風中の縁(えにし)

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風中の縁 Sound of desert 全35話 (2014年 中国)

■原作:トン・ホア
■演出:リー・クォックリー
■キャスト:
リウ・シーシー(シンユェ)
エディ・ポン(ウェイ・ウージー)
フー・ゴー(モーシュン)

【ストーリー】
狼に育てられた少女莘月(シンユェ:リウ・シーシー)は、匈奴の王様の部下である漢人に助けられた。彼の元で読み書きや武芸を学び、王様の五人の子供たちと一緒に成長した。養父の死後、莘月は思い立って都に上り、優しくて優雅な莫循(モーシュン:フー・ゴー)、それから猛々しく勇ましい魏無忌(ウェイ・ウージー:エディ・ポン)と出会い、愛し合うようになる。

 


 

面白かった、切なかった、そんな感想が私の中でせめぎ合う。
全35話のこのドラマ、28話以降視聴スピードが減速したのは三角関係の愛の行方が26話で決着がついたせいかもしれない。
27話以降は、まるで九爺のどこまでも見返りのない愛を、尽くす愛が繰り広げられて、無忌派の私ですら胸が苦しくなるくらい。
つらくて見ていられなかったから。
同時に恋物語から権力闘争に物語がシフトするととたんに分かりづらくなった。
きちんと日本語字幕で視聴したら、また感想が変わるのか?
中国ドラマにありがちなのかしら、突然シーンが飛んだりするものだから、物語に追いついていくのに必死でした。
そういう意味で27話以降、物語のバランスが悪くなるのよね。

 

「歩歩驚心」視聴終了後に「風中奇縁」のドラマの存在を知り感想の中で書いていました。

 

2013年に公開予定の、原作者が同じトン・ファの「大漠谣」に興味津々。
主役はリウ・シーシーと、フー・ゴー、エディ・ポン。狼に育てられたヒロインと2人のヒーロー。またしても思いっきり少女マンガではありますが、プロットを読んだだけでも面白そうだわ。
この作品も日本で紹介されるように、切に願います。

 

ようやく日本で公開されて、このドラマの序盤~中盤にかけての切なさに、ハマる人が多いと断言しましょう。
かく言う私も無忌には激ハマりしてました。
軽妙、洒脱、豪胆、磊落、無愛想、自由奔放、束縛を嫌い、風のように来ては風のように立ち去るこの愛すべき公子!
リアリストで、物事を残酷と思えるくらい冷静に見通せる人物。
慇懃無礼で、皮肉屋で、つむじ曲がりの、さびしがり屋に。
彼だからこそシンユエは、ありのままに生きられるのしょうね。
ちょっと下世話な話ではありますが、シンユエに恋焦がれていた無忌が彼女と一夜を共に過ごしたこと。
これが三角関係に終止符をうったのだと思います。
例えシンユエが九爺に心を残してたと言えども、愛された身体は無忌の方に引きずられましたものね。
26話の無忌の求愛のキスで、完全にシンユエの心は無忌に傾きました。

 

 

しかし終盤の切なさと後味の悪さは何とも感想が書きにくい。
ロマンス主体で進んでいた物語が、終盤、打って変わって宮中の権力闘争に変わっていく。
万家と李家の争い、万家の中でも主流派と傍系とのせめぎ合い。
その中で追い詰められていく無忌。
彼がシンユエのことをただ一人の家族だと何度も言っていた意味が分かってくる。
例え血を分けた肉親であろうとも、育ててくれた叔父夫婦であろうとも、まるで彼を使い捨ての手札のように扱う親族は家族ではない。
命を狙われる無忌、巻き込まれるシンユエ、シンユエの幸せのためにすべてを投げうつ九爺。
九爺がどんなにシンユエに尽くしても、恋愛の行く末は決着しているんだよね。

 

 

 

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9
「虹が空にかかると、優曇華の花が咲くという。人生の美しい瞬間は、こういうものかもしれない。ただ足を止めてその瞬間に感動すればそれだけで満足だ」
九爺の言葉で「風中の縁」は締めくくられます。
シンユエと出逢えた瞬間が、3000300年に一度咲くという優曇華の花を見るのと同じくらい奇跡だったと。
そんな奇跡の瞬間に出逢えただけで、自分は幸せなんだと。
もう~、そんなことを思っているからシンユエと結ばれることができなかったのよ(号泣)
彼にとってシンユエは出逢った最初の瞬間から美しい奇跡だったのでしょう。
無忌にとってシンユエは出逢った瞬間から、妻にしたい女だったのに。
美しい奇跡と感じたのか、妻にしたい女と願ったのか。その違いがこの恋の結末なのかもしれない。

 

 

時の流れの残酷さの前では、愛憎に苦しんだあの日々さえも一瞬の瞬きにもすぎない。
このドラマ原題が「大漠謡」なのですが、時の流れと砂漠の砂の一粒のような人生を描いていくのでやっぱりどこかほろ苦い。
共に旅立っていく無忌とシンユエの物語も、いつかは砂漠の砂の中にうもれていく一瞬の物語なのでしょうから。

 

 

★★★★★


 

 

YunZhongGe
そしてこの物語の続きはの無忌とシンユエの娘の話、云歌がヒロインとなる三部作大汉情缘シリーズの2作目「云中歌」に続いていく。九爺が育てた青年がヒーローの一人になるのかしら
「云中歌」も三角関係の物語。皇子とヒロインとヒーローの物語。守れなかった約束、かなわなかった恋、この苦しい胸の内。
砂漠の中から自分を救ってくれた皇子に恋をしたヒロインだが彼女の初恋は報われず・・・みたいな感じ。
「風中奇縁」で報われなかった九爺の愛が、子供の世代で報われるのか。
2015年夏に本国で公開予定なのですが、すんなり放送されるのか。日本にやってくるのはいつなのでしょうね。

 


感想+考察

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 6 )

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  1. mei

    こんばんは。
    「風中の縁」の感想、楽しみにしてました♪
    ようやく日本にやって来ましたよね。

    個人的にこの3人は「楊家将」の四嫁、六、七なのでなんだか違和感があるんですが、観れる機会があれば観たいです。

    そして気になるのが「云中歌」。
    これは李国立ではなく、于正作品なんですよね。桐華&李国立は見慣れてるけど、まさか于正だなんてビックリです。
    でも「美人心計」「山河の恋」「後宮の涙」「宮パレス」と于正作品を観ているうちに何だか慣れてきたので、桐華原作の彼の作品がどんな感じになるのか観たい気がします。
    でもまぁ日本にやって来るのはまだまだ先なんでしょうね~(^^;)

  2. yuca

    meiさん、コメントありがとうございます♪

    きゃああ、コメントいただけるなんて光栄です!

    >ようやく日本にやって来ましたよね。
    昨年秋に本国で放映されているので、思いのほか早かったかな。
    最近華流ドラマも日本上陸が早くなってきてうれしい限り。あまりに早すぎて視聴が追いつかないという悩みもありますが。

    >「楊家将」
    ですよね!あの頃よりは皆大人になっている。
    「風中奇縁」は「歩歩驚心」ほど深い物語ではないような気がしますが、私は大好きでした。序盤のヒーローの報われなさに、のたうちまわりましたもの。

    >そして気になるのが「云中歌」。
    ですよね。しかもアンジェラ・ベイビー。
    早く放映されて欲しいです。また、のたうちまわりたいなぁ。

    >桐華原作
    「金襴良縁」もありますよね。このドラマはどうなのかな。
    トン・ホアの作品は、叶うことならば原作も読んでみたいのですが。

    「泡沫之夏」もそう願っていて、実際日本語で読むことができたので、いつか叶うかもなんて夢見ています。

  3. yuca

    鍵コメさま、コメントありがとうございます♪

    わ~い、お久しぶりです。

    そしてご指摘ありがとうございます。
    助かります~!!

    ホントだよ、300年って(爆)
    修正いたしますね。

  4. ハルハル

    風中の縁嵌ってしまいました(>_<)
    yucaさんの無忌を表した「軽妙、洒脱、豪胆、磊落、無愛想、自由奔放、束縛を嫌い、風のように来ては風のように立ち去るこの愛すべき公子!
    リアリストで、物事を残酷と思えるくらい冷静に見通せる人物。
    慇懃無礼で、皮肉屋で、つむじ曲がりの、さびしがり屋に。」素敵です!文章能力のない私には表現出来ない~
    前半の九爺に恋する莘月も可愛くて好きです。抜け出せない~無忌に会いたいです。

  5. yuca

    ハルハルさま、どもども~♪

    おおお!「風中の縁」もはまるよね。

    このドラマもぐいぐいと私たちを引きこんでくれます。
    無忌は理想の男子だわぁ(ウットリ)

    九爺もね、可哀そうで胸が痛かったのです。
    フー・ゴーが九爺のような、さらに九爺をバージョンアップした役を「琅琊榜」で演じています。
    今この「琅琊榜」に夢中なのです、私。

  6. moo

    はじめまして。mooと申します。

    いつも、こっそりとお邪魔しています。

    yucaさんのブログで風中の縁を知り、ずーっと待ち続け、最近やっと視聴できるようになりました。

    今、9話までですが、無忌の眼差しに、メロメロです。笑

    ドラマを何度も視聴しながら、yucaさんの感想も何度も読み直し、浸っています。

    続きが気になってしょうがない毎日です。

    お邪魔しました。