闘士の道を行け・・・ミスター・サンシャイン12話まで


韓国ドラマ「ミスター・サンシャイン」12話まで視聴。

 

 

前回の記事では物語はここから怒涛の展開が始まる・・・みたいなことを書いたのだが、11話・12話は「起承転結」の「転」の嵐の前の静けさのような展開。
ちょっと小休止かな。
ひたひたと迫りくるカタストロフの予感を漂わせながら、男たちはやがてくる自分の死の予兆を感じながら話はゆっくりと進んでいく。

 

 


「ク・ドンメのエシンへの愛は、魂を切り裂く日本刀のようで」と書いたけれども。
12話のラスト、ドンメ自身もエシンの両親の墓前に向かって同じようなことを独白していましたね。
かつて、手負いの獣のような少年ドンメは彼を救おうとしたエシンを言葉の刃で傷つける。
本当はエシンの手を取りたかったのにね。
彼女の優しさに触れたかったのにね。
刃は翻って、彼の魂を切り裂き続ける。
未だに。
手に入れても、手に入れても満たされぬ思い。
ドンメが一番欲しいエシンの温かさは2度と手に入らないから。
自暴自棄のドンメは着々と死の淵へと向かっていく。

 

 

ドンメはね、エシン以外の女性には優しい。
(エシンにも優しいのだけれどもね、黒い鳥をもう二度と跳べぬよう撃ち落とそうとする優しさ。その優しさはエシンには伝わらない)
他の女に示す優しさは、彼が本当はエシンに示したかった優しさなのだろう。

 

工藤陽花が「ミスター・サンシャイン」ではお気に入りのキャラクターなのです。
純粋だった少女が父に売られ、日本の老人(だと勝手に思っています)の嫁にされ。
嫁とは名ばかりの、老人の厭らしいおもちゃにされたに違いない
複雑に屈折し、男を手玉に取ることで生き延びる術を知ったファム・ファタールの陽花が、ドンメに向けるまなざしが好きなのです。
ドンメは罪作りだわ。
雨の日に陽花に傘を差しだすなんて。
このブログでは「雨の中、傘を差しだすというのは強烈な愛情表現であり、かつ傘を差しだした方が相手をより深く愛している」という定義を、常々熱く訴え続けているのであるが。
その気のない女に傘を差しだしたりしてはいけない。
人生に傷つきながら、闘士のように戦ってきた女がふと見せる戸惑いに、私は心が揺さぶられてしまう。
ドンメと工藤陽花はお似合いなのになぁ。
ドンメのまなざしは、エシンしか見ていない。

 

 


キム・ヒソンの放蕩者の顔の下からのぞく、諦観に満ちたまなざしにも心が揺さぶられる。
ヒソンはエシンを通して、自分の生きる道を見つけてしまったんだろうなぁ。
彼女の身代わりとして、生きる道を。
放蕩者の散財は、実は朝鮮一の土地持ちと自嘲する先祖代々の悪行を浄財する意味もあるのだ。
無辜の民の踏みにじられた血と涙と怨念の結集がヒソンが受け継ぐ財産だから。
だからすべてを手放すことで、彼は彼に課せられた呪いからやっと自由になれるのだ。
それは彼自身の命をも手放すことで。

 

11話、エシンに向かってこのままスナイパーの身代わりでいることを暗黙せよと笑いながら語りかけるキム・ヒソン。
自分の死を笑いながら見つめるヒソン。
ダンディズムの極致。

 

 


そんな男たちのブロマンスは微笑ましくって。
こんなシーンがいつまでも続いてくれるのを願いながら、こんな安らいだ時は二度とこないということを私たちは予感する。

 

 


ユジンが奴婢だと知り、自分の知っている世界が壊れてしまったエシン。
何のために闘っているのか分からなくなってしまったエシン。
彼女は、しかしひとつの結論を出しユジンに語る。

「信念が矛盾していた。輿から一歩も出ていない両班よ。だから傷つかないで」と語る。
一緒にいることはできないと。

 

エシンの決意に対するユジンの言葉に、また私の心が揺さぶられる。

「すでに輿の外にいる。前に進む途中で少し躓いただけだ。
あなたは前に進み、私は後ろへ下がる。
あなたが両班だからじゃない。
あなたが沈黙を決め込んだり、無視をしたりせずに・・・泣いているからだ。
この世には違いが存在する。
力の違い。
意見の違い。
・・・身分の違い。
あなたのせいでも、私のせいでもない。
そんな世界で私たちは出逢っただけ。
朝鮮にはじいやもハマン宅も生きている。
チュノ師や陶工もいる。
通訳官や使いをする少年も生きている。
闘士の道を行け。
“お嬢様”として生きれば安全だが。
必ず生き残れ。
ずっと生き残って、あなたの朝鮮を守れ。
もう転ぶな」

 

自分の好きな女に「戦え」という男。そのダンディズムに。
ユジンもまた、彼の行くべき道を選んだ。戦うエシンの支えとなる道を。
彼女に銃を渡し、告げる。
「あなたはこの銃と共に前に進み、終着地を目指すんだ。どこでもいい。誰とでもいい」
ユジンの中では彼の命をもって、エシンの行く道を拓くという強烈な自己犠牲のニュアンスがある。
ユジンもまた、エシンと末永く暮らしましたという未来は描いていないのだ。
ただ身分の違いに泣くエシンのその涙だけで、いつの日にか、多様性が認められる朝鮮を創りたいという彼女の夢を、自分の命をささげて叶えてやりたいという、強烈な愛。

 

 

まいったなぁ。
ユジンもドンメも、ヒソンも自己犠牲の上に成り立つ愛を私たちに見せてくれる。
死をも恐れない闘士の道を、これから駆け抜けていくんだろうなぁ。

 

 

次回の予告より。




宣教師が死んじゃうのかしら。



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