あんたがくれる愛はいらない・・・その冬、風が吹く2話まで

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韓国ドラマ「その冬、風が吹く」2話まで視聴。

 
ふ~ん、面白いなぁ・・・そういう風にリメイクしていくんだなぁ、というのが第一印象。
原作の日本ドラマ「愛なんていらねえよ、夏」と比較しながら視聴することに意味はないのかもしれないけれども、どうしても比較してしまう。
日本ドラマと韓国ドラマの違いというのも、ありありとわかって非常に面白い。私が感じるこの面白さ、というのは「その冬、風が吹く」というリメイクドラマが持つ面白さという部分であって、作品としてではないというのが、またミソですが(笑)

 
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脚本家のノ・ヒギョン曰く「すでに私が知っている物語なら、書かなかったはずだ。生き残ろうとする二人の男女の物語が私の頭の中を埋め尽くした。冬でも熱くなれる韓国らしいドラマを作りたい」とのこと。夏が舞台なのにどこか冷たい乾いたニヒリズムを感じさせた「愛なんていらねえよ、夏」に対して、「その冬、風が吹く」は、なんて熱いんだろうか。
登場人物全てが、「生きているから生きたいんだ」と全身で叫んでいて、もがいているようなドラマだった。
登場人物が「愛してほしい」と全身で叫んでいて、「愛する者をみつけたい」と語っているようなドラマだった。
原作のクールさは影をひそめて、「生きる」ことに戸惑う人々が登場する。
どちらが好きかと言われると、人それぞれでしょうけれども、私はやっぱり原作が好きだなぁ~
このドラマは、ものすごいベタな展開で愛を探していく物語なのだが、生きることに絶望して、倦怠の中で生きてきた、生きることも死ぬこともどっちでもいい男レイジ(渡部篤郎)が光を、愛を見出していくさまに心が揺さぶられたのだから。
生きることに倦んでいる男と女が、嘘の海の中で真実を見出し生きていこうとしたことに、感動したのだから。

 
a0192209_2345153韓国ドラマって、語りすぎるのよね~といつも思う。全てを語って説明しないといけないかのように、偏執的に語っていく。出生から、幼年期、親との葛藤、愛を見出すさま、失うさま、全てを語る。その手法が心地よい時もあるけれども、時としてうざったくなる時もあって。
余白を楽しむドラマが少ない。余白を楽しむというのは、ドラマのバッグボーンを想像して、噛みしめて、自分の中に落とし込んでいく・・・と言うことなのだが。
説明せずとも、ニュアンスで楽しめることってあると思うのだが。
そういう感じで、「その冬、風が吹く」も1~2話から語る、語る。
びっくりしちゃった(笑)
「愛いら」ではニュアンスだけだった事柄も、序盤で全てさらけ出す。え、そんな手札まで見せちゃっていいの? この先の長丁場どうやって視聴者を引っ張っていくんだろうか、と心配になるくらいに。
オ・ス(チョ・インソン)の出生から、初恋の顛末、オ・ヨン(ソン・ヘギョ)の周囲の人々の思惑まで、まるっと。
そもそもオ・スとオ・ヨンが1話で出逢っちゃうし。
「愛いら」で一つ一つ嘘がさらけ出され、最後の食卓で全ての嘘が明るみに出た時の衝撃、緊迫感があったのに・・・
このドラマ、序盤である程度登場人物の立ち位置を明確にすることで、視聴者の興味をただ一つに誘導しようとしているのではないか。
すなわちロマンスに。
「愛いら」では、登場人物の心が読めないことが面白かったのだが、ここではスの気持ちはまるわかり(爆)
ものすごくストレートに動揺したり、喜んだり、屈辱に震えるスを見ていると、本当にギャンブラーなの?といらぬ心配をしてしまう(チョ・インソンだからなのか?) ポーカーフェイスになれないギャンブラーです。

 

 
a0192209_23443513まあ、初期設定をホストからギャンブラーに変更しただけでも、私にはスは「生きたい」と全身で叫んでいる熱い男に見えてしまいます。
そもそもギャンブルというのは、くすんだ日常がきらきらと輝きだすということ。
調子のいい時は、自分が全知全能の神になったかのような錯覚を、負けている時は死にゆく昂奮を味わえる。
その輝きを見たいがために、家族を置き去りにし、恋人を泣かせ、過去を振り返らずに、全てを投げ打って
死にゆく恍惚と昂ぶりにうっとりする。それがギャンブル。
生と死を両方一瞬に味わえるということは、市井の生活ではなかなかないからなぁ。そういう生業をしているスは、「生きること」を思いっきり満喫して、ただ一つ彼に足りないのは「愛」。
「愛」を信じてみたい、探したいと思っている、純真な男になっていますね。
本心が読めなかったレイジとは大違い。

 

 
a0192209_23533451ジンソンとヒソン。彼らもなんだかものすごく明るい~

 

 
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互いに互いの真実を知っている男と女の駆け引きにドキドキしながら視聴するのが、このドラマの正しい見かたかな。お互いの手札を知りながら、掛け金を引き上げていくスとヨン。先にドロップするのはどちらなのか。まあ、愛はポーカーじゃないので、レイズするばかりではなく、ドロップをするからこそ(愛を告白する)相手の心を動かすってこともありますものね。
すでにヨンは「あんたがくれる愛」と言っているのは、非常に興味深いです。「愛がいらない」のではなく「あんたがくれる愛」と限定すると、逆に相手に対する強いこだわりが見て取れるけれども。

 

 
◆原作の「愛なんていらねえよ、夏」の考察はコチラ。
◆映画「愛なんていらない」の考察はコチラ。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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