ミストレス

ミストレス Mistress 全16話 (2018年 韓国OCN)

■演出:ハン・ジスン
■脚本:コ・ジョンウン、キム・ジヌク
■キャスト:
ハン・ガイン(チャン・セヨン)
ク・ジェイ(ト・ファヨン)
チェ・ヒソ(ハン・ジョンウォン)
シン・ヒョンビン(キム・ウンス)

 

2年前に事故で夫を失い、カフェを経営しながら娘と2人で暮らしているセヨン。
弁護士事務所に勤めるファヨン、高校教師のジョンウォン、精神科医のウンスとは高校の同級生で、30代になった今も定期的に集まっていた。
ある日、セヨンのもとへ非通知の電話がかかってきたことを皮切りに、4人の周囲で異変が起き始める。
異変はやがて過去の殺人事件にまで繋がっていくが・・・。

 

amazon primeで視聴したので全16話バージョンです。
もともとはイギリスドラマ「ミストレス」が原作ということなので、スピーディーな展開。
クリフハンガーに次ぐクリフハンガーで、続きが気になって5日間で視聴完了しました、この私が。
登場人物が全員怪しくって、不気味で、怖かった。
誰が犯人かわからずにストーリー展開を引っ張った序盤から中盤までは文句なし。
犯人との対峙していく後半は、ただただサイコパスとの闘いだったので若干飽きちゃったかな。
欧米ドラマ特有の早い展開に、韓国ドラマの特色の「情」がねっとりと絡み合い、稀有な味わいを醸成できたのではないでしょうか。
とにかく掘り出しもののドラマだと思います。
ぜひ前情報なしで観たほうがいい。

 

 

以下、若干のネタバレがあります。

 

 

 


「愛人」というタイトルのくせして、次から次へと登場人物たちの愛をひっくり返していく。
結論は愛なんて当てにならない。どこにもなかった。っていうのがジワリと怖い。
登場人物たちが信じていた愛は、相手の男に自分の幻想を重ねているだけの哀しい独り相撲だなぁ。
愛の幻想が破れたあと、彼女たちに残っていたものは友情だけで。
殺人の隠滅をするほど強い共依存の友情が。
愛を失ってしまったヒロインたちは互いを相憐れみ、互いの存在に救われる。
愛の敗者だからこそ成り立つ友情がある、なんて書いてしまったらあまりにも女の友情に対してペシミズムかもしれないけれど。

 

 


後半にいくにつれ影が薄くなっていったヒロイン2人。
「ミストレス」は4人の女の付き合っていた誰かがサイコパスで、それが誰なのかわからないという物語なのだけれども。
4人の男の正体がわからない時が、この物語1番面白かったなぁ。
ひとり、ひとりと相手の男の正体が判明するにつれて緊張の糸が緩んくる構成になってしまうのは仕方がないのかな。

 

 

 


4人のヒロインの中で、ジョンウォンが密かにお気に入り。
有名なシェフの妻で何不自由なく優雅な生活のはずなのに、子供を産まないといけないという強迫観念に苦しめられ。
愛されている実感を失い。彼女が望むような愛は夫は捧げてくれない。
勝手に寂しくなって、ふらふらと自分に構ってくる男の子と浮気をしたとたん男の子に脅される。
これでもかと降りかかってくる四面楚歌の出来事に、髪を振り乱して立ち向かうジョンウォン。
4人のヒロインの中で、一番アマちゃんのような彼女でしたがラストシーンで見せた女のしたたかさに脱帽です。

 

 


ハン・ガインってあまり好きではない女優さんなのですが、「ミストレス」の演技は良かった。
かわいいだけじゃない顔を見せてくれました。
気弱な顔も、怖い顔も、ずるい顔も、汚い顔も、衝撃のあまり老けてしまった顔も。
「ミストレス」で一番怖いのは愛の裏切りでも、愛が失われることでも、人を殺してしまうことでもなく、愛していた男があっという間に豹変していくことなのではないでしょうか。
あの男を愛してしまったセヨンの選択眼が、一番この物語の謎。

 

 

 


愛に裏切られていく女たちと、愛しようもないひどい男たちの物語ではあったけれども、その中でもやっぱり「愛」はあったわけで。
イ・ヒジュンにときめく日がくるとは思わなかったくらいこのドラマで救いであり、癒しだった。

 

 

★★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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