甘い夜・・・梨泰院クラス 12話まで


韓国ドラマ「梨泰院クラス」12話まで視聴。

 

正直、新型コロナウィルス感染拡大で観光業、飲食業が絶望的な大ダメージを食らっている今、「梨泰院クラス」を視聴しているとつらくなる。
きっとセロイももっと齢をとり、自分の歩んだ道を振り返った時に、仲間と過ごしたこの時期こそが自分の人生の「甘い夜」であったことに気づくに違いない。
そんな郷愁と、切なさと、輝きを持ったエピソードが続く12話まで。
あの涙も、怒りも、喜びも、悲しみも、すべてが思い返すと遠く、懐かしく、たまらなく甘い。
物語展開は王道なので、いろいろな妨害がありながら、仲間が増えながら、あるいは仲間と道を違いながらも、ICが成功していく過程を情緒的にみせていく。
わかりやすいストーリー展開、胸躍るようなOST、ベテラン俳優のいぶし銀の演技に支えられながら、若手俳優たちがエネルギッシュに活き活きと演じていく。
「梨泰院クラス」はわかりやすいドラマ。

 

 


ICと長家は対比されて描かれていく。
チャン・デヒは飲食業の基本は「おいしさ」であるといい、その「おいしさ」を体現するのは自分だと嘯く長家の創業者。
パク・セロイは飲食業の基本は「人」だといい、その人がその人らしく生きるための力を得る手段が会社経営だと信じる若きベンチャー起業家。

 

チャン・デヒが信じる「おいしさ」という概念は、飲食店をオープンする店主が言いがちなセリフだけれどもこれは間違い。
「おいしさ」なんて人それぞれの体調や状況に左右される一番あいまいな概念なのだから。
そんな「おいしさ」というあいまいな概念にあぐらをかいているから、料理対決番組で負けちゃうのよ。
長家の成功は、おそらくチャン・デヒという圧倒的なストーリーがすべての料理に表れていることなのだ。
客はチャン・デヒという屋台から始めた男の物語に、韓国という国の戦後からの経済復興を重ねて、味わうのだから。
韓国1位の外食チェーンであり続けている理由はそこらへんでないかと、私は思っている。
だからこそ、チャン・デヒが息子グンウォンを切り捨てる理由が、痛いほどわかる。
長家はチャン・デヒそのものだから。
長家は彼の人生だから。

 

 

一方のセロイの「人」という信念こそ、企業を成長させる最も大事なことで。
ICを成長させるほど、そのスピードが速ければ早いほど組織にはひずみがでてくるものだから。
セロイの信念が1話からぶれずに変わっていないからこそ、彼の理念がどこまで現場に伝わっているのだろうか。
あ、経営目線で「梨泰院クラス」を分析するのは野暮かな(笑)

 

 

「人」を大切にするICが本当に存在するのならば、新型コロナウィルス感染拡大によりコミュニケーションが禁じられた今、どういう経営戦略をとるのだろうかとそればかり考えてしまう。(ドラマを観ているというよりも経営を考えながら観ちゃうよ)

 

 


チョ・イソ、ぶさかわゆい。
自分で自分の運命を、愛をつかもうとするヒロインは嫌いではない。
白馬の王子様が現れることなんて待たないで、自分が自分の白馬の王子さまを作ろうとするパワー。
新しい時代のヒロインだね。
セロイのことだけが一番で、その足で他に誰を踏みしめようが、その手で誰を傷つけようが頓着しない。
その気になれば誰よりも愛らしいのに、誰よりも冷たい。
初登場時より周囲に気遣うようになり、イソも変わったように見えるかもしれないけれども、ところがどっこい。
彼女の行動基準はセロイなので、彼が嫌がることはしないという基準で動いているだけで本質は変わらない。
ものすごく割り切って、世間を馬鹿にしている性格は全く揺るがない。
小気味いいほど。
セロイに振られてもプランC、プランDとどんどんあの手この手で迫っていっているんだろうな。
ありきたりではないチョ・イソ大好きです。

 

 

 


グンスや~
回を追うごとにブラック化していく~
恐るべしチャン・デヒの影響力。恐怖で人を操ろうとする。
兄グンウォンも恐怖で人を脅していたよね。
グンスとグンウォンも相似形で、セロイを起点に好きな女をとられた反動で敵対してしまうという。
グンスがイソのことを死ぬほど好きなのがわかるし、彼女を得るためにグンスは自分の柔らかい心を押しつぶしてブラックになっていく。
セロイはぶれないヒーローだから見ていて安心するし、憧れるととともに、でも決してシンパシーを抱くことはないの。
グンスやグンウォンのように道を踏み外してしまう、そんな危うさに心を痛める。
心はギブアンドテイクなんかじゃないのに、自分が愛した分だけ、自分も愛されたいと願ってしまう私たちって、哀しい生き物だね。

 

 

なんだか嫌な展開になってきた12話まででした!

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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