梨泰院クラス
梨泰院クラス Itaewon Class (2020年 韓国 JTBC)
■監督: キム・ソンユン
■脚本: チョ・ガンジン
■キャスト:
パク・セロイ ( パク・ソジュン )
チョ・イソ ( キム・ダミ)
チャン・グンス ( キム・ドンヒ )
チェ・スングォン ( リュ・ギョンス )
マ・ヒョニ ( イ・ジェヨン )
チャン・デヒ( ユ・ジェミョン )
チャン・グンウォン ( アン・ボヒョン )
オ・スア ( クォン・ナラ )
大手飲食会社チャンガのチャン会長(ユ・ジェミョン)とその息子のせいで父親を亡くしたパク・セロイ(パク・ソジュン)は、梨泰院(イテウォン)に店をオープンさせるために奮闘する。梨泰院でのビジネスを思いのままにしようとしているチャン会長と激しく対立することに…
♪ Some day, the boy ♪を聞くとなんだか涙が出てくる。
1話の、群れずに独りたたずんでいた、あのパク・セロイを思い出して。
彼の世界は、なんて豊かになったのだろうか。
ただただよかったねと、涙する。
数多くの経営者を見ているとね、彼らはどうしようもない深い孤独に身を置きながら、イチかゼロかの決断を日々下していく。
その孤独は、どこまでもいってもひとり。
その決断が成功しても、失敗しても独り。責任は経営者のみが背負う。
どれだけ仲間がいようとも。彼を心配してくれる人がそばにいても、身がしびれるように独り。
セロイの生きざまは、まさに優れた経営者の生きざま。
独り、孤独を知っているからこそ、セロイは仲間を大切にする。
彼らと共にいられることは、奇跡だと知っているから。
経営者目線でも、とても面白く、心躍るドラマでした。
パク・セロイという人間は決して、頭が切れるという感じではなかった。
いつも困ったように、頭をなでながら、ゆっくりと自分の胸に問いただし、自分の中で決断を下していく。
自分が下した決断に対して、決して人のせいにしない。
「信じる」ということを体現した人物で、だからこそ彼の周囲には「信じて欲しい」人が集まり、仲間になっていく。
「梨泰院クラス」は経営者の物語で、父権の物語であり、格差の物語だった。
ICの仲間たちは全員父親がいないって気づいていた?
だからこそ、決して器用ではないけれども、ゆっくりと話を聞いてくれて、向き合ってくれて、考えてくれるセロイの周りに集まってきたのだ。
古い因習、今までの父権を体現していたのが長家のチャン会長。
彼も果てしない経営者の孤独に身を置きながら、ビジネスで成功してきた人物。
ただひとつセロイと違っていたのは、他人を恐怖とお金によってコントロールし、家畜化していくことで会社を大きくしていった手法の違い。
きっと高度経済成長期の経営者はこの手法で会社を大きくしていったのでしょう。
しかしその手法がもはや時代のコンプライアンスにそぐわないことに気づかなかった長家が凋落するのは、当たり前。
古い父権制度を否定して、セロイが体現するのは今の時代のリーダー像。
トップダウン経営ではなく、ボトムアップ型経営だな。
マズローの法則ってあるのです。
1・生理的欲求
2・安全欲求
3・社会的欲求
4・承認欲求
5・自己実現欲求
人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる。
チャン会長が長家を大きくした一番の理由は「家族を飢えさせないため」
それはきっと戦後の混乱期では、国民の多くの「飢え」を満たすという時代のニーズにマッチしており、1と2を満たすことで企業の成長戦略に乗ったのよね。
ところが豊穣の時代になり、人々は4や5を求めるようになってくる。
自分の子供ですら「承認」することができないチャン会長が、セロイに敗北を期すのは必然。
「梨泰院クラス」での狂言回し、あのおろかしいグンウォンだって、彼の深層心理をつきつめればただただ父親に「承認」されたいだけだったのにね。
「承認欲求」が満たされないことで、チャン会長の周囲の人々は離反していく。
働くということは、決してお金だけではない。
パク・セロイは自分は何一つ持っていないことを知っている。
セロイのもどかしい恋愛模様は、自分は何一つ他人に求めてはいけないという自己規制が働いているから。
自分は幸せになってはいけないとどこか思い込んでいるから。
自分は何も持っていないことを知っているからこそ、仲間の意見を大切にする。
彼の周辺に集まってきた人物は、全員何かが欠けている人たち。
世間からはつまはじきにされた人たち。
でもそんな彼らの声を聴いてくれるセロイと共に仕事をすれば、自分は「承認」されていると実感できるし、さらにちっぽけな自分がこの世界において何かの役に立つことができるという自己実現ができる。
能力の高さゆえに周囲の人間がすべて馬鹿に見えて、世界のすべてに飽きていたソシオパスのイソもそう。
彼女の退屈なモノクロームの世界が、セロイと出会うことで、なんて苦くて色彩豊かな世界になったことか。
漫画が原作ということですが、本当にわかりやすく共感しやすい展開と構成。
とにかく私は、あのセロイが仲間に囲まれているだけで泣けてくる。
自分の歩んだ道を振り返った時に、仲間と過ごしたこの時期こそが自分の人生の「甘い夜」であったことに気づくに違いない。
そんな郷愁と、切なさと、輝きを持った「梨泰院クラス」
あの涙も、怒りも、喜びも、悲しみも、すべてが思い返すと遠く、懐かしく、たまらなく甘い。
★★★★
表題のドラマも面白そうですが、
見通しの立たない自粛の最中に視聴すると、頭がグルグルしそうです。
と、言いつつ。今日も今日とて。以下の記事がユカさんの気晴らしに成れば幸いです。
決して、このドラマのタイトルで朝から爆笑したなんて、申しません。
WHOや大国にも、これでいいのか?なんて、疑問を呈してません。
では、気分転換にどうぞ。
※彼らは恐らく、本気です。
https://t.co/Vey2JrH16p?amp=1
FANさん、コメントありがとう~♪
中国ではすっとんきょうな帽子をかぶって小学生たちがソーシャルディスタンスをとっていたよね。
最近のニュースでは、笑うという感情もなくなってきているかも。
やばい。
最近のブログの更新はストレス発散なのかもね。