優雅な奴隷・・・密会 10話まで

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韓国ドラマ「密会」10話まで視聴。

エクスタシーに満ち溢れているんですけれども、このドラマ。
昨日かしら、フジテレビの亀山社長が「テレビ業界全体で、僕らよりも若い作り手たちが恋愛ドラマに興味をなくしているのかなと思う。他局でも作り手が出てきていない。テレビ全体の流れだと思う」と現状を分析し、携帯電話などの登場により「恋愛ドラマを作りづらくなっている」との見方も示されたらしいのですが。

亀山さんといえば、「あすなろ白書」から「ロンバケ」といったフジ月9の黄金時代を担った方。そんな方からの恋愛ドラマ退潮論は少しさびしい気がしました。

翻って韓国ドラマは、これでもかという勢いで恋愛ドラマを繰り出してきます。
宇宙人との恋愛、恋人を殺した相手との恋愛、呪いがかかった恋愛、子守りをしていた子供との恋愛、ここ最近、私が視聴したドラマたち(笑)
がっつり恋愛ばかりです。
そして、この「密会」はラブストーリー・スリラーという区分らしい。
そこにクラッシクの曲の数々が重なって、通俗的な題材・・・「不倫」を扱っているのに、そこはかとなく優雅な、品位を感じちゃいます。

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8話~10話にかけてのラフマニノフの ♪ パガニーニの主題による狂想曲 ♪ が取り上げられているのに、唸っちゃいます。
ピアノとオーケストラのトレモロや、ピアノ独奏、同じメロディをオーケストラが受け継ぐ・・・そのままヘウォン(キム・ヒエ)とソンジェ(ユ・アイン)が恋に墜ちていくさまを連想させます。

ピアノを弾いている姿を観ているだけで、なんだかエロティックなんです。このドラマ。
言葉にはせずとも、恋愛をしている二人の間に漂う空気感が漂っている。
人が恋に墜ちるさまは本当にミステリーだと思う。
自分自身でもコントロールできない自分の感情に押し流されていく二人を観ているだけで、手に汗にぎってあっという間に毎回終わってしまう。

アンコール曲にブラームスの ♪ op.118 intermezzo no.2 ♪をソンジェが選んだのにもニヤリ。
自分にとってのヘウォンをブラームスのクララに例えているのでしょうか。
サガンの「ブラームスはお好き」も出てきましたね。
「密会」は古今東西の年上の人妻と青年というプロットへのオマージュ作品かしら。
サガンは大好きな作家です。あのほろ苦さが。
恋愛という自分の生き方を覆す嵐に襲われ、そして嵐の後に残る静寂と孤独と倦怠を描いた作家でした。「密会」も、そこに行きつくのかしらん。

このドラマ、毎回の終わり方もなんだか不思議で、いかにも来週まで引っ張りたいがための強烈な「引き」で終わらずに、なんだか中途半端なところで、「続く」、なの。
だからこそ、それまでドラマに集中して観ていたのに、ぽんと突き放されたような、不安と寂しさを感じる。なんとも不思議なドラマです。

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キム・ヒエのシックさが、このドラマの魅力の一つであります。
ちなみにこの服はエルメス 2014春夏プレタポルテコレクションです(笑)
「星から来たあなた」のチョン・ジヒョンとはまた違うセレクトのハイ・ブランドな洋服の数々も楽しませてくれます。
また、ファッションチェックしようかしら(笑)

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「密会」においては登場人物の背景があまり説明されていないので、そこも面白いところですが、ヘウォンは挫折したピアニストなのかな。
世界で成功するには才能が少し足りなかった彼女は、しかしマネージメント能力には長けていたらしく、芸術財団の室長として能力を発揮している。
財団のスポンサーの一族に振り回されつつ、世話をすることによってある程度のお金と地位を手に入れてきた。
自分のプライドと時間と自由と夢を犠牲にして手に入れてきた。

そんなヘウォンが、若く才能があるソンジェを見ると、揺らいでしまう、その気持ちは分かります。
気付いたら若さも失われつつあり、そしてプライドさえも踏みにじられている毎日に、息が詰まりそうになり、そんな自分を「優雅な奴隷」と自嘲する。
彼女の中の老いへの怯えと、若さへの羨望と、姑息で卑怯で、平気でうそをつき、それでいて少女のように突然襲ってきた愛の嵐に戸惑っている様子を見るのは、嫌いではありません。
ものすごく、何かを失っていきそうな、その焦燥感がわかる。

「優雅な奴隷」から逃れることを夢見ながら「愛の奴隷」に今後、なっていくのか。
ソハングループ会長がいなくなったら、そもそも登場人物たちの優雅な生活は、跡形もなくなくなってしまうんだよね。
決して物語はバタバタしていないのに、果てしなくスリリングな、このドラマ。
この先、どうなるのでしょうか。

BGM:Rachmaninoff Rhapsody On A Theme Of Paganini

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. sarubobo

    ただ今、BSで視聴中。
    私は毎回どうしてもヘウォンの顔のテカリが気になってしょうがない!!
    って私だけでしょうか・・・
    変なコメントでごめんなさい。

  2. yuca

    saruboboさん、コメントありがとうございます♪

    >毎回どうしてもヘウォンの顔のテカリが気になってしょうがない!!
    あはは、わかるような気がします。
    ずいぶんお金がかかっているよね、へウォンと思います。
    お金ですべてが手に入っても、愛だけは手に入らなかった。だからこそ狂おしかったのでしょうけれども。

    ラストでもへウォンは顔はピカピカです。やつれはありません。