コードネームミラージュ


コードネームミラージュ CODE:MIRAGE 全25話(2017年 日本 テレビ東京)

 

■原作:広井王子
■監督:山口雄大 他
■アクション監督:園村健介
■キャスト:
桐山漣(ミラージュ / 森山真一)
要潤(御崎蔵人)
佐野ひなこ(ドブネズミ )
駿河太郎(スモーク / 姫島公平)
祐真キキ(桜丘由比)
武田真治(鯨岡 憐次郎)
萩原聖人(鐘ヶ淵豊)
石丸謙二郎(左文字外記)
ロビン

現代の日本。法の網の目を潜り抜けて凶悪な犯罪を犯す巨悪が跳梁跋扈しており様々な問題が発生しているにも拘らず、政府や警察は手をこまねいているだけであった。この状況を憂いた或る警察庁幹部が、そのような巨悪を闇で断罪する特殊部隊を密かに結成した。その事実は警視庁にさえ知る者はなく、警察庁でも上層部のごく一部だけが知っていた。所属するエージェント達は法的には存在しないとされる者や現職の警察庁職員たちで構成。死しても屍は内部で処理され、生きていた証すらもこの世に残す事はない。
その部隊の名は「K-13(ケー・じゅうさん)」。警察庁警備局局長の左文字 外記の与えるミッションを部隊の指揮官たる警備局公安特殊課課長の御崎 蔵人が指令。ハッカーとして拘置所収監中の「ドブネズミ」こと木暮 美佳子が情報処理や解析・改竄でバックアップ。実働エージェントのコードネーム「ミラージュ」が“処理”していた。そして、ミラージュの破壊工作による遺体や現場は「スモーク」こと姫島 公平率いる公安部隊が綺麗に後始末し、「なにも起きていなかった」ことに仕立てていた。
ミラージュは各種センサーを内蔵した眼鏡とサイレンサー付きの拳銃、相棒であるAI搭載車両のロビンと共に隠密裏に犯罪者たちを処断していく。
そんな中、不動産で資産を集め、政財界や警察関係者とも繋がりを持つ裏社会の大物鯨岡憐次郎が事件への関与を疑われ、御崎にマークされる。一方、鯨岡も超法規的手段で犯罪者を消す謎の組織の存在に気付く。事件現場で処理活動している姫島を目撃した鯨岡は部下に命じて姫島を拉致。拷問して組織の全容を吐かせようとするが姫島は頑強に抵抗。姫島奪還に動いたミラージュは姫島を救出する。だが、姫島には情報漏洩の嫌疑がかけられる。
一方、御崎は鯨岡の“処理作戦”に出る。鯨岡はミラージュと御崎に追い詰められるが警視庁副総監のはからいで「一番安全な場所」に逃げ込む選択をする。つまりは警視庁に逮捕されて収監されてしまえば追って来られないし、刑務所内では簡単には消されない。鯨岡は虜囚の身で着々と反撃のプランを練るのであった。

 

 


「俺はこの世に存在しない」
どれほどこのキャッチコピーを愛したことか。
ドラマを見ていて久しぶりに血が滾ル、漲ル、萌えル、考えル
世界観に痺れル、浸ル、酔いしれル。

 

・・・そう言いながらブログに感想を書いていなかったなぁ。
それは、私の中では「コードネームミラージュ」はまだ終わってないので感想が書けないのかも。
まだ世界のどこかでミラージュは闘っている。
自分が何を失ったのかも気づかなかった、何のために戦うのかも知らなかったミラージュが。

 

今、初めて自分のために、ただ戦い続ける。
そんな気がしています。

 

 


「コードネームミラージュ」はあっけなく人が死んでいく世界。
善人にも悪人にも、イデオロギーや身分に関わらず。
「死」があふれている世界観。
そして登場人物たちの、果たせない約束や夢があふれていて心が痛い。
ロビンの夢を見たいという願い、ドブネズミの抱きしめられたいという小さな願い、定食屋の娘の真一と仲良くなりたいという願いに心が痛む。
その願いがかなう時は、世界が終わる時だとのフラグがあるから。

彼女たちの「願い」とは、突き詰めていけば誰かと関わっていきたいという欲求。
誰かと触れ合って行きたい。
共に生きたい。
そんなささやかな願いさえも、叶わない世界観に私はそっと涙する。

 

 

 




戦うマシーンとしてしか存在を許されない、ミラージュ。
ミラージュは闘うことでしか、生死をかけてのやり取りの時ではしか、人と向き合えない。
向き合ったときは、相手を失う(殺す)時だなんて。
物語中盤のスモークとの命をかけた戦いは、涙なしには見れません。
そのあとのミラージュの慟哭。

 

 


鯨岡は欠けている人間が好き。
由比にしろ、骸骨にしろ欠けているからこそ圧倒的な強さを持つ人間が好きなのだ。
さらに言えば欠けている癖に、欠けていることを自覚せずに、自分の痛みすら感じずに生きていく、奔っていく人間が好きなのだ。
なぜならば鯨岡も欠落しているから。
欠落している美しさを鯨岡はこよなく愛する。
この世界で自分と同じような欠落を持ちながら、その欠けている部分に気づかずに生きているミラージュはやはり鯨岡と合わせ鏡の存在。
鯨岡とミラージュの関係も息を飲む。

 

ハンニバルのようなサイコパス。

 



鯨岡と左文字も合わせ鏡の存在。
2人がそれぞれの立場から日の丸を背負うシーンは鳥肌。
絶対的な正義、絶対的な悪などこの世には存在せず。
どんな主義や主張も突き詰めれば、その根源は同じなのだというアジテートがものすごく恐ろしく鳥肌が立つ。
自分の存在を受け入れない世界は壊せ、という。

 

 

 


あの広井王子の原作ということで、軽い気持ちで視聴し始めたけれども完全にノックアウト。
「好きだ」「嫌いだ」なんて甘っちょろい恋愛を通り越した、純愛をこのドラマで私は見ました。
鯨岡のミラージュに対する執着も純愛だし、左文字の愛国心も純愛。
部下たちの鯨岡に対する忠誠心も純愛。
そして最後、イスラエルに旅立つミラージュの背中にも純愛を。

 

 

失ってしまったものを、彼は取り戻すために世界と闘い続けるのでしょう。
願わくばまた、いつか、どこかで。
ミラージュに会いたい。

 

★★★★★

 


感想+考察

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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