刑務所のルールブック


刑務所のルールブック Prison Playbook 全16話 (2017-2018年 韓国tvN)

 

■演出:シン・ウォノ
■脚本:チョン・ボフン
■キャスト:
パク・ヘス(キム・ジェヒョク)
クリスタル(ジホ)
イム・ファヨン(キム・ジェヒ)
チェ・ムソン(キム・ミンチョル)
パク・ホサン(カイスト)
チョン・ミンソン(コ先生)
イ・ギュヒョン(ハニャン)
チョン・ヘイン(ユ大尉)
キム・ソンチョル(法子)
アン・チャンファン(下っ端)
チョン・ギョンホ(イ・ジュノ)
チョン・ウンイン(ペン部長)

 

【あらすじ】
キム・ジェヒョク(パク・ヘス)は韓国シリーズで2年連続MVP、ゴールデングローブ3連敗、セーブ王、最優秀防御率を獲得したネクセン・ヒーローズの特級抑え投手だ。メジャーリーグの契約まで控えていた彼が、妹を襲った強姦魔を過剰防衛で殺し、1年の懲役刑の宣告を受けてしまう。綺麗なユニホームの代わりにカビ臭い囚人服を着て、世界の終わりである刑務所に入った。
キム・ジェヒョク選手を心配するファンたち。不安がるジェヒョクにエリート刑務官イ・ジュノ(チョン・ギョンホ)は「心配するな。ここも人が暮らしている空間だよ」と安心させる。ジュノにとってキム・ジェヒョクは、特別な服役者だ。刑務官の同僚たちとも適当に距離を維持する個人主義者として有名な彼が、野球選手キム・ジェヒョクに対しては知らないことがなく、キム・ジェヒョクについて話す時には興奮するという。単純なファンだと表現するには説明が足りない、ファンそれ以上の感じであるジュノは、ジェヒョクが刑務所に到着したという話に、走り出した・・・

 

断言する。今年最大の胸熱ドラマ。
文句なしのOMG★★★★★

ブログ始まって以来の長文感想、しかも感想はこの記事だけではなくまだまだ続きます(笑)

 

あまりブログに感想を書いていないのは、書けないくらいにこのドラマに入り込んだから。
私も西部刑務所の一員となって彼らと共に苦しみ、泣き、そして笑っていたから。
全16話視聴し終わって、ものすごい虚脱感。
ドラマの根底に流れているのは、やりきれなさや不条理。人生は甘くないという諦観。
それでも私たちはそんな世界に折り合いをつけてなんとか生きていかなくてはいけない。
希望を胸に、笑って、なんとか生きていかなくてはいけない。
人はどんな絶望に襲われても笑って生きていく力があることを教えてくれるし、なんとか折り合いをつけて生きていくがまた突然襲ってくるさらなるやりきれなさ。
日常を描写して登場人物に心を寄せて応援していている私たちに、毎回冷や水を浴びせかけられる。彼らは犯罪者たちなのですよと。
ずっと見ているうちに(恋愛抜きの)テラスハウスのようなシェア生活が楽しそうと錯覚してしまうが、不意に彼らの過ちを突き付けてくる。
こんなに愛おしい登場人物たちの、どうしようもない現実を突き付けてくる。
その優しさと現実の厳しさが絶妙なバランスでこのドラマを成り立たせている。
すごいなぁ。

 

言わずと知れた「応答せよ」シリーズの演出家のシン・ウォノが、同じく「応答せよ」シリーズの脚本家グループの一人チョン・ボフンとタッグを組んで「刑務所のルールブック」を送り出してきた。
手法は「応答せよ」と似通っている。
シリアスと、真面目に生きるがゆえに間が抜けて見えるコメディのバランス。
様々なエピソードを積み重ねて築き上げていく群像劇。
前作の「1988」もそうでしたけれど、シン・ウォノは個人の関係よりも群像劇を描きたいのだなぁとひしひしと感じます。
小さなエピソードや伏線が回収されるさまは圧巻で、やがてカタルシスをもたらす。
1話が90分くらいあるので全16話と言いながらも実質は20話くらいの尺なんでしょうね。

 

「刑務所のルールブック」・・・視聴し終わって緩やかな感動に浸りながら、もう彼らに会えないことがたまらなく悲しい。
捨てキャラがおらず、一人一人がこんなに生き生きと画面を彩っていったドラマを私は他には知らない。
脇役がいないドラマです。皆が愛おしくて、情けなくて、やっぱり愛おしい。

 

 

キム・ジェヒョク


キャラが総立ちのドラマの求心力はやはりジェヒョク。
彼がいることで「刑務所のルールブック」はどっしりと重心ができました。
家族思いで、彼を襲った不条理にも淡々と耐えていく男。諦めない男。
決して諦めないスーパースターの彼の背中を見ることで、犯罪者たちもまた希望を見ることができたのです。
歌も下手、スポーツも野球以外は何もできない(笑)、不器用この上ない男でそのことで本当に苦しみますが。
苦しい姿を誰にも見せたくなく、そのことで恋人のジホと別れることになるけれども、どこまでも一途でね。
ジホとの馴れ初めもジェヒョクらしい。あんなに一途な二人の恋模様が男ばかりの「刑務所のルールブック」で華やぎをもたらします。
このドラマは恋愛を見せる比重もうまいのよね。
恋愛はもちろん人生で重要な感情だけれども、愛や恋だけでは生きていけないことも思い出させてくれます。
不器用な男だと思っていると、不意に世慣れた顔も見せてくれたりしてね。
所長を「ヒョン」と呼ぶしたたかさにナ課長が渋い顔をするのが毎回私を笑わせてくれました。

大リーグへと渡米する寸前逮捕され、収監。利き腕を壊しマウンドに立てなくなる・・・
そんな中からの復活は、まさに私たちを勇気づけてくれる。
夢で亡き監督が野球を続けろというエピソードも笑ったわぁ。
ジェヒョクは犯罪者たちの優しさをきちんとくみ取って、受け入れ、そして立ち直らせてくれるそんな影響を西部刑務所にもたらしました。
犯罪者たちのすべてを受け入れて、そして認める。偏見に囚われずに。
彼のそのまなざしが一貫してドラマに流れていたのが印象的。
ジェヒョクに出会って「初めて人として認められた」という下っ端の言葉も印象深い。

 


登場人物たちのビフォー(左)・アフター(右)ですがジェヒョクだけは変わらない。
表の顔も裏の顔もない。
ジェヒョクはジェヒョクなのです。
自分が自分であることはこの世界では非常に難しいのですが、不器用で一途な彼は貫きました。
その生きざまに涙。

 

 

キム・ミンチョル


ミンチョル!!
彼がジェヒョクと同じ房であってくれて嬉しかった。また彼のことを思うと涙が出てくる。
カンペの凄みと、裏切る人たちに対しての諦観が入り混じった優しい人。
刑務所の世界を俯瞰して見ていて誰かの悲しみや苦しみにいち早く気づき、そっと寄り添う優しさ。
演じるチェ・ムソンは「ハートレスシティ」のサファリ役でも本当に大好きだったのですが、「1988」でもテクの父親役で泣かせてくれました。
もう彼を見ると条件反射で涙が出る私。
誰かに寄り添うということは実は何よりも難しいこと。
裏切られても恨まずに、人に寄り添っていく強さが必要で。裏切られ続ければ信じることも疲れてきてもいいのに、それでも信じて寄り添う。
その強さと優しさ。
そんなミンチョルに最後に寄り添ってくれる人ができるエピソードは号泣。

 


ロマンチストでね、花言葉をジェヒョクに教えるエピソードは爆笑。
この二人と花言葉のミスマッチ!!

 


表が強面のカンペの顔と、裏は自愛に満ちたミンチョルの顔。
誰しも多面性を持っていて、その時の関係性でどちらの顔を登場するのかが決まるのかもしれないなぁ。

 

 

コ先生


コ先生!!
登場時は四角四面の堅苦しい原理主義者で面倒くさい人物だなぁと思っていたのですが。
コ先生のエピソードにも泣きました。
あの堅苦しさがあったからこそジェヒョクの刑務所生活がグタグタにならなかったともいえる(笑)
彼がずっとジェヒョクの自主練をノートブックにつけていたなんて、またまた涙が。
それぞれのキャラの個性を生かしたエピソードづくりがお見事としか言えない「刑務所のルールブック」
会社に三流大学の自分を認めてほしくて闇に落ちていくコ先生ですが、西部刑務所の仲間たちにコ先生の個性を尊重され認めてもらい彼は癒されていきました。
真面目過ぎるがゆえに闇に落ちていくなんて、ジェヒョクを上回る不器用さ。
ドラマ中、コ先生のような生真面目で融通が利かない囚人が「パクサ・アドゥル(博士の息子)」と呼ばれていたのに大笑い。
チョン・ギョンホ主演の「ハートレスシティ」へのオマージュか。
きっと私にはわからない小ネタがちりばめられているんだろうなぁ「刑務所のルールブック」は。
解説本が欲しいくらいです。

 

 

カイスト


カイスト!!
軽薄さが滴るようなカイストは、「刑務所のルールブック」をゆるく見せてくれる担当でもありました。
軽薄さの裏返しには彼が手放した者たちがいるわけで。
病院で息子とすれ違うエピソードには号泣。
まさかカイストで泣かされるなんて思わなかったので。
きっとカイストは失ってしまったこと、手放してしまった者のことをどこかで引きずりながら今日も軽薄に、軽やかに生きていくのでしょう。
軽薄ですが誰かを踏みつけたり、裏切ったりという卑怯な性格ではないのがまた愛おしい。
コ先生の時もそうですが、カイストとの突然の別れは、人生がままならないことを教えてくれます。
さよならだけが人生だ。
そんな人生をどこまでも軽薄に、したたかに生きていくのでしょうね。
カイストにとっても西部刑務所で仲間たちと過ごした思い出はきっと特別。

 


裏の顔(右)は満面の軽やかな笑みのカイスト。

 

 

ハニャン


ハニャン・・・
またの名をヘロリン。1話からずっとジェヒョクとずっと一緒にいたジャンキー。
寂しがり屋で、愛されたがり屋で、自分が何を持っているのか結局最後まで分からなかった男。
いつも誰かと触れ合っていなければ、寂しくて堪らなかったのでしょうね。
彼が求める愛と、周囲が彼に与える愛の違いが理解できなかった男。
ソウル大学出身なのに、誰よりも馬鹿だった男。
ヘロリンの闇はあまりに深い。
それまでのヘロリンの寂しさゆえの愛らしさに癒されてきた私は、やっぱりここで冷や水を浴びせかけられる。
人生はそう甘くないと。
善も悪も入り混じって混沌としているのが人生だと。
そのあまりにも突き放した苦さに、うろたえる。
しかしこの苦さをきちんと描くからこそ「刑務所のルールブック」は胸熱ドラマになるのだ。

 


ずけずけと物を言いながら、人をからかいながら、その人が怒って自分に向かってくるのが楽しい表の顔と、闇に沈んでいきそうな裏の顔。
ほとんどの人物たちが登場時の印象と180度違った顔で物語から退場するのが「刑務所のルールブック」

 

ユ大尉


悪魔のユ大尉!!
孤高のユ大尉が光を見いだせたらいいなと。悔しさに押しつぶされるのではなく、諦めるではなく、妥協するのではなく、例え刑務所の中でも自分らしく正々堂々と生きろというのがこのドラマのテーマ。
そうずっと思っていました。
毎話最後に聞こえてくるのは運命の足音ですが、主人公のキム・ジェヒョクだけではなく登場人物全てに運命の足音は訪れる。
いい運命だろうが、さらに悪い運命だろうが。
孤高のユ大尉が徐々に囚人たちと馴染んでいく姿がたまらなく嬉しい。
演じるチョン・ヘインがまたいいのよね。気になる俳優さんがまた一人できました。

 

 


ツンデレな狼が徐々に慣れていくさまというのを味わえる(笑) この満面の笑み!!
心を許したユ大尉のカワユイことと言ったら悶絶もの。
ヘロリンとの小学生のような意地の張り合いとか、自分の気持ちを素直に表すことができるようになった。
人の気持ちばかりを推し量って自分の気持ちを素直に表せなかった男が、兄に対して述べる感謝の言葉とそばにいてほしいというささやかな願いにそっと涙する。
しかもあんなに嫌っているヘロリンにアドバイスを求めて、素直にヘロリンの助言を受け入れているなんて。
「刑務所のルールブック」でも唯一の悲劇の人。ジェヒョクとの別れはまた涙が出た。
彼の人生はまだまだこれからで、光につつまれてくれとずっと願っているよ。

 

 

法子


刑務所のすべてを知っている法の申し子法子(ポプチャ)
法子で始まり法子で終わる見事な脚本。
彼がこの物語の導き手として私たちを「刑務所のルールブック」の世界に連れて行ってくれて。
決して使い捨てのキャラではなく、キム・ジェヒョクに寄り添い、寄り添うことでしたたかな彼は変わっていく。
ジェヒョクという不器用な優しさの男の懐の深さを、法子のエピソードで最初に私たちに見せてくれた。
このエピソードでこのドラマは、「胸熱ドラマかもしれない」という確信を序盤でもたらしたのよね。
最後までゆるぎなく、破たんすることなく、生きていく甘さや苦さを見せてくれた。
法子がジェヒョクのそばにいるだけで、彼の練習に寄り添うことで、安心したなぁ。

 


表と裏の顔も法子らしい。
裏の顔のこの明るさ。
偏見にとらわれることなく、それぞれの登場人物を見せてくれる。
「第一印象に騙されるな」は「刑務所のルールブック」のもうひとつのテーマかもね。

 

 

 

下っ端


下っ端!! 本名はドンホ君。
スキンヘッドの強面でサイボーグのように不気味な雰囲気を序盤出している。
下っ端の表の顔と裏の顔を見てみると。

 

 


一見普通の人に見えて(左)、実は悪だくみをしているのだけれども、さらに彼はここからもう一つの顔を見せてくれるその展開。
やられたなぁ。
誰かに人として認められることがなく、いつも誰かの命令に従っているだけの生き方をジェヒョクが変えてくれた。
人として認め、尊重していくことで。
彼が次第に心を許して仲間となれ合っていくさまが、いつも嬉しかった。
人は変わることができるということを身をもって教えてくれた。
ジェヒョクのキャッチボールの相手になるのだけれども、ジェヒョクの球を受け取るたびに、ジェヒョクのまっすぐな優しさをその手で受けていたんだよね。
ジェヒョクのまっすぐな気持ちを受け止めて、ジェヒョクを崇拝し、そして下っ端はドンホという自分の名前を取り戻していく。
綺羅星のアクの強い登場人物たちの中で、彼の生き方にも強く感銘を受けた。
誰かに引きずられることなく、自分らしく生きていくとはどういうことかを見せてくれる。

 

 

 

6号室の仲間たち




彼らがいる場所は刑務所の中、犯罪者たちなんだという現実をつい忘れてしまいそうになる。
いつまでも一緒にいて欲しいと願ってしまう私。
そのくらい友愛にあふれていて、互いに互いを心配し、寄り添い。
そうそう、電動ノコギリや灯油を持ち込んで殴り込みをかける13話は爆笑~、カッコよすぎて涙が出るほど笑いました。

 

でもそれは幻想。

 

彼らが抱いている罪と、偏見を取り除いて見たときの彼らの素顔のギャップがやっぱりやるせない思いを抱かせる。
この瞬間は幻想で、きっと娑婆に出ても連絡を取り合わないほうがいい。
なれ合わさないため、連絡の交換をさせないためにも頻繁に刑務所移動があるのでしょうね。
幻想だけれども、疑似家族のような幻想がまた囚人の彼らを救っている事も事実。

ドラマを見終わて「あー楽しかった」という感想もいいのだけれども、このもやもやとした何とも不条理な状況と号泣の波状攻撃はずっと記憶に残るドラマになるんだろうなぁ。

 

 

肝心なイ・ジュノに関して書いていないし、ペン部長!!、ナ課長、ジホのことだって書いていない。
まだまだ「刑務所のルールブック」の感想は続きます。
nothing hurt始まって以来の長文のドラマ感想だわw~

 

<つづく>

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コメント

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  • コメント (2)

    • かわせみ
    • 2018年 2月 17日

    こんにちは❗刑務所のルールブックの感想ありがとうございましたゆかさんの深くて暖かい洞察力、一人一人への優しい眼差し、素晴らしいです‼️続きを楽しみに待ってます

  1. かわせみさま

    コメントありがとうございます!
    更新が間が空いてしまいましたが、なんとか後編もアップできました。
    楽しんでいただけたら嬉しいなぁ。

    「刑務所のルールブック」は今年最高ランクのドラマです。
    こういうドラマに出会えるから、韓国ドラマ視聴をやめられないのですよね。

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