ピノキオ

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ピノキオ Pinocchio 全20話 (2014-2015年 韓国SBS)

■演出:チョ・スウォン
■脚本:パク・ヘリョン
■キャスト:
イ・ジョンソク(チェ・ダルポ / キ・ハミョン)
パク・シネ(チェ・イナ)
キム・ヨングァン(ソ・ボムジョ)
イ・ユビ(ユン・ユレ)
チン・ギョン(ソン・チャオク)
キム・ヘスク(パク・ローサ)
ユン・ギュンサン(キ・ジェミョン)

【あらすじ】
誤ったマスコミ報道のせいで家族を失った14歳のハミョン(イ・ジョンソク)は命さえ失いかけるが、郷里に暮らす1人の老人により救助される。30年前、海で失った長男ダルポが生きて戻ってきたと思った老人はハミョンをダルポと呼び、養子にする。本当の名前を隠して嘘の名前で生きることになったダルポにとって祖父にあたる父親(ビョン・ヒボン)、父親にあたる弟(シン・ジョングン)、同じ年の姪イナ(パク・シネ)という3人の家族ができる。嘘をつけないピノキオ症候群であるイナはダルポを初めて見た瞬間から食ってかかるが、その率直さがダルポにとっては大きな癒しとなる…。


 

 

18話 赤い靴 The Red Shoes
19話 北風と太陽 The North Wind and the Sun
20話 ピーターパン Peter Pan

 

エピソードごとに童話のタイトルが副題としてつけられて、内容もその童話にインスパイアされた展開をしてきた「ピノキオ」
勧善懲悪を描いたこのドラマの結末と、嘘の波に飲み込まれそうになった人生の真実を見出すために奮闘してきた青年はピーターパン。
彼によって20話を通じ案内された世界は、夢と希望に満ち溢れたワンダーランドだったのか。
どうか私たちがピノキオたちの小さなしゃっくりを聞くことができるそんな世界にという、脚本家の強い願いを感じたりもする。
まさに「ピノキオ」は大人たちへの童話だった。

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刺激的な事件から幕を開けたこの物語。韓国お得意の復讐モノにカテゴライズされるかもしれないが、そこにマスコミの記者としての理性という視点を持ってきたことに斬新性があるのかな。
ともすれば復讐のために相手と同じこと、誇張やねつ造による世論操作という手段を選ぼうとするダルポをいつも引き止めてくれるのはピノキオ(嘘がつけない)イナだった。
イナはダルポにとってティンカーベルでもあったのね、きっと。

しかし発端の事件が刺激的であり、12話にクライマックスを持ってきたことでそれ以降の物語展開の中ダルミ、緊張感が一気に失われたのがこの作品の欠点でしょうね。
兄のジェミョンの生き方をダルポはずっとどこかで背負っていかなくてはいけないのに、どこか軽すぎる描写になっている。
復讐のために3人も殺したジェミョンは、量刑で言えば死刑か無期で。(日本ではね)
兄の事件でさえも、ダルポとイナの恋愛の障壁としてしか扱われていないことに、多くの視聴者は疑問を持つのじゃないかな。
大人の童話でありながらも、どこか暗い闇がのぞいている物語でもあった。

イ・ジョンソク君は好演でしょう。
島でのぼさぼさ髪のダルポのことがものすごく私は好きで(笑)、彼のイナへの秘めた想い、もどかしさやるせなさに萌え萌えになっていたので、垢抜けた青年になってからは萌え度が急降下(笑)
ラブラインが早く進み過ぎて、13話以降はなんだか無理やり毎話2人の間に障壁を作ろうとした感じがして興ざめでした。
何回かこのブログでも感想を書いたかもしれませんが、仕事と恋愛のバランスも非常に悪い。記者としての倫理、理念がこのドラマの柱となっているのに対して、ダルポやイナの仕事に対する態度がどうにも嫌いでした(苦笑)
あれ? イ・ジョンソク君を褒めようと思っていたのに(笑)
彼は年上の俳優・女優さんとのケミストリーの方が素晴らしいと思う。パク・シネちゃん相手にちょっと戸惑っていた?
前作の「ドクター異邦人」を視聴完了していないので、なんとも言い難いですが。

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イナ役のパク・シネちゃん。綺麗になったなぁ~と思いますが、そろそろ違う役もやってもいいのじゃないかな。
素直で、正直で、まっすぐな女の子役はいささか見飽きてきました。
イナとダルポのラブラインの求心力が後半落ちてきたのは、彼女のまっすぐさ正直さも原因の一つだと思います。
ピノキオ症候群だから嘘がつけないのよ私、みたいな直球勝負ばかりのイナは人物造形に面白みがないのよね。ピノキオだからこそ抱える苦しみ、悩み、悲哀を演じれなかったのか?
ピノキオだから困ることって、嘘がつけないので記者になれないってことだけじゃなかった?(爆)
ピノキオの設定が、このドラマでは上手に機能していなかったような気がします。
パク・シネちゃんは、演技はお上手なので次回はぜひダークな役を見てみたいです。

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2人の母は圧巻。大人の童話なので彼女たちの役割は「魔女」でしょうか。
ソン・チャオクがどうして家族を捨て、記者としての良心を捨て世論を操作するようになったのか。彼女がそうまでして手に入れたいものは何だったのか。
今ひとつはっきりと分りませんでしたが。
「恥ずかしくない生き方」というのが、ドラマ「ピノキオ」のワンダーランドで生きていく資格なのかもしれませんね。
改心したチャオクはこの世界で生きていくことを許され、「恥ずかしくない生き方」を理解できなかったパク・ローサ、そしてジェミョンはワンダーランドから追放される。
童話と言いながらも、なんとも苦くて後味が悪いなぁ。

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ボムジョ、やっぱりつらかったね~(涙)
彼の成長物語でもあります。コンビニでの30秒を後悔する彼にそっと涙。
もしかするとあの30秒で、彼のラブラインも変わったかもしれないのにね。
恋敵としてのセカンド君ではなく、実は彼は「魔女」を滅ぼそうとするダルポの相棒の役目だったんですね。

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ユン・ユレちゃん! 序盤はうざったかったのですが(ゴメンネ!)、後半になるにつれて彼女のコメディエンヌぶりがこのドラマの癒しになりました。
彼女はこじらせ女子になりそうな気配がぷんぷん(笑) がんばれ、ユン・ユレ!

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そして王子様はお姫様と末永く仲良く暮らしました。
大人の童話の締めくくりはこのフレーズで幕が下りるものだから。

 

 

★★★★(12話までは★5つ、それ以降は★3つ)

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 5 )

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  1. yuca

    鍵コメさま、コメントありがとうございます♪

    「おバカちゃん注意報」は評判がいいドラマですよね~ 皆さま視聴していらっしゃる印象があります。
    しかし、長い(笑)

    「ピノキオ」序盤~中盤にかけては楽しめましたよね!
    私、キュン死するかもと思ったくらいですが、そのあとがなんとも・・・
    イ・ジュンソク君は本当に、学生服がよくお似合いで、大人の男を演じるのはちと物足りない。
    これからの役選びは大変でしょうね。
    学生の初恋模様を演じれば、キュンキュンするのにね。

    そして記者室勤務!
    私も遠い昔、新聞社の編集局におりまして、新人記者ってこんなんじゃないよ~とテレビに向かって叫んでいました。
    もっともっと地道だよね~(笑)まして他社の記者と共同で取材していくなんて・・・
    ドラマとはいえご都合主義な展開にいろいろと興ざめしちゃう「ピノキオ」

    パーフェクトなドラマってなかなかないですよね。

  2. choco

    ※鍵コメでお願いします。
    yucaさん、こんばんは~
    Oh~~新聞社勤務とは!
    やはり文才がおアリのはず!!
    私はアルバイトで単に受付のおばちゃんしてるだけですけどね~~w
    でも、今の記者さんは 皆、お行儀良いスマートなエリートさんばかりです。
    時々、50歳以上の出世しなかったパターンの記者さんがくると・・・やさぐれてて~~w い・か・に・も で 見ていておもしろいです。

    明日からBSでピョルクデ 放送ですね!また、たのしめそうです。スヒョン君ももうすぐ入隊でしょうし、この後ドラマの中心になる若手は ジョンソク君なんでしょうね。早めに行ったスンホ君も これからバンバンでそうですね。
    ドラマがまた 次の世代に変わっていくんですね~~ 楽しみでもあり、寂しくもあり・・です。
    また、お邪魔させて下さいね!

  3. yuca

    鍵コメさま、コメントありがとうございます。

    新聞社にいたと言っても雑用ですから(笑)

    >50歳以上の出世しなかったパターンの記者さんがくると
    味のある記者さんはいなくなりましたよね。
    皆さま品行方正で。
    しかし取材する前から自分の中で事件に対するストーリーを作っていて、それに当てはめようとする傾向はどこも一緒ですね。
    「ピノキオ」はマスコミの方にしっかりと観てほしいです。

    >スヒョン君ももうすぐ入隊でしょうし
    その前に1本ドラマに出演するのかな?
    どこかでそんな記事を読んだような記憶が。
    旬な時に入隊なんて、毎回残念でたまりません。

    除隊すると妙に色あせてしまった俳優さんもたくさんいらっしゃいます。
    私の希望の星は、スンホ君とソン・ジュンギくんです。

  4. ぴょんこ

    yucaさま、こんにちわ。
    お久しぶりです。^^お元気ですか。

    ジョンソクくん目当てで見始めた「ピノキオ」
    7話まで視聴しましたが、ダルポにすっかり嵌ってます。
    食ぱんカプリッ(父の妄想だけど)とか、躊躇いながらのバックハグや
    手のひら越しのキス・・ヤバいです。クラクラしてます。笑
    でも、なんだか不思議なドラマで、腑に落ちないことも。
    なので、yucaさまの考察にも嵌ってます。^^

    イナはピノキオだから嘘をつけない。
    でも自分が納得すれば、真実に成り代わる。
    だからしゃっくりは出なくなる。
    えええ〜!それは都合が良すぎる気が・・
    記者になれないというより、記者として危険すぎますよね。
    ピノキオは真実しか語らないと思われているのに。
    現にハミョン一家はピノキオ男性の証言1つで崩壊したわけで・・

    ピノキオとの対比なのか、ドラマの中にたくさんの「嘘」がちりばめられている。
    というか、何気ない日常の中に小さな「嘘」は無数にあるんだなと気づかされる。
    小さな「嘘」は思い遣りであったり、コミュニケーションのツールであったり。

    ジョンソクくんはもちろんイイのですが
    トクマン(違う!)ジェミョン兄が気になります。
    罪を犯す前にハミョンに出会えていたら良かったのに。
    悪い予感しかしない・・カミングアウトしたら二人はどうなるのかな。
    優しすぎる故に?ダークサイドに墜ちてしまったヒョンに
    この先、救いはあるのかな・・ジェミョンの笑顔は見れるかな。

    同時視聴していたジョンソクくんの「ドクター異邦人」は昨日終了。
    無償の愛と執着の違いが分からなくなるような一途な愛でした。
    同じく彼の「ゆれながら咲く花」は大好きなドラマで
    ナムスン&フンスの友情にいっぱい泣かされました。
    ジョンソクくん、どの役でも闇を抱えつつどこか純粋で
    ブレない確かさと強さを魅せてくれます。
    ベビーフェイスとのギャップが魅力的なのかな。
    口の端をほんの少しあげた笑顔がこれまた堪りません。
    優しさがダダ漏れなんです。笑

    長くなりまして、すみません。
    視聴を続けつつ、またお邪魔致します。ぺこり。

  5. yuca

    ぴょんこさま、コメントありがとうございます♪

    遅レスすぎて、恥じ入りたいです。

    >ジョンソクくん目当てで見始めた「ピノキオ」
    「ピノキオ」は胸キュンドラマですよね~
    この頃は「ピノキオ」と「ヒーラー」という二大胸キュンドラマが放映されていたという至福な時代でした(遠い目)
    どちらの作品も親の因果が・・・みたいな展開が同じでしたよね。胸キュンの角度がそれぞれ違ったので、幸せでした。

    ジョンソク君は不思議な役者さんで、雰囲気イケメンと呼んでおります。癖になってどうにも気になって仕方がない役者さん。
    7月から新ドラマが始まるみたいなので楽しみです。
    「ドクター異邦人」も「君の声」もよかったですよね~
    きらきらとして眩しい感じがする。
    冷たいようでどこかあったかい感じだよね。