私の居場所を知ってて欲しい・・・ Hannibal:S3-7話まで
「ハンニバル シーズン3」7話まで視聴。
愛なんか欲しくない。
彼の心をめちゃくちゃに破壊して、血を流し、憎まれたい。
憎まれて、探されて、捜されて。
憎しみで気が狂うほど自分のことを思い出してほしい。
誰かを愛するなんて許さない。何かに心を奪われるなんて許さない。
まして自分を忘れるなんて許さない。
ウィルに世界の果てまで追いかけてきてほしい。
探して、捜して。
それはまるで求愛に似ている。
おそらくTVドラマ史上最高にねじれたブロマンスの「ハンニバル」シーズン3。
あまりの低視聴率にS3で打ち切りが決定、カルト的ファンが嘆き悲しんだ。私もそのひとり。
S1のサイコミステリー犯罪ドラマで始まったこのドラマは、S3になりハンニバルとウィルのロマンスに変貌。
若い女性ばかりを狙った連続殺人事件の捜査に行き詰ったFBI捜査官のジャックは天才プロファイラーのウィルに捜査協力を要請する。一方、ウィルの「犯人に共感し、犯行を脳内で再構築できる」特殊能力の危うさを危惧し、精神科医ハンニバル・レクター博士に協力を依頼。互いに協力し合い捜査をしているように見えたが、ハンニバルはその裏で模倣殺人を繰り返し捜査をかく乱していく。精神状態が悪化の一途をたどりながらも、ウィルは真犯人にたどり着くが・・・(シーズン1)
精神障害犯罪者病院に収容されたウィルは「真犯人はハンニバル」と強く主張するが、裁判に有利な証拠は出てこない。一方、FBIの捜査に協力を始めたハンニバルもまた、自分が陥れたはずのウィルに救いの手を差し伸べようとしており、その真意が見えない。ウィルとハンニバルの攻防は一進一退、周囲の人間を巻き込んでいく。そして、とうとう決着の時を迎えた最後の晩餐の結末は・・・(シーズン2)
シーズン2の衝撃のラストから、物語の舞台は一転、イタリア、フィレンツェへと移る。ハンニバルは、自身のセラピストであるベデリアを伴って、新しい生活を送っている。生きていたウィル、ジャック、アラーナはハンニバルを捕らえるべく集結し・・・(シーズン3)
引用:http://www.star-ch.jp/hannibal/introduction.php
S1はハンニバルとウィルのA boy meets a boyの物語であるとするならば、S2ではひとりの人間がいかにたったひとりの相手に理解をされたいか魂から叫ぶ物語に変貌していく。
それを友情と呼ぶのかロマンスと呼ぶのか。
はた迷惑な(なんて言葉では片づけられないのですが)ふたりに巻き込まれた周囲の人々は阿鼻叫喚のうちにS2が終了。
登場人物全員が文字通り、血を流し、大切なものを失い、虚無に出逢い変貌する。
ハンニバルにとってのカニバリズムとは愛しているから食べるのではなく、生きる価値のない(ハンニバル基準)人間を美しく料理することによって価値のあるものへと変化をさせる救済の意味があるのだろうとも思う。
ハンニバルに食べられなかった人間も、彼と出逢うことにより内面が変貌してしまう。
生き残った人々が、傷ついた人々がハンニバルを追い求め、自分の失ってしまったものを取り戻そうとあがくS3の7話まで。
圧巻はやはりメイスン・ヴァージャーでしょう。
サディストかつ人を恐怖と苦痛で支配してきたメイスンが、ハンニバルの返り討ちにあい顔を文字通り失ってしまう。
人間の顔を失ってしまったメイスンは、もはや人ではなく、ハンニバルに対しての歪んだ欲望と復讐心の象徴のような存在。
彼の妹マーゴに対しての常軌を逸した執着と、非道は、人間とはここまで残虐になれるのかと茫然としてしまうくらい。
ハンニバル・ザ・カニバルが却って高潔に、孤高に、ノーブルに見えてしまうから不思議。
S3での新しい登場人物千代は、ハンニバルを見守り育てた叔母紫夫人の化身のような存在。
幼い獣が人喰いの野獣に成長するのを見守り、そして彼を檻に入れまいと陰からハンニバルを守る守護天使のような存在。
ウィルがS2で自分の元から消え去ってしまったハンニバルを追い求める旅は、ハンニバルを理解する旅でもある。
ハンニバルの育ってきた環境を知り、彼と同化していく旅でもあったのだ。
実はある種の愛を追い求めていくと、相手を手に入れても手に入れても充ち足りない、これで満足と言う地点には決してたどり着けない。
他者と言うものは手に入れることなんかできるわけない。いくら愛しているからといっても、殺しちゃうか食べちゃうか以外に本当に満ち足りた瞬間はないと思っていたりします。
ハンニバルは文字通り食べちゃうわけですが。
ウィルはハンニバルと言う存在に心が囚われてしまうあまりに、だって純粋な共感能力の持ち主だものね、ハンニバルと同一化したいと願うようになってしまう。
陶酔し、ぞくぞくするでしょうね、ハンニバルは。
ウィルが世界の果てまで自分を追ってくるなんて。
彼の思考、嗜好、彼の記憶、彼の痕跡を丁寧に拾い共感し、追ってくるなんて。
S2のラスト、「君を置いていけない」と言いながらウィルにナイフを突き刺すハンニバル。
ここでのナイフはもちろん性的暗喩です、ウィルの心を強姦したのですからハンニバルは。
そのウィルの追跡は求愛なのですから。「君を許す」というウィルの言葉は、「愛している」に変換されるのです。
ところがS3のウィルの追跡の旅は、ある日突然終わる。
メイスンの死の罠から苦れたふたりが久しぶりに対峙したその瞬間に。
「カップと時間と混乱の法則について話そう」
「カップは割れた。破片が集まり元に戻ることはない」
「君の頭の中でも? 君の“記憶の宮殿”は新たな記憶で満ちている。私と共通の部屋もある。勝利した君をそこで見た」
「僕とあなたの間に・・・勝利など存在しない」
「ゼロサムゲームか」
「・・・犬たちが恋しい。あなたは恋しくない。見つける気もないし、あなたを捜す気もない。どこで何をしてるか知りたくないし、あなたについて考えたくない」
「邪悪さを楽しんだことを後悔してる?」
「あなたが楽しんだ。僕は耐えていた。僕にはあなたの食欲はない。
・・・GOOD-BYE、ハンニバル」
失ってしまった愛=割れたカップをウィルの共感能力で元に戻そうとしたハンニバルのゲームは終わってしまう。
追跡に疲れ果てたウィルが、同一化に疲れ果てたウィルの一方的な別れの言葉によって。
「あなたについて考えたくない」とは、ハンニバルにとって世界の終りにも等しい宣告。
ウィルが自分を追いかけない世界は色あせて彼の目に映るのだろう。
「私はここだ。私の居場所を知ってて欲しい。どこで私に会えるか」
あのハンニバル・レクターが、ウィルのために投降する。もう世界の果てに逃げる行為に意味がないから。
ウィルが追ってこない逃亡生活はハンニバルにとって意味がないから。
だから。
だから、ウィルがハンニバルに会いたくなればすぐ会える最厳重監視病棟の囚人としてウィルのそばにいると告げるハンニバル。
ひざまづき、ウィルを見つめながら。
ウィルなしで生きていけないから。
なんという愛の告白なのでしょうね。
ここまで狂おしい愛の告白を、私は知らない。
そして物語は3年後の「レッド・ドラゴン」へ。
ほぉぉぉ、そして、あのドラゴンに続くのか・・。
3は、カニバネタが尽きたのか、只の恋愛ものだと、周囲ではドンドン脱落していってます。(彼らはSAWも大好き。)
私も、2で行き詰まり感を感じてましたが。。3が配信されたら、見よっかなぁ・・。
ところでブロマンスと言えば、こちらの分かり易い、かまって欲しい人達の恋心も、さることながら。
まだ、最後まで見てませんが、傲慢と偏見の。ドンチ&ムン部長も、分かりにくいブロマンスとしか見えません。
ドンチに、自分には出来なかった遵法をさせようとしているのかな?素直じゃないね、ムン部長。
と、そっち方面で見ています。なので、事件の筋がどうでもよく・・・・いえ、あっちも頑張ります。
ブロマンスは、素直になったら最後、激アマ小説にしかなれないから、ドラマティックなのだわ。楽しみです。
FANさん、どもども~♪
>カニバネタが尽きたのか、只の恋愛ものだと、周囲ではドンドン脱落していってます。
わかる、わかる!
私も何度寝落ちしたか。これはね、単なる痴話げんかな物語なのです。
これはBL愛好家しか楽しめないだろうという展開のS3。
確信犯的なので、私は好きですけれどもね。
愛し合っているけれども一緒には生きられない男たちの物語なんですよ(爆)
>ブロマンスは、素直になったら最後、激アマ小説にしかなれないから、ドラマティックなのだわ。
「傲慢と偏見」もそうですよね~
男同士のパワーバランスの物語ですもの。ロマンスドラマと宣伝するのはやめてほしいと思います。
ブロマンスは、互いの主導権の争いの物語だと思います。
激甘小説はファンタジーだから(爆)
私がBL小説から足を洗ったのは(!)、ファンタジーになり果ててしまったからでしょうね。好きだ嫌いだなんて話はハーレクインロマンスだけでお腹いっぱい。
男同士の愛は、殺すか殺されるかと言う展開じゃなくっちゃ興味が湧かない。
そういう意味では「ハンニバル」はパワーバランスの物語なの。
アカン、もう、お腹が痛い。・・・そうか、そうだったのか・・シーズン3。
あれは・・@単なる痴話げんかな物語
痴話げんかだったのか・・、拗ねちゃったのね。そりゃ厄介だわ。
ところで、ユカさん渾身のヒーラー記事が、ナンたらのベスト10入りなさったとか。
遅くなりましたが、心からおめでとうございます。
漸く時代がユカさんに追いついたのね?
ああ、でも、ユカさんが遠くに行ってしまうようで、切な・・。(何度も言うけどFANさん、そもそも近くに居なかったし、それがブログの距離感よ?)
は、その通りです。インディーズバンドのメジャーデビューを祝うように、届かない拍手を送ります。
(そもそも、FANさんの拍手って聞こえたこと無かったよ・・) え?何か仰いまして。
FANさん、コメントありがとうございます♪
痴話げんかだけど、私は好きですね~ しかし「ハンニバル」は打ち切りで正解かとも思います。
ウィルとハンニバルの痴話げんかにクラリスが参戦したらどういう物語になるのかも興味はありますけれども。
>インディーズバンドのメジャーデビューを祝うように、届かない拍手を送ります。
えええ!
私はずっとアングラです。これからも(笑)
先日ですね中学生の方からメッセージをいただいてびっくり。中学生!!
こんなアングラブログに中学生!冷や汗が出ました(爆)
大人の甘いも酸いも書いているこのブログの内容が彼女に理解できているのか、はなはだ疑問ですが。
なんたって血まみれな恋愛ドラマ(例・ハンニバル)にしか興味を示さない私なのに。
間違っても今はやりの別マの「アオハライド」の良さは理解できない私です。
しかし凄い時代ですよね、ネットを通じてきらきらぴちぴちの中学生とアングラブロガーが交流するなんて。
あら、あぁ、中学生ちゃんまで、虜になさいましたか?凄いなぁ・・。
しかし、アングラって仰いますが。
純粋芸術を正当に愛でて居られるだけだと思いますよ。商業演劇も、勿論のこと素晴らしいです。
動員数や視聴率が語っている事実も、見逃せません。
でも、それだけでは残せない、語れないものを見つけた時は、一生、心のどこかに残るんですよね。
若い感性の方々の方が、案外、ユカさんが語りたい事を受け取って居られるのかも知れませんワ。
(そうねぇ、FANさんは脱線と逸脱しか、無いもんねぇ・・)
へ?・・・・、まぁ、はい、そうなんです。どうも貴方様の発信の、妙なところがツボでして・・。
さ、洞窟の掃除にでも、行って来ようかな。
FANさん、どもども~♪
>純粋芸術を正当に愛でて居られるだけだと思いますよ。
まあ、ありがたいお言葉です。
いつもFANさんはほめ上手だよね~ 一種の天才だと思いますよ、本当に。
昔東京グランギニョルという劇団がそれはそれは好きでした。アングラメジャーと言った感じかな。たった4年間の活動でぱっと解散した劇団でしたが。
あれから30年?
「ライチ☆光クラブ」という映画であの物語が帰ってきました。
劇場公開が始まったばかりですが。
あの頃の私が恋焦がれた全てのモノが、よみがえるなんて嬉しいなぁ。
いやだから。 @いつもFANさんはほめ上手・・・
ほぉ・・。褒める才能が、わたくしに有る?ほぉぉぉぉ・・・・・・・?まあ、そりゃねぇ・・・。
脳みそを捏ね繰り回して、貴女様に恋文をシタタメテいるのです。頑張ってるわ、私・・・この調子よ!!
が、そんな恋文へのご返信に、グラギニョ。そう言われて、嶌田久作(嶋田久作?だったかな?)。と即答し、なおかつ。
悪夢の帝都物語 ≒ 石田パパの薄っぺらさ。
と、雪崩のように崩壊の記憶のスイッチを、押されるのは、何処の誰でしょう?
貴女様に翻弄され、踊らされているだけのFANでした・・。
※地下マッつあん、これこそ、浄瑠璃に書いとくんナハレ (あ、しまった!!近松っつあんの変換すら、地下活動・・、アングラだったわ。)
最終回の替え歌は。岡林かな?こうせつかな?泉谷かな?楽しみだ・・・。でも最終回は、浄瑠璃で泣かせて欲しいなぁ…・
FANさん、コメントありがとうございます♪
勤勉だった1月のブログアップ数に反比例するかのような2月のブログ記事数ですよね。
相変わらず」バランスが悪い女です。
「帝都物語」はね、角川作品ですもの。宣伝は抜群なのに、作品性が皆無だという。
どこら辺からそうなったのかしら。「野獣死すべし」?
だからこそ私はアングラに潜るのでしょう。
最近一気に見てドはまり中です❗
切なくて、切なくて、家事が手につきません!笑
新シーズン作成されるみたいですね!
楽しみです!
3で打ちきりになったのは、正規に視聴せず海賊版みたいな形で視聴する人が多かったからみたいですね、
残念なことです。
でもマッツミケルセンもヒューも大好きになったので、共演した映画もみてみるつもりです!
まゆままさま
コメントありがとうございます。
え!シーズン4(あるいは映画?)制作されるのですか!!
めちゃめちゃ楽しみです。
「Hannibal」は分かる人だけに分かるドラマなのですが、今でもアメドラの中でも1番好きなドラマです。
ハンニバルとウィルのねじれた愛が見たいし、クラリスも見たいですよね。