裏切るのは人ではなく・・・奇皇后 26話まで

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韓国ドラマ「奇皇后」26話まで視聴。

 

裏切るのは人でない、時世だ
皇居の華やかさの裏には必ず死が潜む
選択を迫られたら、きっとお前はわが一族を裏切る

 

タルタルのスンニャンに対してのこのセリフは、このドラマの行きつく先をも予言しているかのように、深く暗く響く。
この23話から24話というのは「奇皇后」のドラマのターニングポイントでもいうべき展開が繰り広げられる。
生と死、愛と憎しみ、裏切りと復讐が。
史劇ドラマは人の生きざまを描いているようでありながら、実は「時」を描いているのだろうな、と常々思っている。
隆盛を誇ろうと、不遇をかこおうとも、野心も憎悪も愛情さえも、時の流れの前には無力で、遥か遠い記憶の中に押しやられてしまう。
だからこそ、この一瞬に命をかけようとする登場人物たちが愛おしくなる。
そして「奇皇后」もまた、時の流れにより、さまざまな立場に人々は押しやられ、自分の思惑とは関係なく「裏切り」を繰り返していくのだろうな。
26話で、さまざまな「裏切り」の萌芽を見つけることができる。
共に生き共に死のうと誓い合った恋人たちが、違う道を歩みだしたのも「裏切り」
一途な恋心に応えようとしないのも「裏切り」
今まで無力だった女が、権勢を得てしまうのも「裏切り」

 

 

 

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暗愚な王であるタファン。

 

無謀に企てたクーデターが失敗し、周囲から人を遠ざけられ、そして声すら出なくなってしまった王。
ただ生きているだけの王。
タファンが愚かなのは、宮廷内において幼少期から精神的に抑圧され虐待され続けてきたから。
何一つ自分の思う通りにはならずに、ただ人形として生きていくことだけを望まれている王。
スンニャンが死んでしまったら、生きる気力さえ失ってしまって。
彼のスンニャンに対する愛情は、閉鎖空間で死にさらされ続けるという非日常的経験を共に過ごすことで、ますます強くなってきた。
彼女に対する愛だけが、タファンのたった一つ持っているものなのだ。
すべてを持っているようで、実は何一つ持っていない皇帝の、たった一つ持てるものがスンニャンに対しての愛、だったのだ。
スンニャンを再び見出した時の、うつろな瞳から震えるように「ヤ、ヤンイ・・・」と声を出すことができたタファンがあ、あまりにも痛ましくて、痛ましくて、限りなく愛おしい。
暴力にさらされている皇帝が抱く愛情は、All or Nothing であり、スンニャン以外の者に対しての愛情の乏しさには戦慄を覚えるけれども。
自分の子供を身ごもったパク氏の死には心を動かされずにいる彼の姿には、この先の悲劇の萌芽が見られる。
人は一人の人だけと生きていく訳ではないのに。
もっと周囲の人との調和も必要なのに。
タファンのまなざしには恐ろしいくらい、スンニャンしか見えていなくって、そんな彼が私には不憫で、愛おしい。

 

 

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スンニャンを自分の女として愛したいタファンと、同志として共に戦いたいスンニャン。
二人の再会は初めから気持ちがすれ違っているわけで。
このすれ違いがタファンにとってはスンニャンの「裏切り」になるに違いない。
スンニャンのタファンに対する気持ちも愛の一種だけれども、タファンが望むような愛のカタチではない。
自分の一途に愛する気持ちに応えようとしない女は、やっぱり「裏切り」なのだから。
自分を利用していると分かっていても、そばにスンニャンを置いておきたいというタファン。
だってスンニャンに対する愛だけが、自分が持っているただ一つのものだから。

 

 

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愛に溺れがちなの男たちと違って、スンニャンに目的のある皇宮での闘いは、面白い。
スンニャン自身も言っているけれども、権力闘争だから。
ただ、そのためにタファンの一途な恋心を利用していることに、どこまでスンニャンが自覚しているのか。
タファンを立派な皇帝に、そしてヨンチョルに復讐することがタファンに対する自分の誠意の表れだと思っているスンニャン。
しかしタファンは名実共にある皇帝になどはさして興味がなく、ただただスンニャンと共に愛し合って生きていたいというささやかな望みだけがあるように思えるけれどもな。
だからこそ、スンニャンが皇宮の中で権勢をえるためにタファンを利用すればするほど、実はタファンの心は傷ついていくという、矛盾。
皇宮でスンニャンが成りあがっていく爽快感と同時に、タファンの心が傷ついてしまう憐憫感を味わって、私の心もちりちりです。

 
あ、相変わらずワン・ユ一行には全く興味がない・・・(笑)
元と高麗と二つの国が舞台になると、私は彼に興味がないんだわとますますはっきりと自覚してしまいます。
だいたいワン・ユの行動パターンはいつも一緒です。敵のところに部下を潜入させてという。
お前は潜入捜査官か、とこっそり毒づいています・・・ごめんね~。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. シカマル★まぴこ

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    yucaさん、こんばんみ!
    この記事のTOP画像が、チン・イハンではありませぬか!
    それに興奮してコメントを・・・w

    このドラマ、BSプレミアムで放送決定でとっても嬉しいです。
    まさかのBSプレミアム!!!でウキウキな上に、チン・イハンが見れるってんで楽しみです。
    チ・チャンウクも大好きなので・・・・♡

    またもやドラマを見て、もう一度yucaさんのブログを見る日々が始まりそうです♡

  2. moonlight-yuca

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    ♪まぴこさん、コメントありがとう~♪

    チン・イハンのファンなのね~
    このドラマではタルタル(名前がカワユイ♪)という智将を演じられております。
    ラブ・ラインはないのだけれども、ハ・ジウォン演じるスンニャンとの並びが美しいの。
    他のどのヒーローよりも彼と並んでいた方が、カップルとしてしっくりくるのになぁ。
    と、つぶやいております。

    8月からBSですよね。
    しかしNHKって、週1回放送なのが残念。韓国と同じようにせめて週2放送がいいのですけれども。

    >チ・チャンウクも大好き
    「奇皇后」では彼の演技に釘付けです。
    本当に痛ましくて、愛おしい皇帝の愛の行方にくぎ付けです。