仮面

無題
仮面 MASK 20話 (2015年 韓国SBS)

■演出:プ・ソンチョル
■脚本:チェ・ホチョル
■キャスト:
スエ(ピョン・ジスク/ソ・ウナ)
チュ・ジフン(チェ・ミヌ)
ヨン・ジョンフン(ミン・ソクフン)
ユ・イニョン(チェ・ミヨン)

【あらすじ】
ウナ(スエ)とジスク(スエ)は瓜二つの外見だが、お互いの存在も知らずに、まったく違う人生を生きていた。裕福な家庭で育ったウナは御曹司のミヌ(チュ・ジフン)との政略結婚を控えていた。しかし2人の関係は完全なるビジネスパートナーに過ぎず、さらにウナには別にソクフン(ヨン・ジョンフン)という恋人までいた。一方で、デパート販売員として働いているジスクは、父の借金が原因で窮地に追い込まれていた。やけになりお酒を飲んだジスクは道で倒れてしまう。そして偶然その場を通り過ぎたミヌは、ジスクをウナと勘違いして助けるのだが…。


 

「仮面をかぶっていたら幸せにはなれない」
このドラマは最初からそのテーマでした。
面白いとは思うのですよ。皆さまの評価も割合いいみたいですし。
しかし脚本家の前作「秘密」を大絶賛した私にとっては、中盤から終盤にかけての展開は物足りませんでした。
マクチャンドラマが嫌いというわけではないのですが、人物の掻き方が薄っぺらい気がしてね。
いえそもそもマクチャンドラマだから人物像などどうでもよくなるのか。

 

 

 

Mask18-00036
「秘密」は文学的なニュアンスと伏線が好きだったので、「仮面」にも期待したのです。
最初はウィリアム・アイリッシュやトリュフォーのニュアンスを感じて身震いしていましたが、まさに「突然炎のごとく」(火事が起きる・苦笑)ドラマの雰囲気が豹変したのはなぜなのでしょうね。
シリアスを突き詰めるとコメディになってしまうという一例でしょうか。
悪役スキーの私を虜にしたソクフンの目的も義父に復讐したかったという「な~んだ」という理由。
自分は世界を変えることができるというドストエフスキーの主人公のような選民意識に囚われたキャラクターだと思っていたのに、最終目的が復讐だったので少しがっかり。
「仮面」に関しては視聴率もよかったはずなので、外部からの横やりも入らずに脚本家の描きたい世界観が描けたと思うのですけれどもなんだかちぐはぐな感じがしてたまりません。
あるいはもっと物語をそぎ落として16話ぐらいにコンパクトにまとめた方がよかったのではないかしら?
序盤の緊張感が薄れてきて、ただ冗長な感じになったような気がします。
あの伏線も、この伏線も放りっぱなしだし。
どうしたのでしょうか?

 

 

 

Mask18-00002
だいたい、スエって私の中では打たれづよいヒロインなんだよね。
眼はうるうるなのに、実は無表情でどんな状況にも淡々と対応し生き残るイメージがある。
繊細なようでいてどこかふてぶてしいイメージがあるのです。
生きていくしたたかさとでも言うのでしょうか。
ジスクからもそんな印象を受けます。
アイリッシュやトリュフォー、あるいはデュ・モーリアが描く追い詰められていくヒロイン像は神経質で精神的に混乱していくはずなのにジスクは強い。
いけしゃあしゃあと(笑)ソ・ウナとして生き始めるのだもの。
ソクフンも誤算だったでしょうね。
自分しか頼れるものがいない状況に彼女を引き入れそしてあやつり人形にする目論みが外れていきます。

 

 

 

Mask19-00082
むしろ愛に生きるヒロインとして私の印象に強く残ったのはミヨン。
愛する価値のない男を愛してしまったがために、堕ちていく女。
悪に徹することもできない、かといって善人に戻ることもできずに悪事に手を染めていく彼女はなんだか切なかったなぁ。
彼女のその混乱が「仮面」という物語を複雑にしたのでしょう。

 

 

 

Mask19-00099a
だいたいミヌはマザコンだし、ソクフンはファザコンなドラマでした。
「仮面」については私自信もいささか混乱し過ぎて上手く感想を書けないのだけれども。
シチュエーションを楽しむドラマなのかなぁ。
ミヌのツンデレを楽しんだり、ソクフンの悪役ぶりを楽しんだり、シリアスな展開の合間に差し入れられるギャグに度肝を抜かれたり。
物語としての完成度は決して高いとは言えないし、「仮面をかぶっていたら幸せになれない」なんてテーマはありきたりで面白みが足りない。
なんとなく視聴後の感想も中途半端なんです。
視聴前から期待が大きすぎたのかもしれません。
ただしソクフン役のヨン・ジョンフンの怪演は一見の価値あり!
ソクフンの悪役ぶりを私は思いっきり堪能しました!

 

 

 

★★★(前半は★★★★★ 中盤以降失速)


感想+考察

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

関連記事

  • コメント ( 4 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. choco

    yucaさん こんばんは~
    やっと、視聴終了
    しょっぱなから、これは面白そう~~~と・・・次を見たくて せっせと見ました。
    しかし!ま、この手の復讐劇によくあるパターンで 尻すぼみ~~って感じですかね。
    結末はどうなる~~~~!!!って、緊張感はまるでなく、残念!!

    チュジフン いつも変な性格だったり、癖のある役ですが 今回のミヌさん 好きでしたよ~~~ww  
    家庭の中に 居場所がないところにやってきたヌナに どんどんひかれてデレデレになる御曹司・・よくあるパターンですがね。

    スエさんは 安定の 私のイライラ役。
    いつも おとなしい顔して、結局男心をわしづかみかい!!です。渡辺謙さんと同じ事務所と 契約したとかーー日本のドラマで見る日が くるのか・・・

    ミヨナ 一番せつなかったですね。
    これもよくあるパターンの 愛のない家に育ち 愛を一途に求める女・・・でも、良い役でしたね。単に悪役じゃなく とことん愛に振り切った女。雪の女王がなつかしい~~

    ヨンジョンフン いや~どこまで悪なんだ!!!という役でしたが その動機は やはり親の復讐~~~それも 最後に説明・・・最後のドタバタ感は しかたないのですかね~~
    でも。期待を裏切らない 悪役ぶりでした。

    面白かった作品には 入ると思いますが・・・すごくーでは ないかな。
    yucaさんも仰っている通り ストーリーの展開は想像できるので それよりも その場面場面の演出を 楽しんだって感じですね。

    さて、次は何見ましょう・・・ww

  2. yuca

    chocoさん、コメントありがとうございます♪

    >結末はどうなる~~~~!!!って、緊張感はまるでなく、残念!!
    そうなのよ!前半はいい感じだったのにね、却って残念感が半端ありません。

    >いつも おとなしい顔して、結局男心をわしづかみかい!!
    スエってどうしてあんなに人気があるのかわからない。私の中ではしたたかなイメージ(笑)なのでね・・・

    おっしゃる通りミヨナが一番切なくってね。「雪の女王」からどうしてこんなにケバクなってしまったの?という驚愕もありましたが。

    >面白かった作品には 入ると思いますが・・・すごくーでは ないかな。
    ちょっとね、制作者側が面白がりすぎているというか、ふざけているシーンもあって、それがどっちつかずの印象になるんですよ。
    ヨンジョンフンくんの悪役ぶりには惚れましたが。
    本当にちょっと残念な感じのドラマです。

    次は何を見ましょうかね?
    最近何見ても、あんまりハマらないのだよね・・・
    しょんぼり。

  3. ゆま

    連投すみません。
    「失踪ノワールM」があまりに重かったので、もう一本軽いものをと「仮面」を見ていました。
    地上波はどうしても大衆向けなせいか、わかりやすい構図になってしまうのですね…
    先日見終わった「彼女はキレイだった」も、隠れた魅力をあれほど愛してくれたシニョクより初恋を選ぶなんて、なんて惰性的な^_^;エンディング…

    スエちゃん、同性には嫌われそうですよね。ご推察通り?ちゃん付けなくらいですから、私は彼女演じるキャラクターのしたたかさが結構好きなのです。
    貧しい生まれからの成り上がり、そんな女性を一見純粋に演じるのは彼女の十八番になってしまってますね。品はないけど下品でない…
    別に男性をだますつもりなんかないんです、一生懸命生きていたらそうなっただけ、そうつぶやく声が聞こえてきそうな。

    >いけしゃあしゃあと(笑)ソ・ウナとして生き始めるのだもの。
    そうなんです! 貧しい人に施しをしたいというのは善行だけど、善行という名の下に勝手なことをしていることを誰も責めないのは笑い種。
    スエちゃん、そんな自分の矛盾を分かっていて、心の中で失笑しているようにすら思えます。そんな強さが好きなんですよ。

    逆に弱くて誰か助けてあげなよっ、って言いたくなるようなミヨンをユ・イニョンが上手く演じていましたね。
    この人背が高くてきつい顔をしてるからどうしても悪役寄りの役にキャスティングされがちで、でも声がとても甘いから今までいい役にあたってなかった気がしますが、今回は愛だけに生きる弱い弱いミヨンを切なくみせてくれてとても良かったです。
    彼女がただただ愛したソックンを演じたヨン・ジョンフンの悪役ぶりは、ジスクに振り回されはじめてからは完全にブラックコメディになってしまいましたね。頭で生きてる人って、心で生きてる人に対応できないんでしょうね。
    チュ・ジフンは今回じつは脇役に徹したかのよう…私の中では主役陣から外れていましたわ^m^

    私も「秘密」が素晴らしかったので期待!と見始めたのですが、4話あたりで完全に停まっていました。とりあえず完走できてヨカッタ。

    次は韓国では大絶賛?ながら日本ではどうも評判が良くないような…「太陽の末裔」にしようか、「契約結婚」にしようか、1話を見て決めようと思います。何より今日は「また、オ・ヘヨン!」です(*^_^*)

  4. yuca

    ゆまさま

    やっぱりごぶさたすぎますよね・・・苦笑。

    >貧しい生まれからの成り上がり、そんな女性を一見純粋に演じるのは彼女の十八番になってしまってますね。品はないけど下品でない…
    本当に(笑)
    やれやれ。
    「太陽の末裔」「契約結婚」、録画はしているのですけれどもね。