HはHUG・・・ミスター・サンシャイン8話まで


韓国ドラマ「ミスター・サンシャイン」8話まで視聴。

 

 

前回の記事で何げなく書いた一文が、妙に心に引っかかっていて。
「ユジンがエシンにどうしようもなく魅了されるのは、彼女が自分を受け入れてくれなかったかつての朝鮮の象徴であり、そしてこれからの時代を切り開く新しい挑戦(朝鮮)の象徴でもあるから。
名家の血と新しい時代を切り開こうとする情熱が入り混じって、エシンという人間を創り上げている。
誰だって彼女に恋してしまうだろう。
あまりにも無謀で、無垢で、純粋で、恐れを知らず、明日を信じているから。
朝鮮に受け入れられなかった男たちと、未来を夢見る女がこれからどんな物語を紡ぎだすのか。」

 

 

LOVEを始めたユジンとエシンはまず、挨拶、そして握手をする。
LOVEの意味を知ったエシン(このシーンはすごくよかった!)は、手を差し出したユジンを思い出し慌てる。
かつてユジンが「私が朝鮮に手を出したら、朝鮮の破滅の始まりだ」(のような意味だったかな)を思い出して、ユジンが手を差し出したので朝鮮の滅亡の始まったのだと思って。
ダブルミーニングですね。
朝鮮=エシンであり、エシンの人生のターニングポイントの始まりがあの握手だったのだから。
こういう伏線や言葉遊びが脚本家キム・ウンスクの真骨頂だわ。

 

このドラマで王はいるが王妃の存在はない。
だからエシンがドラマ中一番身分が高い女性になり、彼女自身も「この国で私の顔を知らない者はいない」と語る。
連綿と続く名家の令嬢は朝鮮のコンジョニムであるかのように描かれる。
両親は抗日(?)闘争のさなか非業の死をとげ、エシンは朝鮮という国の古い因習を受け継ぐことなく、新たな時代の革命の申し子として洗礼を受けた生誕になる。
古い朝鮮と新しい朝鮮のハイブリッドの申し子がエシン。
そのエシンを取り巻く3人の男は古き朝鮮の「呪い」に縛られている。

 

 

 


ユジン・チョイは奴婢。
あくまでも所有物であり、自由に生きることは許されない。たとえアメリカ公司という身分を得ようとも、奴婢である事実は消えない。
身分の呪いをかけられたユジンは暗闇の中で生き続ける。
すべてを捨て去りたい気持ちと、祖国に受け入れてほしいという願いに苛まされながら。
ユジンにとってエシンは光なのだろうなぁ。古い因習にとらわれない新しい祖国の象徴。
ユジンのポーカーフェイスは彼の傷ついた心を守るためであり、エシンと出会い、そのポーカーフェイスが剥がれ落ちる、その瞬間が私は好きだ。
蛇足だけれども、エシンからもらった手紙が読めないユジン。
同床異夢だと思っていたドンメがその手紙をサラサラと読む。ドンメが識字であることに軽いショックを受けた顔を見せてくれた時に、ユジンのことが好きになりました。

 

 


ユジン自身も抑えることができない、祖国への熱望とエシンへの迸る愛が少しずつ彼を変えていく。
自分でも想像しなかったに違いない。愛する女を守るために、自らを射抜くなんて。
ユジン・チョイのエシンの愛は、体を射抜く弾丸のようで。

 

 

 


ク・ドンメは白丁。
ユジンと合わせ鏡ですね。片やアメリカに行き、片や日本に行き自らの身分の呪いを解こうとする男たち。
たとえアメリカや日本で成功しても、祖国に受け入れてもらうことを切望する男たちの姿は切ない。
ドンメにとってもエシンは、甘くてそして苦い。そんな存在。
何よりも大切で彼の中では唯一のもので。
怖いものが何一つないドンメは実は、手に入れているものに何の価値も見出していないから。
仕事も仲間も女も金も、何一つ彼にとっては意味をなさない。
ただひとり、エシンを除いて。

 

 


ク・ドンメのエシンへの愛は、魂を切り裂く日本刀のようで。

 

 

 


キム・ヒソンはトリョンニム。
両班の息子であるが、無辜の民の血と涙、悲しみや恨みをその足で踏みにじることで続いてきた家の呪いを一身に引き受ける。
流された多くの血から視線を逸らすことができずに、静かに、静かに狂っていくしかない。
何も感じないふり、笑顔の仮面の下に自分の心を押し殺し。ひと時の享楽に身を委ねるしか、生きる術を知らない男。

 

 


何度でも彼のもとに戻ってくる懐中時計は、呪いそのもの。どんなに遊び狂おうとも呪いから逃げられない彼をあざ笑う。
キム・ヒソンには古い血に、血の呪いに押しつぶされず祖国の未来を見つめるエシンは眩しすぎて、自分のものにするのをためらう。
キム・ヒソンのエシンへの愛は、やがて来る逃れられない運命へと時を刻む針の音のようで。

 

 

 


「ユジン・チョイ」と名前を指でたどるエシン。
そうだよなぁ。恋の始まりは相手の名前を書くことから始まる。
指でたどればたどるほど、エシンの心の中にその名は刻まれて行く。
彼女が選ぶのはアメリカなのか、日本なのか、それとも朝鮮なのか。
彼女を抱くのはユジンなのか、ドンメなのか、それともヒソンなのか。
いずれにしてもこれから流れる血と悲鳴の予感に私は震えてしまう。彼女が蹂躙されないようにと。

 

 

「ミスター・サンシャイン」に対しての評価は8話まで視聴しても、傑作なのか駄作なのか判断がつきかねますが。
ただ一つ、視聴していて鼻白むのは日本軍の描かれ方。
まるでイタズラ書きのように頭がからっぽで、粘着質。
インテリジェンスのかけらもないのは、そういう日本軍だったら気兼ねなく視聴していて憎めるからなのだろうな。
あまりにも浅い、浅はかな描き方がこのドラマの大きな瑕疵。

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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