ゲーム・オブ・スローンズ S2 王国の激突


ゲーム・オブ・スローンズ S2 Game of Thrones 全10話 (2012年 アメリカ HBO)

■原作:ジョージ・R・R・マーティン
■監督:
デヴィッド・ベニオフ
D・B・ワイス

東の地でドラゴンが誕生。そんな中、<五王の戦い>の様相を呈する七王国は混乱の極みに陥り、王都のみならず、あらゆるところで策略と陰謀が張り巡らされ、激しい戦いが展開。バラバラになったスターク一家はそれぞれが苦難の道を歩むことになる。
新王ジョフリーのもと王妃サーセイが摂政になり、ラニスター家は強大な権力を持つようになっていた。サーセイの弟ティリオンが<王の手>になり、ジョフリーへの横暴ぶりを正そうとするも、ジョフリーは残虐性を増すばかり。そんな中、ジョフリーの婚約者サンサはおびえながら暮らし、アリアは王都から離れて何とか追っ手から身を隠そうとする。
ジョフリーは世継ぎではないとして、ロバートの弟、スタニスとレンリーがそれぞれ王を名乗り、また、スターク家のロブも“北の王”の名乗りをあげる。七王国中の諸名家は、誰に就くかの選択を迫られ、戦乱は混迷を極めていく。
<壁>では、異形の種族ホワイトウォーカーの実在が目撃される中、ナイツ・ウォッチと野人たちの戦いが激化。ジョン・スノウはスパイとして野人たちの中に入ろうとする。
一方、ドラゴン3頭を火の中から孵したデナーリスは“ドラゴンの母”と崇められるも、食料も水もなく、わずかな人数を引き連れ砂漠をさすらっていた。そんな、デナーリス一行に権力者たちが手を差し伸べるが、その狙いはドラゴンであった…。彼女たちの運命は果たして!?

 

 

GOTには様々な家が登場します。スターク家、ターガリエン家、タリー家、グレイジョイ家など。
中でもラニスター家のお下劣ぶりにすっかり私は心を奪われています。
どうなのよ、この傲慢、卑怯でねじ曲がった人たちは。
特に新王ジョフリーが登場するたびに、むかむかいらいたして、反面、彼が何かやらかしてくれるとあまりにも期待通りでワクワクしてしまう。
なんていうのかしら、おぞましいものから目を離すことができないとでも言うのか。
石をひっくりかえした後に、蠢き逃げ出すげじげじを見てしまう気持ちとでも言えるのか。
品格などこれっぽちもなく、見栄っ張り、人を痛めつけることに最高の喜びを感じる少年。
どうやったらこんな子に育つのか。
ティリオン・ラニスターがジョフリーをひっぱたいてくれるとすっきり。
ティリオンだって、一筋縄ではいかない男。
口から出る言葉は、あてこすり、揶揄い、冗談でまくしたて、金で全部解決しようとする。
でもね、ティリオンの自虐的な言葉の端々から、彼の純粋な、何者にも汚されないきらきらしたものが見える。
ラニスター家の暗くゆがんだ、汚れたものの中からきらきらした瑞々しい情感を感じて、私はたまらなくなる。
ジョフリーも、実はサンサとあんな出会いをしなければあそこまで歪まなかった(いや、そもそも歪んでいたけれども)のかもしれない。

 

 


サーセイ・ラニスターはラニスター家の、泥の中に咲いたあだ花。毒の花。
GOTでは、おそらく悪役であろう。彼女の姦通がそもそもの発端のひとつなのだから、王国を分裂した。
しかしサーセイが語る彼女の生い立ちを聞くと身震いする。双子のジェイミーと比較して、女としての生き方を強要され彼女の才覚も野心も軽んじられた。
男に乗り続けられるだけの人生。娼婦とどこが違うのか。
愛を求めた王にはすでに心に決めた女がいて、愛の闘争では初めから彼女は敗者だったのだ。
だからこそ自分の分身しか愛さない女になったのだ。
女として押しつぶされそうな環境から、悪女として変化し咲き誇る美しさ。
ジェイミー・ラニスターにいたっては、サーセイしか愛したことがないって、なんて純愛なのよ。
歪んでいるし、鬼畜だし、倫理観など全くないけれども。

 

 

こういうラニスター家のどろどろした、目をそむけたくなるようないびつさの中から、狂気のようにキラッと光る純真を見てしまう。

 

 


一方、スターク家は押され気味。全員捨てられた子犬みたいなまなざしでなんとか生きていっている。
ラニスター家に対抗するには、もっと世界を知り、自分の中にあるどろどろした汚いものからまなざしをそらさずに、それでも命を懸けてでも守らねばならないものを自分で見つけ出さないとダメなんだろうなぁ。
冬が厳しければ厳しいほど、強くなる家なのかもしれない。

 

ますます面白くなって視聴が止まらないよ。
個人的にはS2から登場のジャクェン・フ=ガーが気になります。それからシオンのダメンズ(転落)ぶりにも。
登場人物が多く、それぞれの瞬間をドラマは追っていくのだけれども、どのシーンも先が知りたくて知りたくて。
嫌いな人物、退屈なエピソードが全くないのもすごいドラマだなと思います。

 

★★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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