隣の女・・・仮面13話まで

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韓国ドラマ「仮面」13話まで視聴。

 

 

面白いのです。面白いのだけれども明らかに脚本家の前作「秘密」とは違った面白さ。
何て言ったらいいのでしょうか。
通俗すぎて面白い。
例えて言うならばかの有名な「たわしコロッケ」「財布ステーキ」「草履カツレツ」「五寸釘入り玄米パン」「携帯ケーキ」「愛の歴史ケーキ」が強烈に繰り出された日本昼ドラ屈指の迷作「真珠夫人」のよう。
「秘密」は「仮面」よりもシリアスだったような気がする。
いえ、「仮面」も役者さんたちはシリアスに演じてらっしゃいます。
しかし制作者たちがシリアスな中の面白みを追求しようとしているのがありありと感じられます。
シリアスというよりブラックコメディの様相を呈してきています。
昼ドラテイスト満載。

 

 

 

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もともと死んだ女の入れ替わりはなんて設定がトリュフォー的なの(あるいはウィリアム・アイリッシュ的なの)と思ったのです。
入れ替わりから生じる追い詰められていくヒロインの心理描写、いつばれるかわからないという恐怖、自分であって自分ではないもどかしさ。
そういう心理劇のドラマだと思っていたのですが。
どうもそうではないらしいことに13話でやっと気付きました。
いくら似ているからって入れ替わることなんかできやしないよ、そう笑っている制作者たちの視線を感じます。
いえ、きっと役者、制作者の皆さんは真面目にドラマを作っているのだと思います。
しかしどこかこのシチュエーションに対して俯瞰したまなざしをもっているのではないかと感じる。
「そんなことあるわけないよね」みたいなまなざし。
そう思っているけれどもこの入れ替わりの設定をシリアスにやってみようかと思っているまなざし。
ずっと「仮面」を見ていて違和感を感じていたのですがシリアスな復讐劇ではなくブラックコメディだと思うと納得。
だいたいね、ス・エが落ち着いているのですよ。
追い詰められていくヒロインではない(笑)
彼女のアルカイク・スマイルがもはや仮面のように見えてきます。
入れ替わるにしろ、偽装結婚するにしろ、脅されるにしろ、なんだかいつもどこか余裕があるんだよね。

 

 

 

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そんなス・エ演じるヒロインにあっさり惚れてしまうチェ・ミヌ(チュ・ジフン)
非常に分かりやすいヒーロー。
幼少期のトラウマに苦しみ、母親を殺してしまったという罪悪感に押しつぶされそうになりながら義兄によって薬漬けにされ強迫性障害、記憶障害などで病院に強制入院させられそうだった可哀そうな御曹司。
親に愛された記憶がないので愛し方がわからない御曹司。
ラブコメでね、御曹司が愛に不慣れでよく自分の秘書に相談したりする典型的なパターンをミヌもたどっていきます。
もともとス・エが年上だと知っているせいなのか、年上女性に甘えたがっている男子にしか見えない・・・
「宮」のシン君のツンデレぶりには悶えましたが、いい歳したミヌが同じことをやると妙に幼く感じてしまうのよね。
「宮」のパロディをチュ・ジフンに演じさせているような感じがします。
ときめかないんだよね、ヒロインとヒーローに。

 

 

 

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そうなってくるとやはり必然的に悪役のミン・ソクフン(ヨン・ジョンフン)を応援したくなるのだけれども、どうにもツメが甘い。
ソクフンの秘書君も、おどろおどろしい雰囲気を持ちながらもどこかそそっかしくて頼りになるのだかならないのだか。
そもそもソクフン自らが手を汚し、そのことをジスク(ス・エ)に知られてしまうっていうところがね・・・
わざわざ自分の手を汚さなくてもいい状況だったと思うのですが。
悪役スキーの私としてはソクフンの悪役ぶりにちょっと物足りない。
(まあ圧倒的な超越者ハンニバル・レクター博士を見た後だから特にね)

そんなソクフンが恋人ウナ(ス・エ二役)を失ってしまったことを嘆くのですが、ウナを失ったことを嘆いているのかそれともジスクが思い通りにらなないことを嘆いているのか。
そこら辺が彼自身もわからずに混乱しています。

 

 

 

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ソクフンの妻ミヨン(ユ・イニョン)も悲劇的な人ではあるのだけれども。
もともとはソクフンの愛さえあればきっと彼女は幸せなんだろうなと思います。
一番欲しいものが手に入らない。ソクフンは常にそばにいるけれども、心は遠く離れていて。
ほら悲劇的で分かりやすい設定でしょう。

 

登場人物それぞれが非常に分かりやすい背景を持っていて、それぞれが深刻に演じているのにどうしてこんなにブラック・コメディになってしまうのか。
このドラマを見て「愛ってなんだろう」なんて深淵な考えは浮かんでこないのよね。
面白いのだけれども、こんなシリアスなドラマで面白がっていいのだろうか。もしかしてそれが狙い?そんな変なことを考えます。

「宮」「復活」「天使の誘惑」のパロディ?オマージュ??(笑)

 

 

 

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まあ、道化師の役割のキム・ビョンオクがこのヘアスタイルですものね。おかっぱ頭で、思いっきり僕は道化ですとアピールしているようなものですもの。
なんとも不思議なドラマです。
あ、ちなみに記事タイトルを説明すると。
13話においてソクフン、ミヌと隣にいる女は誰なのだろうと。
知っている女のはずなのに妻の知らない顔が見えてきて不安に思ったり、さらに愛おしくなったりするまでの13話。
シリアスだと思っていたドラマが実はブラック・コメディだと気づくまでの13話。

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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