楽俊凱7話・8話・9話
楽俊凱( 乐俊凯 ) Le Jun Kai(Unconditional Love) 全9話 (2013年 台湾)
■原作:匪我思存
■監督:李駿
■キャスト:
ピーター・ホー(楽俊凱)
チャン・チュンニン(勵夜)
【あらすじ】
復讐のために敵の娘リ・イエと結婚するジュンカイ。結婚後、肉体的、精神的に彼女をいたぶり、ぼろぼろにし捨て去る。復讐は終わったはずだった。しかし数年たち再会した彼女には子供がいた。
1話15分の全9話の「楽俊凱」は、愛憎のエッセンスが詰め込まれたドラマです。
万人向けするドラマではないのだけれども、好きな人は好きというマニアックなドラマに分類されるでしょう。
ショートドラマのために、役者さんたちは凝縮された演技が要求され、それが濃密な愛憎ドラマになったんじゃないかな、とも思います。
傷つけることによってしか表せない執着、愛情といった愛のカタチは、観ていて苦しいのに、でもどうしてこんなに甘美なのでしょうか。
毒をはらんだ愛のカタチにしびれっぱなしです。
ジュンカイとリ・イエの愛のカタチは、嗜虐と被虐(SとM)でもあり、共依存の関係でもあります。
精神的な暴力の果てに愛を見てしまうこんな関係は、ゆがんでいます。
日本ではまず制作されない種類のドラマじゃないかしら。
ラストシーンが、舞台に二人しかいない、というようにも見えます。
ジュンカイとリ・イエはこの広い世界でいつしか互いのことしか目に入らなくなった、閉じた世界で生きていたのかもしれません。
だからこそあそこまで二人の関係は追い詰められ、エスカレートしたのでしょう。
息もつまるような、そんな二人の愛のカタチを堪能しました。
このドラマ、おそらく日本では放映、DVD化されないと思うのです。
内容が、というよりも、もともとネット配信ドラマという形式をとっているから、という意味で。
私は某動画サイト(You Tube)で日本語字幕つきを見つけて、視聴することができました。
このドラマ、全9話だし、1話15分だし、「皆もすなるあらすじ書きといふものを、私もしてみむとてするなり」なんてつぶやきながらチャレンジしてみましたが、玉砕。
ドラマのあらすじを書いて読ませる人って、すごいな~と尊敬します。
今まで様々なドラマの感想を書いておりますが、一切あらすじを書いてこなかったこのブログ。
(書けないという方が正しいのですが・笑)
あらすじなくして、感想と妄想と考察になんの意味があるのだろうか、と自問自答しながらも、きっとこれからもあらすじなしのドラマ視聴のブログなんだろうなぁ。(笑)
★★★★★
■ Episode 7
目覚めると天天がそばにいない。家中をさがしまわるジュンカイ。
彼女が、リ・イエが去ってから決して入ることができなかった部屋の扉が開いている。
ゆっくりと部屋の前に近づき、そしておののく。
天天の声が部屋の中から聞こえる。「ママの匂いがするんだ」
・・・そう、彼女の匂いがたちこめていて部屋に入ることができなかったのだ、何年も。
怖かったから。
何が。
自分の心が。
閉じられていた部屋の扉が開けられたことによって、ジュンカイの心の扉が開かれたように、リ・イエのさまざまな顔がジュンカイの脳裏によぎる。
再会した時の恐怖に満ちた顔。激しく押し倒されあらがおうとした顔。結婚した夜の傷ついた顔。そしてジュンカイのもとを去ろうとした時の諦観に満ちた顔。
今まで、固く、深く、決して自分では認めようとしなかった、認めたくなかったジュンカイの本心があふれてくる。
リ・イエに対しての取り返しのできない仕打ちの数々と、彼女に対しての恋慕。
二つの感情に押しつぶされて、ジュンカイは静かに啼く。
嗚咽する。
そして、立ち上がり部屋の中へ入る。
自分の本当の気持ちから目をそらすことを、やめたのだ。
ジュンカイは亡き妻の殺害現場を訪れる。
固く凍てついた自分の心によって、亡き妻もまた独りさびしくこの場に取り残されていたのかもしれない。
世界は、こんなにも暖かい日差しであふれているのに。
自分がリ・イエへの扉を固く閉ざしてしまったあの日を、思い出す。
あのころ、リ・イエに対して非道な仕打ちの数々をしながら、どうしても彼女から目が離せなかった。
彼女の傷つく顔も、泣き叫ぶ顔も、怒る顔も、見あきたはずなのに。
「飽きたから離婚をする」と言ってやったのに。
いつも、いつも、彼女に引きつけられ、惹きつけられ、この狂おしくもどかしい感情。
リ・イエのこの匂いがいけない。彼女の匂いが満ちてきて、自分でも訳の分からない行動をしてしまう。
そばに寄らずにはいられない。
そっと口付けをしたくてたまらない。
抱き寄せたくてたまらない。
「ジュンカイ・・・」
「名前を呼ぶな」
「・・・私を愛しているの?」
あわてて立ち去るジュンカイ。彼はこの問いに答えを言うことができない。
だって愛なんて、あるはずのない感情だから。
自分が抱いている感情は、復讐の憎悪のはずだから。
憎いから、憎いはずだから。
そんなジュンカイの背中を、リ・イエは期待に満ちた顔でみつめ、やがて答えがなかったことで静かに諦めていく。
愛があるように感じたのは、自分の錯覚だったのかもしれない。
ジュンカイが彼女を愛するはずがないのだから。
リ・イエは再び授かった子供を、ジュンカイから守るために、家を出ていく。
この子は奪われてくないから。大切に育てたいから。
■ Episode 8
ジュンカイの会社の成長ぶりを恐れたレイルンに天天が誘拐されてしまう。
リ・イエはその知らせを聞き、ジュンカイに詰め寄る。
「復讐するのは私にだけして。天天は関係ないのよ。どうしてあの子をあなたに預けたのかしら。あなたから逃げ出すのは簡単じゃなかったのに・・・ 憎いなら私を殺して、殺して」
錯乱するリ・イエを抱き寄せるジュンカイ。彼女の積年の自分に対する憎しみをも受け止めるかのようで。
そんな彼を突き飛ばすリ・イエ。
「天天を返して」
と叫ぶリ・イエにおずおずと、ジュンカイは手を伸ばす。
そして、天天が誘拐されている埠頭へと、車を走らせる。
事業のすべ手を受け渡せと迫る、レイルンの手を鉛筆で突き刺すジュンカイ。
■ Episode 9
ジュンカイの後を追って飛び込んできたリ・イエを人質に取られ、形成は逆転する。ぼろぼろに殴られ地面に這いつくばらされる純に赤いにレイルンは囁く。
「お前の大切にしている女は俺のものだ」と。
かつて亡き妻を殺害したのもレイルンだったのだ。
「お前のすべてを俺に渡すんだ。ビジネスも女もな」
「知っているか? この女はお前が父親を殺したことを知りながらお前と結婚したんだ」
見つめう、ジュンカイとリ・イエ。
その時ジュンカイの部下の乱入で、形勢は逆転。
レイルンを半殺しにし、レイルンの部下たちを半殺しにしていくジュンカイ。
一歩づつゆっくりとリ・イエに近づき、激しく抱きしめる。
そのジュンカイを背後からひん死のレイルンが、背中を刺す。
なおもジュンカイを刺し殺そうとするレイルンを、リ・イエは切り殺す。
彼女の手を汚して。
ジュンカイを守るために。
「天天は俺一人では手に負えない。お前が一緒ならば、育てられると思うんだ」
ジュンカイの言葉にうなずき、彼を見つめるリ・イエ。
「愛している・・・」
言えなかった言葉、伝えたかった言葉を残してジュンカイは倒れる。
リ・イエを一人残して。
どこから間違っていたのだろうか。
初めてあったあの瞬間に戻れたのなら・・・
the end
SECRET: 0
PASS:
yucaさんこんばんわ♪
私もこの作品見ました!
毒をはらんだ愛のカタチ本当に痺れました!
二人の演技も全編通してキレッキレで、濃ゆい!
少しずつ物語のディープさに心を慣らしていこうと思っていたら、冒頭から主人公が血まみれで、先制パンチを頂いた気分です(苦笑)ただ、10分強見るとエンディングが流れるので、いい具合にリセット出来た気もします。
両想いなのに襲ったり襲われたり……あまりにも歪で甘くて、終始クラクラでした。
血まみれにならなければ、自分の本心すら口に出来ない主人公の歪さがとにかく美しい!その歪さを愛してしまうヒロインも美しゅうて……
最後躊躇いもなく敵に刃をむけるチュンニンちゃん。善悪のついた人間がみせる狂気は、なんて静かで怖いんだろうと、鬼リピしました。
そしてヒロインに向けるピーターさんの笑顔。あれは反則です(号泣)
SECRET: 0
PASS:
♪あおたさん、コメントありがとうございます~♪
このドラマの存在はあおたさんに教えてもらったのですよ。
本当に、感謝。
しびれますよね~
>二人の演技も全編通してキレッキレで、濃ゆい!
うんうん。15分があっという間ですもの(賞味10分か)
>最後躊躇いもなく敵に刃をむけるチュンニンちゃん。
あれ、マジで怖かったっす。
この物語で一番怖いのは、彼女ですよね。
父親を殺した男と知りながら、結婚しているんだもの。
ピーターさんが歪ではなくて、彼女が歪なんじゃないかしら。
彼女のあの態度が嗜虐心をそそるというか・・・
大体、子供を閉じ込めっぱなし、というのも普通に考えれば怖い。
考えれば考えるほど、共依存の関係の深遠に触れたようで、愛と憎悪があまりにも近くて怖いです。
こういうドラマが好きなんですよ、私。
10分といわずに、怖いもの見たさでもっと視聴したかったです、はい。
SECRET: 0
PASS:
字幕なしで、わからないまま、見てました
字幕つけていただいたんですね
ありがたく見させていただきました
DV男なんてありえないのに、このジュンカイは、魅力的で…
2人の熱演と息が詰まるような展開、また、一気に見ちゃいました
良かったです
ありがとうございました
SECRET: 0
PASS:
♪tamaさん、コメントありがとうございます♪
>DV男なんてありえないのに、このジュンカイは、魅力的で…
そうですよね。
しかもかなり陰湿です。
このドラマに関しては万人向けとは言えないのですが。
でもその奥に悲しさが迸っていますよね。
ピーター先生は、いい人の役より、こういう歪んだ役の方が似合う気がします。
あの優しい顔の奥に光る狂気に魅せられて、息が詰まります。
こちらこそコメントありがとうございます!