ)の両親は義兵として活動していた。エシンの母は、夫が危機に置かれたことを知り、同僚に幼いエシンを預け、銃を撃ちながら抵抗するも、死亡した。父もイ・ワンイク(キム・ウィソン)の手によって殺された。
祖母の家に送られた幼いエシンは、名家のお嬢さんとして育つ。両親の血を受け継いだためか、エシンは朝鮮の未来を憂い、大きな関心を見せた。
激変する朝鮮、両親を失って力動的な運命を迎えたユジンとエシン。果たして彼らがどのように絡み、物語を展開していくのか。

 

 


「トッケビ」の映像美と「太陽の末裔」のストーリー展開のお粗末さが合体してしまった「ミスター・サンシャイン」
「太陽の末裔」においてはまだ、ユ・シジン大尉というキャラクターがそれはそれは心をぎゅっと掴まれるように描かれていたので魅力はあったのですが、今作はどうにも役付けが薄い気がします。
辛未洋擾(1871年に起きた朝鮮国軍によるアメリカ艦隊の測量船への奇襲に端を発した交戦)から始まる、朝鮮の激動の歴史が背景なので登場人物も多い。
かねてからキム・ウンスクは群像劇があまり得意ではないのではないかと思っていたのですが、まさにその考察が的中。
入り組んだ人間関係を描こうとすればするほど、薄味なドラマ展開になります。
主役のユジンの悲しみや苦しみ、朝鮮に対する相反する感情が伝わってこないのは大きなマイナスポイント。
やたら格好つけるビョン様の使い方がもったいないなぁ。

 

 

 


ユジンの子供時代を演じたこの子役はカワユかった。
いっそのこと、この子供がずっと主役のビルドゥングスロマンでもよかったのに。
色恋を絡めないほうが面白いのではないか、このテーマなら。

 


ヒロインのキム・テリはすこぶるいいと思います。
怪作であり近年まれにみる傑作のパク・チャヌクの映画「お嬢さん」ですれっからしの珠子を演じていたのがウソみたいな清純さ、気品あるヒロインを私たちに見せてくれます。毒がない感じ、ナルシシズムがない彼女は見ていて飽きません。
ビョン様がナルシシズムの権化だからね。
しかしこの2人がラブに堕ちるなんて、画面からはこれっぽっちも想像つかないんだよなぁ。
緊張感がない。
おじさんと姪のような、そんな関係に見えてしまうのは主役2人の年の差を知っているからか。

 

 

 


ユ・ヨンソク演じるク・ドンメとエシンの関係の方が、妙に緊張感を感じます。
ものすごくドンメの気持ちは伝わる。
捨てられた子犬のように、かつて傷ついた自分に手を差し伸べてくれたアガシのことが忘れられず。
5話ラストのシーンは思わず息をのみました。
息を飲みましたが・・・これでもかと言わんばかりにスローモーションやら、何やらの技法を駆使して映像を視聴者に見せつけようとする製作者の意図があけすけで、かえって白けてしまいます。
演出が間延びしている。

 

 


キム・ヒソン(ピョン・ヨハン)はエシンの婚約者。
こういうだらしない男の役を演じさせたら天下一品だわね。
真なんかどこにもなさそうな、腰が軽い男のそのまなざしの奥には深い絶望と、あきらめとが見え隠れして。
眉間に皺をよせているユジンよりも、深くこの世に絶望しているような気がします。

 

 

 


ユジンがエシンにどうしようもなく魅了されるのは、彼女が自分を受け入れてくれなかったかつての朝鮮の象徴であり、そしてこれからの時代を切り開く新しい挑戦(朝鮮)の象徴でもあるから。
名家の血と新しい時代を切り開こうとする情熱が入り混じって、エシンという人間を創り上げている。
誰だって彼女に恋してしまうだろう。
あまりにも無謀で、無垢で、純粋で、恐れを知らず、明日を信じているから。
朝鮮に受け入れられなかった男たちと、未来を夢見る女がこれからどんな物語を紡ぎだすのか。

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. YUMIKO

    yucaさんへ

    深くて繊細な分析。新しい心の扉、引き出し、琴線のどこかに触れ、開き、
    「う〜むむむ・・・、そっかぁ。。。あの感覚はそれだったのねぇ」を感じたくて、
    拝見しているのだと思いました。

    酷暑、どうぞご自愛下さい (^-^)

  2. yuca

    YUMIKOさん、コメントありがとうございます。

    ごぶさたしております。
    夏ばてされていませんか?

    開店休業中なブログですが、たまにドラマの感想を書きたくなるのですよね。
    ぼちぼちとブログ、続けていきますのでよろしくお願い致します。