デート〜恋とはどんなものかしら〜

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デート〜恋とはどんなものかしら〜 (2015年 フジテレビ)

■演出:武内英樹ほか
■脚本:古沢良太
■キャスト:
杏(藪下依子)
長谷川博己(谷口巧)
松重豊(藪下俊雄)
和久井映見(藪下小夜子)
中島裕翔(鷲尾 豊)
風吹ジュン(谷口 留美)
松尾諭(島田 宗太郎)
国仲涼子(島田佳織)

【あらすじ】

内閣府の研究所で働く藪下依子は、30歳を目前にして父親から見合いを勧められる。しかし、恋愛経験が無く、結婚は相手との「契約」と捉える依子は、ことごとく見合いに失敗し、結婚相談所に登録。一方、自身を高等遊民と自称する谷口巧は、女性と新しく出会うことで働く意欲を持って欲しいと願う幼馴染の島田宗太郎によって、勝手に結婚相談所に登録させられる。依子は巧のプロフィールに記載してある身長や生年月日などの数字が全て素数で構成していることに興味を持ち、デートをすることになる。
恋愛感情の無い理念だけの交際と割り切り、さらに依子に想いを寄せる鷲尾豊、宗太郎の妹・島田佳織が割り込み四角関係となってしまうが、二人は不器用ながら互いに気になる間柄となっていく。

 


 

物語の恋模様の行きつく先は見えているのだけれども、そこにたどりつくまでの過程が毎回全然予想の斜め45度を突っ走って行くのが面白かったなぁ!
この物語って設定の妙で視聴者にアピールするドラマだとずっと思っていました。
恋愛不適合者という、恋愛に最も遠いキーワードを用いながらも、実はがっつりと月9の恋愛を描いていくドラマですよね。
毎回面白く思いながらも、心を揺さぶられるようなことはないのよねとこっそり思っていました。
タイムラインをずらして物語に奥行きを出したり、小道具がエピローグへの伏線となったり、何より巧と依子のマシンガントークに笑わせてもらったり、毎回本当に楽しかった。
でも楽しいだけで切なさがないよね、なんて思っていた私を最終回見事にノックアウト。
やられた~
最終回は、本当に涙を流して見ていましたもの。
こういう愛のカタチを描いてくれていたのね、と。

 

 

 

10-4

巧と依子が食べる禁断の果実。
アダムとイブがリンゴをかじり新しい世界への扉を開いたように、巧と依子が食べる禁断の果実は新しい恋愛のカタチを私たちに見せてくれました。
相手の幸せを願う愛のカタチを。
「私と一緒になっても幸せになれない。谷口さんはあなたの為に働く気になったんです。あんなに寄生にこだわっていた谷口さんが、あなたと付き合って変わったんです。あなたと付き合うべきです」
「藪下さんは君に気に入られるために、どれだけ努力してきたか知っているか?ものすごく努力したんだよ。幸せにしてあげてよ、子供の頃からずっと、恋が分からなかった人が、恋が分からないからこそ、恋をしたくてしたくて仕方なかった人が、やっとできるようになったんだよ。その相手が僕だなんて可哀想すぎるよ」
奪う恋でも、狂おしくなる恋でもないのかもしれないけれども、ただ相手の幸福を願う恋。
自分が相手にあげれる幸せよりももっと多くの幸せを違う人から受け取って欲しいと願う恋。
こんな告白は、こんなに心が揺さぶられるような告白は、そう滅多にお目にかかれるものじゃなくて。
泣いちゃいました。

巧、ニートで寄生虫かもしれないけれども、漱石全集は売らない男だけれども、いつも自分の気持ちよりも依子の気持ちを大事にして自分の幸福を彼女の人生のために譲っていたのね。
鷲尾君(大好き♪)と依子が結婚しそうになりつつあるときに、頭をよぎったのは巧が手本としている元祖高等遊民の「それから」の代助でした。
でも奪う恋を描いていくのではなく、あくまでも幸せを願う恋を描いてくれて、巧は代助を越えたよね。

 

 

 

10-5
恋愛不適合者なのに、運命の恋だったなんて、泣けるじゃないですか。
少年時代にあった時も依子の願いをかなえてあげようとする巧。
いい男だよ~

 

 

 

10-2
結局一回りして、それでもちょっとだけ成長した二人を見て、なんだか訳もなく幸せになります。
恋なんてどんなものかわからないけれども、一緒の方向を見て歩いていける人がいるっていうことだけで、人生はとてつもなく幸せなのかもしれない。SPがありそうですね。またこの二人に、仲間たちに逢いたいなぁ~

 

追記:白石加代子の恋物語がまるで百物語のように聞こえて、背筋を凍らせたのは私だけ?(笑)
そして古沢脚本で朝ドラを激しく希望します。

 

 

★★★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. FANです。

    最終回。それは、結末よりも、
    ただ、白石加代子を出したいが故の回だった。と、しか思えない・・。

    恋愛とは、そもそも錯乱状態の超常現象だと、改めて認識させられました。
    それを現実に引き戻すのが、結婚という儀式なのね、と痛感させられました。

    主役二人の動向より、加代子さまを日常に担ぎ出した演出の方が、心に喰い入りました。

    あの方から頂くリンゴ、例え、フジや、ムツのシールが貼ってあっても、絶対、怖いよぉ~!!

    杏ちゃんの10分越えは克服できませんでしたが、和久井ちゃんの小技で、乗り切りました。
    巧、コイツが現実に居たら、漱石に謝れと、声を大にして言いたい、でも、愛おしかったわ。
    最後までクズ野郎に品格を保たせたのは、役者の底力ですね、流石でした。

    古沢さんで朝ドラ。それなら、毎日録画で週末にBS再視聴ですわ。そうなる前に、どうか、大河の脚本で、潰されませんようにと、切に願います・・。木皿さんも同じ類で、洩れて頂きたい・・。

  2. yuca

    FANさん、どもども~♪

    白石さんが気になって気になって、ラブの部分がすっ飛んじゃいました(爆)
    あれは贅沢なワンカットでしたよね。
    画面に白石さんが映った瞬間に、「来るよ、来るよ~、キターっ!」な感じでしたよね。

    あのリンゴは毒りんごだったのかも(爆)

    >最後までクズ野郎に品格を保たせたのは、役者の底力ですね、流石でした。
    あああ、やっぱりハセヒロいいわぁ。ノリにのっている人ですよね。
    もう彼に逢えないのかと思うと寂しい月曜日でした。

    >古沢さんで朝ドラ。それなら、毎日録画で週末にBS再視聴ですわ。
    私って根気と忍耐力がないので、朝ドラってなかなかハードルが高いのですが、古沢さん脚本ならがんばれそうな気がする。