That Lie Is Indeed a Lie・・・ピノキオ11話まで

a0192209_09402411
韓国ドラマ「ピノキオ」6話から11話まで視聴。

「ピノキオ」は毎話のエピソードタイトルも童話タイトルから引用しているのね。その回の話の展開を表してもいます。
脚本家のパク・ヘリョンは前作の「君の声が聞こえる」でもエピソードタイトルは古今東西の名曲から引用していましたものね。こういう脚本のこだわりって大好きです。

 

1話 ピノキオ Pinocchio
2話 醜いアヒルの子 Ugly duckling
3話 雪の女王 Snow queen
4話 ロミオとジュリエット Romeo and Juliet
5話 王様の耳はロバの耳 The king’s ears are donkey ears
6話 15少年漂流記 Adventures of 15-year-old boys
7話 井の中の蛙 The frog in the well
8話 運命の一日 A Lucky Day
9話 ハメルーンの笛吹き男 The Pied Piper of Hamelin
10話 オオカミ少年 The Boy Who Cried Wolf
11話 真夏の夜の夢 A Midsummer Night’s Dream

 

お話は中盤の佳境に入り、ますますもどかしくなってきています。
K.Willの ♪ 하나뿐인 사람 One and Only Person ♪が泣けるのよね。

a0192209_09515150
11話ラストで2話でダルポがモノローグで語っていた言葉の意味が分かります。(ネタバレ防止のため英文で)

When I look back, that was the moment I should have left. From the start they
were feelings I shouldn’t have had, and a person I shouldn’t have met.
I thought that this thumping in my heart would quiet after time,
and that once it did, I could leave. But that was childish misconception,
and an excuse to linger by her side.Inside that misconception and excuse,
I was really happy. Even if that happiness was a lie, I thought that if I insisted
a thousand times, it would come true. I thought that if I insisted a thousand times,
dream would become reality. But even when I closed my eyes and shut my ears,
no matter how much I argued, the truth remained as it was, in its place.

11話で彼は島でのイナとイナの家族との牧歌的な生活、あの瞬間を痛烈に強烈に後悔し、そして同じくらい強く恋焦がれている。
千回を嘘を繰り返したら真実になるかもしれないと思い、嘘をついているときは幸せだったと述懐するダルポが悲しくて号泣。

a0192209_10012712
a0192209_10013153

振り返って考えてみるとあの時去るべきだったんだ。最初から好きになってはいけない人だし、未来を夢見てはいけなかったんだ。
この胸のときめきは時がたてば収まると思った。収まれば簡単に去れると思っていたんだ。
しかしそれは愚かな錯覚で彼女のそばにいるための言いわけだった。
その錯覚と言いわけの中で僕はとても幸せだったんだ。
その幸せが嘘だとしても、千回嘘をつけば本物になると思っていたんだ。
千回騙せば夢が現実になると思っていたんだ。
しかし・・・目をつぶって耳をふさいでいても、真実は常にそこにあった。

・・・夢から覚める時間だ。

自分の名前を自分の人生を嘘で固めて、それでもイナのそばにいたかったダルポ(ハミョン)の一途なまでの恋心に涙します。
それだけイナは彼にとってのたった一つの希望であり、全てを失った彼のたった一つの輝ける真実だったのです。
イナに対する恋心だけが全てを失ったダルポがたった一つだけ持っていた真実だったのに。
泣ける~
しかしその恋を守ろうとして捨ててきたものが今彼を苦しめている。
ダルポが言うようにもっと早く兄キ・ジェミョンを探していたら、兄がダークサイドに堕ちることはなかったでしょう。

a0192209_10350746
イナと別れて真実に向き合う、イナの母に復讐することにしたダルポ。ダルポという名前を捨て、ハミョンという自分の真実に向き合い真実を追い求めるのでしょう。
でもね、イナへの恋心は彼が持っていたたった一つの真実だったのに、その恋心を手放し兄の代わりに復讐するなんて悲しすぎます。
実は私、この展開はジェミョンのダルポへの無意識の復讐ではないかと思うのです。
兄はダルポへ自分の犯した罪を自白し、ダルポを追い込んでいきます。ハミョンという名前に向き合わせたのです、否応なく。
ソン・チャオクの娘イナを好きになったハミョンを許さない。
愛に安穏とすることなく、復讐をしなければいけない事実を突き付ける。だって自分の弟だから。
兄ジェミョンの苛烈な意志を私は11話のエピソードで感じるのですけれども。
弟に匿名で自分の罪を情報提供し、弟の行動をつぶさに観察しているなんて。
それだけ寂しい人生を送ってきたジェミョンも悲しい。

やっぱり脚本家のパク・ヘリョンは恐ろしい。
壁ドンやバッグハグ、王子様のように膝まづいて靴をはかせたりお姫様だっこ、ありとあらゆる乙女が夢見る設定を用いながらも物語の展開がビターでダークだ。
寂しい人生を送ってきた兄への贖罪のために自分の真実・・・イナへの愛にふたをしたハミョン。
それは自分の心にまた嘘をつくということなのにね。
イナと別れて平気なふり、生きていけるふり、嘘で固められた人生を捨てたはずなのに新たに兄の代わりに復讐をする人生。
それでいいと思っているその気持ちもまた嘘なのにね。復讐だけが人生のすべてだなんて虚しすぎます。
まさに、That Lie Is Indeed a Lie。

a0192209_10422608

a0192209_10423427
新人記者たちの奮闘記といった展開で6話から進んできましたが毎回のエピソードでは、真実を追い求めるマスコミのあり方にシニカルな批判の目を感じています。
マスコミ関係者が抱く選民意識に問いを投げかけている。言葉を扱うあなたたちが言葉に対して無自覚でいいのですかと。
ニュースに真実ではなくインパクトを求めるソン・チャオクはマスコミ人の典型的な姿です。
そして大衆の私たちもニュースにインパクトを求めているのです。
ニュースを歪曲し伝えるというマスコミに向けての批判だけではなく、刺激性を求めている私たちも同罪なのですね。
そして報道をそのまま鵜呑みにして扇動されていく大衆の怖さを意識しなければいけません。

Someone once said that people believe that Pinocchios always tell the truth.
And people believe that reporters only tell the truth, just like Pinocchios.
Pinocchios and reporters alike should have known that, and should know that
their words are more frightening than anyone else’s. That is what you did
wrong—your carelessness destroyed one family. Therefore, you share responsibility
in this tragedy. You experienced that thirteen years ago but are still promoting
impact—I see that you’re the same trash reporter you were then.

ピノキオと記者が語る言葉は真実であるという前提のもとに、言葉に対して自覚し責任を持てと。
これは全ての人にあてはまる普遍の真理でしょうね。
言葉が持っているリスクを認識して、語らなければいけないのです。
こういう骨太なテーマを、オトメゴコロをくすぐるシチュエーションの合間にふいに投げ込んでくるからのんびりと視聴できません。
萌えシーンと骨太なテーマの波状攻撃にメロメロでへろへろです。

a0192209_10544971
2番手ヒーローのボムジョはちょっと分が悪いですね。
全くダルポに太刀打ちできない。彼だってずっとイナを見守ってきているのにねぇ。
しかし彼のおおらかにイナを包み込んでいるスタンスは好きです。
もうちょっと頑張って欲しいです。

a0192209_11041595
2番手ヒーローのボムジョはちょっと分が悪いですね。
全くダルポに太刀打ちできない。彼だってずっとイナを見守ってきているのにねぇ。
しかし彼のおおらかにイナを包み込んでいるスタンスは好きです。
もうちょっと頑張って欲しいです。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。