永遠であるかのように生きている・・・時間8話まで


韓国ドラマ「時間」8話(MBC版)まで視聴。

 

 

このドラマを視聴されている方にお聞きしたいのですが、視聴しながらどうにもムズムズしませんか?
今まで多くの韓国ドラマを視聴してきましたが、こんな体験は初めて。
脚本家チェ・ホチョルの新作を非常に楽しみにここ数年待っていました。

 

恋人を殺した女への復讐の行きつく先のカタチを見せてくれた「秘密」
ジェットコースターのようなドラマ展開、俳優の迫真の演技、胸に響くOST。
とにかく主役4人の複雑に絡んだ愛憎、利害の心理戦・頭脳戦が圧巻。
息を殺して視聴するので、1話があっという間。こんなに緊迫したドラマは類を見ない。

 


仮面を外したときに、本当の愛は見つかるのかもしれないと思った「仮面」

 

そして今作「時間」
漢字二文字のタイトルというのは前2作を踏襲。

 

 

「時間」の1話はというと。

スホ(キム・ジョンヒョン)とジヒョン(ソヒョン)は初対面から悪縁だった。スホは百貨店のオーナーの家族であり、ジヒョンは駐車係の職員だった。ジヒョンはスホが乗っている車を反対側へ間違って誘導し、スホは激怒した。
出生の秘密を持っているように見えるスホは、すべてのことに苛立つ人物だ。過去に悲しい経験があったためだという。スホはジヒョンに土下座まで求めた。
しかし、この事件は予期せぬ展開を迎えた。誰かがスホとジヒョンの映像を撮影したのだ。それが公開され、スホはパワハラのオーナー家族という称号まで手にしてしまった。これは致命傷だった。スホは家族に認められる必要があったのだ。
スホはジヒョンのもとを訪れ、謝罪しようとする。しかし、言い争いのさなか突然倒れてしまった。そして余命を宣告された。手術も不可能な状態であるという。スホは崩れ落ちた。
スホは友人たちを呼び、パーティーを始めた。婚約者のチェア(ファン・スンオン)も呼んだ。破談を宣言しようとしたのだ。この時、さらに大きな悲劇が発生した。スホはパーティーにコールガールを呼び、よりによってそれがジヒョンの妹だったのだ。
チェアはジヒョンの妹と口論する。「スホの代わりにお金を払う」と言い、プールに現金をばら撒いた。ジヒョンの妹は現金を拾おうとして溺死した。

相変わらずのジェットコースター展開。
しかし視聴しながらムズムズ。
どこかで見た登場人物設定、どこかで見たストーリー、しかも前2作と比較すると圧倒的に俳優の演技に花がないために「秘密」の廉価版に思えてしまう。

 

ある種の作家には強烈なオブセッションがあり、自分の興味のあるシチュエーションならば延々と繰り返し描くことができる。
オブセッションがあるから、そのストーリーは強烈に視聴者(読者)に突き刺さり、惹きつけることができる。
しかしその設定しか描けないので書けば書くほど、作家のパッションは薄まり作品は薄味になり、出がらしとなっていく。
「時間」というドラマにはそんな気配を感じて、ムズムズしている。

 

 

 


「秘密」が恋人を殺した女を愛してしまうという、ある意味究極の設定。
「時間」は妹を殺した(かもしれない)男を愛してしまう。
キャラクターの立ち位置をすり替えただけなのよね・・・
「秘密」「仮面」「時間」に共通するのは、ひとりの女の死。
その女の陰が毎回ドラマに色濃く漂って、登場人物の運命を狂わせていく。

 

女を殺したかもしれないという恐怖と、自分の時間は限られているという絶望感に襲われるスホ。
自暴自棄の中でジヒョンと関わり、ジヒョンの存在に救われていく。
この世でたったひとり、初めて自分を信じてくれた女だから。
始まりはジヒョンを助けることで、自分の良心の呵責を軽くするためだったのかもしれない。
しかし「可哀想だたぁ、惚れたってことよ」とかの夏目漱石も言っているではないか。
この世で自分以外に可哀想な子を見つけ、彼女の嘆きに同調し、共鳴し、惹かれていくのは必然。

 

 

 


妹を殺した(かもしれない)男を、愛してしまう女ジヒョン。
彼女の貧しさ、報われなさ、これでもかと襲ってくる不幸の連鎖は「秘密」のユジョンを彷彿とさせる。
ユジョンを演じたファン・ジョンウムは泣きの演技が圧巻な女優だからなぁ。
ファン・ジョンウムと比較すると物足りないソヒョンの演技。
どうにもこうにも「時間」というドラマに対して物足りなさを感じてしまうのは、演じる役者の力量の違いでしょうね。

 

デパートで転んでしまうジヒョンを助けるスホを見ながら、「秘密」の名シーンを彷彿とする。

 

 

 


「時間」でも顧問弁護士がキーパーソン。
金の力を誰よりも知りつくし、力のない自分をふがいなく思い、かといってプライドがあるために卑怯な男にもなれず。
ものすごい複雑な人物ミンソク。
彼がこのドラマの一番のキーパーソンですね。
愛も金も信じれない男はのたどり着く先がどこなのか。
自分だけがすべてを知っていると孤高を保っていたけれども、実はミンソクが一番複雑に物事を運んでしまい、取り返しのつかない未来へと追いやってしまう。
そもそもの女の死は非常に単純な事故死。
それを登場人物全てに罪の意識を持たせ、ますます複雑にさせていく。
真実から目を背ける男は、自分が何から逃げようとしているのか気づくことはあるのか。

 

 

 


スホの婚約者チェア。
プライドの高いチェアの愛はスホには届かない。
これも「秘密」と同じ設定だなぁ。

 

 

他にもいろいろと「秘密」や「仮面」の変奏曲とでもいうべき設定が散逸されている「時間」
面白いか、面白くないかと聞かれれば、微妙な面白さとでも答えるべきか。
限りある時間の中、これから登場人物たちはどんな選択をしていくのか。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

  • コメント ( 1 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. 時間がすぎない・FANです。

    謹啓 寒中お見舞い申し上げる前に、
    改装中にお邪魔する無礼をお詫びします。

    ついさっきまで。このドラマを光TVさんが放送していたのですが。

    進まない・・このドラマ、時間が過ぎない。。。
    ハッとするほどの美貌の俳優さんが居ないせいなのか?

    しかし、つい先日映画館でみたパラサイトも、
    地味な俳優さん揃いでしたが、面白かったぞ。

    ※どっちの作品に対しても、すこぶる失礼をしております、ハイ。

    新装開店前にも関わらず、寄りによって
    挫折中のお部屋に失礼しました。

    余り、根を詰められませんように。新装開店が五輪後になっても大丈夫です。
    ご返信もお気遣いなく、読み捨てて下さいませ。

    追伸 読み捨てのついでに。

    かねてからマトモに名前を覚える気が無かった、
    字面だけで、トーダイデと呼んでいた、杏ちゃんご主人。

    せっかく、東大出身の主役が来たのにねぇ・・アホやなぁ。
    ヒガシデって読むのね、あなた。 かしこ