The Longest Day・・・傲慢と偏見12話まで

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韓国ドラマ「傲慢と偏見」12話まで視聴。

 

視聴者の方々はご存知だと思うが、このドラマはとても不親切なドラマだ。それで僕たちも難しい点が多いし、かなり勉強する。
チェ・ジニョク「『傲慢と偏見』は不親切なドラマ…課題が多い より引用)

 

1話で1つの事件を解決、そして全話を通してヒロインのハン・ヨルム(ペク・ジニ)の弟失踪事件の謎が解決されていくよくある構成だと思っていた私の浅はかさをお許しください。
これは、このドラマは、そういう爽快感を視聴者に与えてくれない。
4話あたりから事件は解決せずに、さらに他の事件とリンクして、さらに過去の事件へとさかのぼっていくという複雑な様相を呈してきた。
つまり、訳もわからない迷宮に私たちはいつの間にか迷い込んでしまった、そんな途方もなさを感じさせてくれて面白い。
次々に私の予想を裏切っていく展開。
ロマンスは本当にお飾り程度で、私たちはク・ドンチ(チェ・ジニョク)と共に、ムン・ヒマン部長(チェ・ミンス)という一人の人間の複雑に屈折した闇の中に入っていくようなそんな物語。

チェ・ミンス、最高!
「傲慢と偏見」ではチェ・ジニョク見たさに視聴を始めたのですが、チェ・ミンス演じるムン・ヒマンというキャラクターにすっかり魅了され、振り回されています。
おそらくジニョクが渾身の演技でチェ・ミンスに挑み軽くいなされている、その様子を楽しむドラマだとでも言うべきなのか。
ク・ドンチが毎回、ムン・ヒマンの手の上で転がされているような展開とオーバーラップしてさらに面白さが増すのよね。

 

このドラマ。確かに難しい。

 

 

 

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カン・スが複雑な物語展開の中での癒し。あとチャンもカワユイ~
年上のハン・ヨルムにひそかに片思いをする捜査官なのだけれども、視聴者にはもしかしてヨルムの弟かもというミスリードをさせておいてあっさりとひっくり返すこの物語展開。
しかも物語の中核の事件1999年の二人の子供の失踪の片割れ。彼の過去にいったい何があったのか。
過去の事件が断片的に関係者たちから語られるが、はたして彼らは真実を述べているのか。何を隠そうとしているのか。
謎が謎を呼び、12話において複雑に絡み合っている。

 

やはりク・ドンチは難しかった。「苦しみを感じた」というのがチェ・ジニョクの記憶である。時系列順にストーリーが展開されない「傲慢と偏見」の時間が視聴者にとって迷路だったとすれば、チェ・ジニョクは迷路の中を走り回る主人公だった。
チェ・ジニョクが語る作品、入隊、そして恋愛 より引用)

 

 

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この2人の身長差に萌え萌えです。

しかし、「傲慢と偏見」はロマンスではありません!
このドラマの惹句は、ク・ドンチとヨルムの恋物語のようで、検察を舞台にした青春ラブストーリのようですが騙されていはいけません。
ドンチとヨルムの恋模様は、すでに1話から両想いなのですからこの2人。
12話かけてもどかしい展開になっているかのように見えますが、ク・ドンチがじりじりとヨルムとの距離をつめていく過程を楽しんでいるだけなのですから。
彼がその気になれば、ヨルムなんかイチコロです。
「幸せになるのが怖い」などというヨルムを尊重しているかのように見えて、ク・ドンチはその距離感を楽しんでいるんです。
まるで取り調べ室で被疑者をオトすように、徐々にヨルムの外堀を埋めていく過程を楽しんでいるのです。
だからロマンス描写はあっさりしている。
「傲慢と偏見」はロマンスドラマではありませんよ。大事なことなので2回言いました(笑)

 

 

 

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では「傲慢と偏見」は成長物語かというと、そうでもない。そこが面白い。

 

このドラマは 法と原則、人の愛を武器に悪者と対決する検事の物語で、お金がなくて力なく、罪のない人が傷を負わないように、努力する検事たちの孤軍奮闘を描いた物話。

 

ドラマ紹介の惹句も違いますからね(笑)
正義や夢や希望を抱き貫こうとしたムン・ヒマンが検察という組織の中で生き抜くために、次第に変貌し、複雑な複雑すぎる人間になっていく。その痕跡をク・ドンチがトレースをしていく物語なのかもしれません。
ムン・ヒマンはかつてはク・ドンチのようだったのかもしれない。
検事としての正義を貫くためには、組織で上を目指さないと力は持てず、組織で生き抜くためには自分の正義をも曲げなければいけないという矛盾にみちた存在なのですね検事って。
そういう矛盾に満ちた存在のムン・ヒマンに思いっきり魅せられています。
頭がよく、度胸があり、傲慢、横柄、冷酷で、独善的、自己中心的、押しつけがましく、憎々しい。
やっぱりテレビドラマの登場人物にしては複雑すぎるくらいなムン・ヒマンとはどういう人間なのか。
部長という迷宮に迷い込んだのはク・ドンチや私たちなのですね。
ムン・ヒマンの真意はどこにあるのかを探るドラマなのですね。
「傲慢と偏見」というタイトルは、ドンチとムヨルの恋模様を暗示しているのかと思っていましたが、実はドンチとムン・ヒマン部長の関係を暗示しているのかもしれません。

 

とにかくチェ・ジニョクとチェ・ミンスのケミストリーが絶品。二人の演技合戦は必見。
ジニョクの入隊時にチェ・ミンスが見送りに来ていたとどこかの記事で読んだのですが、それもむべなるかな。
そのくらい息があっていて、スリリングで緊張感にあふれている。
ムン・ヒマンに見せる、ク・ドンチの困ったような途方に暮れたような、探るようなそんな表情を毎回堪能しています。

 

 
1
「傲慢と偏見」の脚本家イ・ヒョンジュを調べてみたら、私の大好きな「普通の恋愛」「ゆれながら咲く花」の脚本家だったのね!
なるほどね。ロマンス描写が薄い理由がわかりました。
「普通の恋愛」「ゆれながら咲く花」もどこかブロマンス(Bromance)の匂いがしていましたが、だから「傲慢と偏見」もク・ドンチとムン・ヒマンの関係性が面白いのよね。ムン・ヒマンとチョン・チャンギの関係性、ク・ドンチとカン・スの関係。
男同士の火花散る対立と共存が面白いのです。
イ・ヒョンジュは恋愛模様だけではなく、生きていくうえでの軋轢、人と人との関係性を掬い取り描ききる脚本家のような気がします。

 

 

検事たちの長い1日はまだまだ終わらない。

 

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 12 )

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  1. FANです。

    @・・・来てね。
    と、言っていただく前から、これをご報告したくて・・。

    ムフムフ♪ オジサマスキー・ユカさん。
    そりゃぁ、そうですよ。こちらのミンス氏のキャプを拝見しただけで・・。
    そりゃもう、美少年と、中堅、その部類に属さない、この人は別物です。

    前から思ってましたが、この方。
    緒形拳と、藤さんを足して、4で割った様な(あとの二人は未定・・)俳優さんだと思います。

    チラホラ、他作品でもお見受けしますが。
    ナンセ、演技構成が難解なので、視聴者に緊張を強いる役者さんです。

    ただ、監督さんや、対峙する役者さんと噛み合ったときは、相乗効果に厚みを残しますよね。ユカさんが、悶えるのも分かります、(まだ、見て無いけど)

    あ、そうそう、藤さんの映画、見ました。 これまた、タケシが、藤さんを弄りたくて。
    弄られる藤さんも、お互いに楽しかったんだろうなあ。。と、思わせる、仕上がりでした。

    北野作品に、ミンス氏、出てくれないかしら・・。出来れば、藤さんを狙うヒットマンとかで・・。

  2. yuca

    FANさん、おはようございます♪

    >演技構成が難解なので、視聴者に緊張を強いる役者さんです。
    共演者にも緊張を強いますよね。その緊張感が伝わってきてドラマが引き締まります。

    >対峙する役者さんと噛み合ったときは、相乗効果に厚みを残しますよね。
    そうそう。
    私、チェ・ミンス氏をじっくり見るのが初めてで。
    なんせ「信義」の時は出演は一瞬だったし、「剣と花」は1話でストップしちゃいましたから(笑)
    「剣と花」でもミンス氏は圧巻だったらしいですしね。やっぱり観ようかな~「剣と花」
    ナルの前髪ウザオ君が出演するので敬遠しておりましたが。

    >藤さんの映画、見ました
    まあ! いいよね~藤さん。毎週木曜日になるとそわそわする私。
    殺陣がイマイチだろうと、話のオチがどこにむかっているのだろうかとか関係なく、藤さんの存在が垂涎。

    >出来れば、藤さんを狙うヒットマンとかで・・。
    そんな映画があれば悶死。

    あ、「悪魔のようなあいつ」では藤さんと若山富三郎の共演が見れて幸せでしたよ。
    ミンス氏の演技はどこか若山さんにつながるし。変化自在の演技が。たたずんでいるだけで絵になるところが。
    若山さんがね、人生のラストソングに何を聴くかとの質問に「時の過ぎゆくままに」を挙げられているのを見て、じんときたことを思い出します。

  3. FANです。

    ひゃあ!!勝シン兄!!
    お兄さま、この方の魅力を分かちあえるだなんて。
    ユカさんに鼻血が出そうです。
    ミンス氏が、何かのドラマで、15kgぐらい太ったら、あの存在感が出るでしょうね。

    悪魔のようなあいつ、ジュリー見たさで見ていたのに。いつしか、ジュリーを追いつめる勝シン兄と、藤さんにばっかり、目が行ってしまったなあ・・。
    勿論、ジュリーの異星人のような美麗さも秀逸でしたが。

    あ、剣と花、まだ消去なさって無いならば。
    王様ご逝去の後の、凝りまくったナルちゃんと全く噛み合わない、ミンス父の冷淡な姿(演技)は、違う意味※で、一見の価値ありですよ。ドラマの筋は、まあ、ねえ・・?見過ごされても、大丈夫です。
    ミンス氏の渋さが、見事に息子二人を置き去りになさっています。

    ※違う意味 ≒ ナルちゃんの頑張りの空回りっプリを、見届ける。の意 

  4. yuca

    FANさん、おはようございます♪

    >ジュリーを追いつめる勝シン兄と、藤さんにばっかり、目が行ってしまったなあ・・。
    久世さんのジュリーに対してのオブセッションをこの2人で表現していますからね。
    あのねっちこさは放映していいのかしら?と思うくらい結構ギリギリの線だったと思います。あの頃は今より規制が緩かったのよね。

    細川俊之が演じた王も異様でしたね。あとジュリーにやたら絡む尾崎さんは素かと思うくらい。
    贅沢なドラマだったなぁ。

    >凝りまくったナルちゃんと全く噛み合わない、ミンス父の冷淡な姿(演技)
    うわ、背筋も凍るような怖さを感じますね(笑)
    怖いもの見たさでチャレンジするべきか?
    あの映像美は好きなのですけれどもね「剣と花」

  5. FANです。

    @うわ、背筋も凍るような怖さを。。
      それがねえ・・・まあ・・・・。

    @・・感じますね(笑)

    だから、あなたって方は。
    未視聴の時点で核心をついたら、アカンてば。  

    @(笑)・・
    ええ、ええ、まさに笑えるのです。
    もう、何が言いたいのか良く分からないままで、急遽、ラストへ向かいます。

    ヒソっと。そういう意味では、彷徨い始めた野島作品と似ているのかも・・。(アルジャーノンを彷徨わせないでね・・)

  6. 鍵コメな、FANです。

    木曜日を目前にした、ユカさんへ。
    絶賛視聴期間も、遊んで下さったお詫びとお礼を込めて、以下の画像を進呈します。

    藤さんの昔のNHKドラマ(中国合作)の、ラストの詩・だ、そうです。

    台湾在住の知人からの転送で。
    何処からの画像かわからないので、内緒にしました。

    ※ヘンなウイルスは無いと思いますが。もし!? やたら、時間がかかったら、途中でヤメテ下さいませ

    http://air.ap.teacup.com/donmain/img/1283164776.jpg

    画像が鮮明とは言えないので、詩を以下に転記します。

    無名の人たちがいる 生れ愛しわかれ 死ぬ人たちがいる
    人は国境をつくる 
    国境を越えるのは 時に暴力 時に愛

    愛は 鳥のように軽やかに 国境を超える

    無数に流された血がある

    勝利と敗北
    希望と挫折
    絶望と再起

    古い時代は 新しい時代を拒んで 壁を作る

    壁を押し流す大河の水に 
    もとの雨の一滴を 見分けることはできない

    幸福(しあわせ)な現在(いま)を つくったのは誰かと
    大地に訊こう 風に訊こう 

    大地は答える 無名の無数の人・・・
    風は 答える  
    その人の名を 私は知らない・・・

    ユカさんは、このドラマご存知ですか?
    タイトルを思い出せないのですが、確か?原田芳雄も出ていて、藤さんは、中国で死んでしまう結末だっだような。
    藤さんのアウトローな死にざまに、このテロップがとても映えると、思います。

  7. yuca

    FANさん、コメントありがとう~♪

    >未視聴の時点で核心をついたら、アカンてば。 
    え? そうなの?(笑)

    しかしチェ・ミンスと共演するのって幸せだけれども、怖いよねと思いました。
    ナルちゃんが怖いと思ったかどうかは不明ですが。
    怖いと思うくらいが役者としての力量は上がるのにね。

    そうそう野島さんが「アルジャーノン」は視聴率は上がらずとも、作品として評価してもらえばいいと語っていました。
    (要するにクドカン作品のように視聴率は上がらずとも、DVDが売れればいいという意味だと思います)
    そこまで凄い作品なのですか?
    今回私はスルーしちゃったのですけれども。

  8. yuca

    FANさん、どもども~♪

    もうすぐ藤サマにお会いするのであっさりとしたコメ返しでお許しを。

    これは、「その人の名を知らず~広島&長崎の被爆者に捧ぐ」というドラマ番組。
    1989年に日中友好条約締結十周年記念としてのNHKのドラマです。
    確かいまだDVD化されておらず、今や幻のドラマになっています。

    こういうドラマこそオンデマンドで提供してほしいね。
    いや、藤さんのドラマは全てオンデマンドにしてほしい。
    藤さんの館を作ってもいい。
    私が館長をするから(爆)

  9. 感謝の、FANです。

    おお!さすが、ユカ様!!ご存知でしたか?タイトルを教えて頂いて、検索。

    はいはい、何故?覚えていないか納得できました。
    そうか、ヒロインは、澪つくし・・あ、何でも無いです。

    と、ミンス氏を置き去りにした、コメントの反省として。

    彼の、ユリョンという映画、ご存じでしょうか?あれは凄いですよ。
    潜水艦、核、テロ・そんな映画なので、お好みでは無いかも。
    が、ミンス氏の魅力は、もう・・。

    @ミンスと共演するのって幸せだけれども、怖いよね

    はい、まさに仰る通りの映画が、これです。
    なんせ、憎ったらしい~の×8倍ミンス氏ですが、カッコいいです。
    潜水艦の閉塞感が、彼の演技で更に増します。それと、

    日本が嫌いな国は世界中に在るのよ、そりゃそうよね?という。
    大人の対応を鍛えてくれる映画でもあります。

    大人の対応を、
    映画に訊こう ドラマに訊こう
    その目的を 私は知らない・・・(これって、推奨なのか?)

  10. 妄想・FANです。

    @藤さんの館を作ってもいい。
    私が館長・・・。

    はい、畏まりました、ユカさんが館長をなさるなら。私は直ちに、清掃員の研修を受講します。

    で、館内をセッセ、セッセっとお掃除しながら、藤さんを連日、拝み。
    休憩時間はサロン・ド・ユカ(従業員割引にて、旧邸・ご新居の年間パスを購入)を、徘徊。

    入場者が伸び悩んだ暁には、寺山記念館をユカさんは参考視察のため、閉館。

    あ、当然、私はお留守番を受け賜ります。
    その間、座敷牢に監禁(イやんドキドキ、あ、違う)。
    そして、牢の中から人生を省みる・・。ああ、至福の桃源郷・・って。

    ええ、そうです、妄想って、お金のかからない、究極の贅沢なのです。
    (GW明けに却って来た適性検査の結果。何故か?異常無しでした。何の適正なのか?と、検査に懐疑的なFANでした。)

  11. yuca

    FANさん、コメントありがとうございます♪

    >ヒロインは、澪つくし
    爆笑です! 
    何もコメントしませんよ、私は(笑)

    >大人の対応を鍛えてくれる映画でもあります
    あ、そういう映画なのね。なるほど~
    ここら辺の対応は難しいなぁ。
    私は韓国映画ドラマを結構視聴していますが、ここら辺はいまだにお子様ですから、回れ右をして退散いたします。

  12. yuca

    FANさん、どもども~♪

    よ~く考えたら館長なんて、並みいる藤様ファンの方を差し置いて差し出がましかった。
    せめて売店のオバチャンでもいいなぁ(笑)

    そうそう、座敷牢は必需品ですよね、
    あと洞窟とか(笑)
    でもってマルチメディア室では延々と「愛のコリーダ」や「愛の亡霊」を流すのです。

    ♪ヨコハマ・ホンキートンキー・ブルース ♪が私大好きでね。
    松田勇作が歌うのも味があるのですが、やっぱり本家藤さんが歌うのはどこかかわいらしい。

    あの頃の俳優さんはしびれるくらいカッコいいですよね。