質問に答えろ・・・MOZU
「MOZU」感想の補足です。
オメラスについて、ダルマについて。
登場人物たちが、街を見つめているシーンが頻繁に挿入されている。
以下、ラストシーンに触れています。
それは、今まで自分が見ていた街の風景が彼らにとって激変したことを意味するシーン。
当たり前の日常が、当たり前の暮らしが、当たり前の生活が、実は大きな犠牲の上で成り立っていたと彼らが気づくシーンである。
日常の生活の奥底には、「真実」という犠牲が閉じ込められている。
私たちは「真実」から目をそらすことで、安穏とした生活を送ることができているのだ。
オメラスって知っているか?
ある小説に出てくる理想郷のことだ。
オメラスは自然に恵まれ独裁者もいなければ身分制度もない、誰もが何不自由なく暮らしている幸せな町だ。
ところが、その町のどこかに光の届かない固く閉ざされた地下室があった。
まるで下水道のようなその地下室に一人の子供がずうっと閉じ込められている。
その子はロクな食べ物も与えられず、体は汚物にまみれ、ずっとみじめな生活を送っている。
実はその子の存在をオメラスの住人達は全員知っていた。
だが、誰も助けようとはしなかった。
なぜならその子を閉じ込めておくことが理想郷が保たれる条件だったからだ。
オメラスの全ての幸せや美しい自然はその子の犠牲の上に保たれているとみんなが理解していた。
たった一人の子供を地下室に閉じ込めておくことで他のすべての人々が幸せに暮らせるならと住人達は見て見ぬフリをしているんだ。
同じだろ?今のこの世の中とオメラスは。
国家という体制を維持するために臭いものにフタをする。
そして子供を閉じ込めた地下室の門番。
それが公安なんだよ。
それが真実だ。
そうやって この国は秩序を保っているんだよ。
東が語ったオメラスの地下室に閉じ込められているのは「真実」であったのだ。
日本政府が国民に、世界に対して隠し続けている、事の真相。
倉木も、新谷も、明星もそのことに気付いた後に、街の風景を眺めているが、彼らの目には以前の同じ風景だがその中身は激変した街の風景が映っているに違いない。
まだ、オメラスの門番でいるつもりか、倉木?
実はあの話には続きがあるんだ。
オメラスの人々はあるタイミングで、地下牢の子供の悲惨な状況を知り、その事実にショックを受ける。
子供を助けてやりたい。
だが、何千何万の人の幸福を投げ捨ててもいいのだろうか。
オメラスに住む人々の幸せと、地下牢に住む一人の子供の幸せを天秤にかけ、次第に事実を受け入れ彼らの涙は乾いていく。
だがその中には黙り込んでふさぎこんでしまう人間もいた。
彼ら少数の人々は、一人で美しい門をくぐってオメラスの都の外に出ていく。
そして二度とオメラスに戻ることはない。
倉木、門を出て振り返ってオメラスを見たとき一体何を感じると思う?
おあれは分かったんだ。
理想郷をぶち壊し、偽りの秩序を乱すことが俺の使命だってことにな。
東がテロリストになった経緯が語られています。
東もまた、今まで見つめいてた街の風景が激変したことに気付いた人間の一人だったのです。
「真実」と言う犠牲の上で、日常の営みが送られていたことを知った一人なんです。
彼はテロリストになる道を選びました。「真実」を白日にさらけ出すことを選びました。
「質問に答えろ」と「真実」を追い求めて、すべての常識をひっくり返そうとする倉木は、予定調和さえも破壊しようとする倉木は、東と同じ道にたどり着くのか。
倉木がどういう道を選ぶのか、Season2では答えが出ていません。
そして倉木自身も自問自答しているのでしょう。S2のラストシーンで大杉に問いかけます。
「真実はすべてあばくべきだと思っていた」と。
倉木「真実を暴くことより、隠し続けることの方が困難だと思うか?」
大杉「真実を暴くのが、あんたの趣味だろ」
倉木「真実は全て暴くべきだと思っていた。娘のためならあんた、真実を隠し続けることができるか?」
大杉「娘のためなら真実を墓まで持って行くよ」
倉木「・・・そうか」
倉木への愛のために真実を胸の奥にしまい、決して語ることのなかった妻の愛のカタチを倉木はS2で初めて知ります。
亡き妻の空白の72時間の沈黙は、倉木への愛だったから。
沈黙することで倉木を守ろうとしたのだから。
あえてオメラスの地下牢に真実を閉じ込めた愛のカタチもあるんだということを知った倉木は、しばし休息をとるのです。
東と倉木は同じタイプの人間かもしれない。
「真実」を知りたいという人間。
知ってしまった「真実」の重みに耐えきれずに、あるいは「真実」のあまりの卑小さに耐えきれずに、テロリストになる東。
倉木はどう選択して「真実」と向き合うのか。
閉じ込めようとする生き方か、暴こうとする生き方か。
全てを知りつつオメラスの門番になった津城警視正のような生き方を選ぶのか。
真実を隠蔽する人間は、それはそれでもう一つの怪物に変貌していますね。
ダルマの容貌が津城警視正にそっくりなのは、偶然か必然か。
ラストシーンで彼は言います。
「その件はダルマを使って隠蔽してください」と。
ダルマもまた、実在する人間ではなく、世の中の不条理や隠したい事実をオメラスの地下牢にしまい込む、都市伝説の怪物の名前なんでしょうね。
「MOZU」のウィキで「Season1最終話のエンディングにて、警察官の制服を着用した彼らし
き人物が多くの未解決事件の調書が保管された謎の場所に「サルドニア大統領暗殺未遂事件」の調書を納めている様子が描写されている」と書かれていて、驚いたのですが。
似ている・・・かも。
いずれにしろダルマとはある特定の個人ではなく、符牒なのでしょうね。イワン・タイラーのように。
倉木のそばに大杉がいるかぎり、倉木は道を誤らずに、彼自身の生き方を見出していくのではないかと思います。
守りたい人を大切にする生き方を選ぶのか、「真実」を追い求める生き方を選ぶのか、「真実」を隠蔽する生き方を選ぶのか。
それは、またこれからのお話でしょうね。
まだまだ各地にオメラスの地下はありそうですもの。
Season2を見終わった後は、謎がすっきり解決されていないような気がしてもやもやしていましたが、こうやって考察するとさっぱりしました。
しかし物語は続いてほしいなぁ。
東のキレキレの演技も見たいし、「倉木ぃ~!」と倉木を見た瞬間の喜びの声や、「チャオ~」もずっと聞いていたい(笑)
明星の微ラブはどうなるのか? 大人の女性がまるで小学生の少女みたいに不器用に倉木にキュンキュンしているところも見たい。
大杉の銭形警部のように、武骨で愚直で、猪突猛進な生きざまも見たい。
新谷の不死身ぶり、瞬間移動ぶりに拍車がかかっているのか、確認したい。
何よりも、「真実」の闇に囚われた倉木がどのように選択をしていくのか見たい。
また、いつか、どこかで、今も闘っているであろう彼らに会いたい、そう願います。
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読まないように、読まないように、という誘惑にほぼ打ち勝って、内容はほぼ読んでいないのですが、スクロールしていて偶然見えてしまった(笑)部分、
「Season1最終話のエンディングにて、警察官の制服を着用した彼らしき人物が多くの未解決事件の調書が保管された謎の場所に「サルドニア大統領暗殺未遂事件」の調書を納めている様子が描写されている」
・・・というのは、私も最終話を見た時に、ダルマかと思った、と、一緒に見ていた母に言った言葉です。くしくも、サルドニア大統領未解決事件か~、って、これ全部未解決事件で、その中のひとつに入ったんだな~って。
そして、実在しないのかも、ということは、若干想像はしていました。
もちろん確信はなかったけど。
それ以外の記事内容は読んでないのですが、シーズン2を観て、スッキリと分かった形で終わっているのかしら?それとも色々物議をかもしだすような形で終わっているのかな。後者のような感じもしますが、どうなんでしょう~。
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♪ひめかさん、おはようございます♪
>読まないように、読まないように、という誘惑にほぼ打ち勝って
す、すみません・・・(笑)
>私も最終話を見た時に、ダルマかと思った
これはね、wikiに書いてあったんですよ。
もちろんS2を視聴しても、謎がすっきりと解決してはいなくて、もやもやしっぱなしです。
え、どうなったの?って感じ。
唯一すっきりしているのは、東の「チャオ~」だけだと断言できる(笑)
謎は謎のままだったりするけれども、面白かったです。
しかしS2が5話しかないっていうのが、バランスが悪いんですよね。
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yucaさん、考えが纏まらなくて躊躇してたんですが^^;
西島さんが演じた倉木は原作より強くてシャープな印象を受けたんですが、真木さんの明星もそうですね。
香川さんの大杉は原作のイメージに一番近いかな。
マーロウの台詞
「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」
結局、倉木のように男性の方が神経が繊細で優しいのだと想いますわ。
女性の方がある意味度胸が据わっていて怖い部分があるのではと。
それは、原作でS2以降あるか?ということも含めて思うことですが・・・
倉木あっての「MOZU」ならば、S2で終わることもあり得るかもで、
やはり、S2が全5話というのは消化不足でバランスが悪いですよね(>_<)
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♪花音さん、おはようございます♪
>倉木あっての「MOZU」ならば、S2で終わることもあり得るかもで
「MOZU」のテーマが亡き妻を理解したいというのであれば、S2で終わりますよね。
結局亡き妻の真実を知ることができても、倉木が理解できたかどうかは、分かりませんが。
あのラストシーンを見ていると、倉木自身ももやもやしたものを抱えながら、眠りにつく・・・という風にも見えました。
真実なんていつも藪の中で、人の数だけ真実があるんですもの。
倉木も「真実を暴く」なんて言っていないで、大杉のように大切な人を守る、と強く言い切った方が楽だろうになぁ、と思います。
亡き妻へのラブレターだったような、「MOZU」において、倉木と明星の仲が進展しないような気もします。
いつまでたっても微妙なLOVEの2人。
たった5話しかないのに、東の強烈なインパクトに私はやられちゃいました(笑)
TBS×wowowは「ダブルフェイス」「MOZU」と続いて、新たな作品に取り組むとも聞いています。楽しみですね。
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yucaさん、こんにちは
MOZU2
家のテレビ画面じゃなく
巨大スクリーンで、見たかったです
作りての並々ならぬ情熱が
心に迫ってきました
妻の千尋の謎は解明されましたが
後は、謎のまま
追えば追うほど、底なし沼のよう
ドラマと同じく、私達の世界も
真実は闇の中のようです
シーズン3は、どうでしょ?
東の行き着くところを見てみたい
(笑)
劇中、倉木と東のシーンが
好きでした。
東の登場と退場に、いつも笑ってしまいました。
大雨の中、窓からヘリにて移動!
テレビ枠からみたら、コントのようであり、そう見ては不謹慎のようでもあり 苦笑
そして、強引な『チャオ!!』
鈴木先生から、キュンキュンしてる
東まで、見てる者を裏切らないわ
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♪はるさん、コメントありがとうございます♪
妻の謎を解く、S1ではなぜ妻はあの場所にいたのか、S2では妻の空白の72時間については解明されました。
子供は事故で亡くなったのか、それとも・・・の謎はそのまま。
他にもちりばめられたさまざまな謎、ダルマ、オメラスなどはそのまま残っています。
しかし亡き妻への思い、ということでは綺麗にS2で終わりましたよね。
妻へのラブレターという意味ではS2で完結しているので、S3はありえませんよね。
ただ個人的に、東の「チャオ」が聞きたい(笑)や、明星との微ラブの行方とか気になります。
>東の登場と退場に、いつも笑ってしまいました
もう、「チャオ」が言いたいがために登場しているとしか思えない(笑)
そんな東が好きです!
>巨大スクリーンで、見たかったです
だよね~
「ダブルフェイス」「MOZU」と来て、西島×香川の主演の3部作目を作ってほしいなぁ、と思います。
きっと企画されつつあるの違いないと思っています。
楽しみですよね!
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また、企画されるであろう
出演者は、西島×香川でお願いしたいですわ〜
そして、井浦新も参入して
彼の怪演(決めつけてる)との
トライアングル見てみたい
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♪はるさん、どうも~♪
>井浦新も参入して
!!!
観たい、観たい!
肉体美のニッシーに、顔芸の香川さん、そして妖しさ満載の井浦さん!
豪華競演じゃないですか。
よだれが出そう(笑)
意表をついて、「昼顔」の北村一輝のフェロモン全開の怪演も観たいよ~(爆)