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私たちは、なんと孤独な生き物なのだろう・・・奇皇后 23話まで

韓国ドラマ「奇皇后」23話まで視聴。

 

このドラマ、序盤はスピーディーに、物語が元に移ったくらいから、妙にまったり展開だったのですが。
23話の怒涛の展開にはびっくりして度肝を抜かれました。
たった60分なのに、まるで2~3話分の展開をもってきたような中身の濃さ。
ツッコミどころ満載のその展開にどうしても叫ばずにはいられません!
以下、ドラマの内容に触れています。

 

 

 

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22話で妊娠が発覚したスンニャン、あっという間に出産。

 

ドラマの序盤に身ごもったパク氏はいまだに臨月だったのに・・・
それも、スンニャンは自分ひとりで産んで、出産直後に走りまわっているという、強靭な体力、回復力。
まさにオオカミです。
生まれた赤子は、どうみても未熟児には見えないまるまるとしたしっかりしたお顔の美赤子で(笑)
前回タナシルリの妊娠に驚いたのですが、彼女は想像妊娠。
そしてついに彼女は、一線を踏み越えてしまいます。
暗くて深い、そして二度と戻れない世界へ、自分の手を血にそめて、他人の屍を踏みしめて生きていく道へと。

 

 

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ファンタジー史劇といっても「奇皇后」は後宮モノにカテゴライズされるでしょう。
前回も考察しましたが、後宮モノは階級闘争であり、権力闘争であり、それは武力をもってではなく、愛の闘争で階層のてっぺんを目指す物語です。
ここでの勝者は、多くの愛を勝ち得た者なのです。
ところがどうやらこの物語では愛は決して誰の上にも訪れないような気配がただよっています。
スンニャンにも、ワン・ユにも、タファンにも、タナシルリにも・・・
いつも彼らの愛はすれ違ってしまい、互いに必要としながらもお互いにあらぬ方向をみつめて求愛しているような、なんとも苦い気配。
どうして人はすぐ近くにいる人の心さえ、ちゃんとつかめないのでしょうね。
愛し合おうとしながら、人の心は永遠にすれ違う。
私たちはなんて孤独な生き物なのでしょうか。
また、目に見えない愛を具現化するもののひとつには、もちろん「嬰児」なのでしょう。
タナシルリはタファンからの愛を得られませんが、「嬰児」という偽りの愛のシンボルを文字通り手に入れた訳です。
これからこの物語は「嬰児」をめぐっての、スンニャンとタナシルリの闘争になるに違いありません。
愛の闘争の、変形です。
タファンとスンニャンが結ばれる運命なのは、物語の冒頭で提示されていますけれども、それはスンニャンにとっては勝利ではないのね。
スンニャンにとっての愛の闘争での勝利とは「嬰児」を取り返すことで、そのことにより彼女はワン・ユとは結ばれることは決してないのかもしれない。

 

 

 

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愛する女を失って悲しむ男たち。
まあ、このドラマの男たちは、なんて恋愛至上主義なんでしょうか。
民衆のことを、国の行く末を全く考えないタファン、スンニャンを得るためだけに権力を欲しているようでもあり。
そして、タファンのスンニャンへの傾倒ぶりは、末恐ろしささえ感じます。
自分の側室が殺されたというのに、彼の頭の中はスンニャンのことしかないのだもの。
タファンもすでに壊れた人間です。
そして、この後、ますます壊れていくのでしょうか。
「奇皇后」はなんだか壊れた人間ばかり登場するドラマのようです。
愛を渇望しているうちに、人として壊れてしまう、そんなさびしい人たちのドラマのよう。
愛という執着によって、追い詰められていく人たちの極限を描くドラマのよう。
私たちは「奇皇后」で美しくて素敵な愛じゃなくって、その裏側の醜く執着していく愛のもう一つの姿を観ていくのかしら。
さて、後宮モノにはつきものの、奴隷オークションがこの後開催されるのかな?
これも愛の階級がどのくらいなのか、分かりやすいですものね。
オークション金額によって、どれだけ愛されているか分かるという。
そういう意味で、非常に分かりやすいドラマです。
すべての筋立てが「愛」というものさしで図っていくドラマかな。
ここには「根の深い木」や「善徳女王」で見ることができた、民衆とは、国家とは、という深遠なテーマは描かれていません。

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 6 )

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  1. moonlight-yuca

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    ♪鍵コメさま、コメントありがとうございます♪

    あはは、アカン感じが漂っていますか(笑)
    そんな気配が漂っていますよね~

    私は現在32話で足踏み中なのですが、おそらく「善徳女王」で描かれなかった恋愛モードを「奇皇后」の脚本家は描きたかったのではないかと邪推します。

    トンマンとピダムのじれったさ、あるいはユシンとの関係とか・・・?

    面白いものでドラマって「好きだ嫌いだ」だけ描くと、「奇皇后」のように薄っぺらい展開になってしまうのですね。
    その薄っぺらさを自覚してか、やたら四文字熟語や老子、孫子などのキーワードを持ち出して奥行きを出そうとしているけれども、かえって浅学なのがばればれで興ざめになってしまいますね。

    私、タファンが壊れていく様子が観たいのですが、そんな期待も抱いちゃだめかな~?(爆)

  2. moonlight-yuca

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    ♪鍵コメさま、コメントありがとうございます♪

    きゃああ、現代版のご紹介ありがとうございます。
    本当にこっちで見てみたいくらいですね(笑)
    しかし、650年たってもタファンはスンニャンとは幸せになりそうな感じではない・・・(爆)

    おっしゃる通り、悪役がなんとも魅力がないですよね。
    そしてだんだんスンニャンがスーパーウーマンになってきて、なんでもできる設定になっている。
    タルタル師匠までがスンニャンに戦略を聞いているのをみると、「なんじゃそりゃあ」って気持ちになります。

    比べちゃ、なんですけれども「善徳女王」のミシルはすごかった。
    ちっぽけな権力なんかにしがみつかずに、国を憂えていましたものね。
    「奇皇后」を視聴していると、無性に「善徳女王」が懐かしくなります。
    脚本家のキム・ヨンヒョンが描いた「根の深い木」もものすごい深い作品でしたものね。

    そっか、やっぱりタファン壊れるのですね・・・
    ちょっと切ないなぁ。

  3. 頑張ろう、な、FANです。

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    すんげぇ・・・
    おっと、失礼。

    凄いです、ユカさん。このドラマ前半の、最大の見せ場も。おお!このバッサリ!具合。
    何がどうして、誰がどうして、こうなったか?

    By・・@ユカさん ※色々有ったんだろうね~・・・。(以上、以下何もない)

    紅白やら、震災やらに心を奪われていたので。
    来週ぐらいから、本腰入れようと思って、復習したらば。あら?ヒロインが洞窟で出産。

    え?その前に・
    どなた様と、そんな直截的(オイ・・)なことになってたの、しかも、誰と?・・・?

    あらら、そうか、王様とのシーン、早送りしていたけど。
    あ、そうなのか!多分、有ったんだろう、(何が?そこ、すら見落とすほどの、早送りって、どうよ)

    凄い展開、目を離せない筈なのに、ユカさんに報告したいだけで録画している気が・・・・いえ、気のせいです。

    このドラマの最終回まで、
    こちらのブログのカテゴリに、タイトルは残っているでしょうか・・。

  4. moonlight-yuca

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    ♪FANさん、コメントありがとうございます♪

    >このドラマ前半の、最大の見せ場も。おお!このバッサリ!具合。
    あははは!
    昨年意地で視聴したドラマに一つですからね「奇皇后」(笑)
    どこがどう悪いのか、いまだにわかりませんが、どうにもこのドラマ共感できないのよね。
    しかもFANさん、週1放送で視聴されているんでしょう!
    立派です!!
    私は集中視聴してなんとか視聴完了したクチですから。
    週1放送ならば、間違いなくリタイアしました(笑)

    スンニャンのとにかく野生ぶりに度肝を抜かれました。
    出産してすぐさま激しいアクションなんて。
    こういう女性の強さを見せつけられると、このドラマの男たちは全員へたれなのも仕方がないですね。

  5. 葵木

    この感想を見て、まだまだ自分の考えが未熟だなと思いました。
    単なる歴史上のラブストーリーとしか見ていなかったので…
    とても勉強になりました!
    ありがとうございます!

  6. yuca

    葵木さま

    はじめまして。コメントありがとうございます。

    「奇皇后」・・・私も記憶が薄れてきておりましたが、こんなことを自分が書いたのかとびっくり。
    ほろ苦いラブストーリーですよね。