いとしのソヨン

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いとしのソヨン My Daughter Seo Yeong 全50話 (2012年 韓国KBS)

■演出:ユ・ヒョンギ
■脚本:ソ・ヒョンギョン
■キャスト:
イ・ボヨン(イ・ソヨン)
イ・サンユン(カン・ウジェ)
チョン・ホジン(イ・サムジェ)
パク・ヘジン(イ・サンウ)
チェ・ジョンウ(カン・ギボム)
キム・ヘオク(チャ・ジソン)
パク・チョンア(カン・ミギョン)
イ・ジョンシン(カン・ソンジェ)
ホン・ヨソプ(チェ・ミンソク)
ソン・オクスク(キム・ガンスン)
チェ・ユニョン(チェ・ホジョン)
シム・ヒョンタク(チェ・ギョンホ)
【あらすじ】
要領が悪く借金ばかりするダメな父親サムジェ(チョン・ホジン)に、幼い頃から振り回されっぱなしの双子の兄弟、ソヨン(イ・ボヨン)とサンウ(パク・ヘジン)。
サムジェの借金を返すため、医学生の弟サンウに代わり、法科大の卒業目前で再び休学しなければならなくなったソヨン。
助教授に紹介された家庭教師先は、資産家一家の末っ子問題児ソンジェ(イ・ジョンシン)。
見事、手を焼いていたソンジェの心を掴んだことから、ソヨンは一家に住み込みで働くことになる。
渡米を控えたソンジェの兄ウジェ(イ・サンユン)は、いつも強がってばかりのソヨンに次第に惹かれてゆき、ソヨンもウジェの人柄に惹きつけられてゆく。
しかしこの恋は、ソヨンのいままでの唯一の心の支えであった大切な弟、サンウの恋を阻む障害になるのであった・・・

 


 
「49日」「検事プリンセス」のソ・ヒョンギョン脚本家のホームドラマ。
私の中で韓国ドラマで、この脚本家の作品だったら視聴しなくては、と思う脚本家の双璧の一人。
ちなみにもう一人は「ホワイトクリスマス」「乱暴なロマンス」のパク・ヨンソン。
「私の心が聞こえる?」「あなた、笑って」のムン・ヒジョンも好きだけれども「会いたい」のグタグタぶりに(注:ハリー目線で考えると)、すこ~し様子見。
ホームドラマなので予定調和であるし、ある種の伝統芸のような落とし所で最終話というのが物足りなく感じるのは、同じくホームドラマでありながら「日本の朝を変えてしまった」と評される「あまちゃん」を視聴しているからなのかも。
「あまちゃん」を視聴していなかったら、もっと評価は高くなったかもしれません。
そこまでハマれなくて、(私のハマり度はレビューの数に比例しますから・笑)淡々と見てしまったのは、そもそものソヨンの嘘にあまり共感できなかったからかなぁ。
どうもサムジェは演じるチョン・ホジンの品の良さも相まって、ソヨンが言うようなひどい父親に見えないのが原因かも。
サムジェが本当にいい人で、謙虚で、切なくってね。
ただ不器用なだけなのに、そこまで自分の娘に非難されるような父親に見えないのよね~
そこに引っかかって、ソヨンの心に寄りそうことができないのよ。
ソヨンがプライドしか持っていなくて、それだけが彼女の生きる最後の砦だということはわかるけれども。
でもそう言いながら彼女は、他人ときちんと向き合うことをしていなかったの。
プライドを理由に、全て自分の中に気持ちを溜めていく・・・という生き方は、実は簡単だったりする。
人と向き合わなければ傷つくこともないから。
自分が傷つくことを恐れるあまりに、人に期待せずに、自分で全てを背負っていくサマは不器用です。
しかしソヨンがそんな生き方に固執するあまりに、周囲を傷つけていくのを見ると、やりきれないなぁ。
ソヨンが赤いリンゴを持つのは、彼女のその意固地なプライドが原罪であるということなのかもしれない。
ウジェがまたいい男でね~
ソ・ヒョンギョンってこういう「見守り系」の男子が好きなのかもしれないなぁ。
「49日」「検事プリンセス」も見守り系のドラマですもの。
その彼が、根気強くソヨンに接していくドラマでもありました。
密かに餌づけドラマだと思っていましたもの(笑)
誰にも懐かない、クールビューティーなソヨンに餌を与えて、ひっかかれて、それでも世話をしていくと次第に・・・というドラマ(笑)
それだけ、ホームドラマにとって「食事」というのは、登場人物たちが心を通わす重要なモチーフなんでしょうね。
他の登場人物たちも、皆、不器用で。でも誠実に生きていこうとするところに好感が持てるのよ。
不器用だから互いに傷つけ合ってしまうし、自分も傷ついてしまう。
でも傷ついた中で、自分が失ってはいけないものを見つけた時に、彼らはプライドを捨て去ってそれを手に入れようとする。
「ごめんなさい」という言葉が、明日に続いていく大切なキーワードなんだ、人と繋がるキーワードなんだ、が「いとしのソヨン」のテーマの一つでもあるのでしょう。
ウジェの妹を演じたパク・チョンアは「検事プリンセス」では、ソビョンの頼れる友人ジェニーで心に残った人でした。「いとしのソヨン」では、また、ガラっと雰囲気を変えて好演。
そして、何よりもホジョン(チェ・ユニョン)が好きでした~、私。おバカで健気で一途で・・・というキャラクターに弱いのかもしれません。
脚本はおそらく、登場人物をシンメトリーに配置して、同じ出来事をリフレインさせ、波紋を広げていく・・・という構成かな。以前に考察しているけれども。
そういう意味では全てがピタッとおさまって、面白いです。
前半のソヨンと後半のソヨンが対比できるようにもしているわね。
構成に関しては色々妄想していましたが。
なぜ、ソヨンが弁護士なのか、とか。
ソ・ヒョンギョンは作品で弁護士、検事といった人を主役にするのは何故なんだろうか、とか。
次作「Two Weeks」で考察できるかな。
構成も深く考えれば面白いんだろうな~と、思いながらも淡々と視聴してしまったのはやっぱり熱烈に墜ちるキャラクターがいなかったからね。

 
★★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 6 )

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  1. はる

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    yucaさん、こんにちは^^

    前回のコメント
    視聴したすぐで、気持ちの整理もついてなかったのか
    時間がたち、ソヨンの事が脳裏に残り
    すこーーーし考えが変わりました
    自分に向き合うのも
    人に向き合うのも凄く難しい
    分かったようで、また同じ事を繰り返す日々
    誰もが経験したことない絶望を味わうと
    なおさらかもね
    やっぱり、人は人で立ち直っていく
    寄り添ってくれる人がいる幸せ
    凄く飛躍しましたが、そんな事思いました
    後から、思い起こす事ができるのは
    好いドラマなんですよね

  2. moonlight-yuca

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    ♪はるさん、コメントありがとうございます♪

    >自分に向き合うのも
    人に向き合うのも凄く難しい

    おっしゃる通りです。
    エラソーなことをブログで私も書いておりますが、ソヨンを非難する資格は私にもないです。
    ただ、その瞬間瞬間、どう人と真摯に向き合って生きていくか。
    人間だから失敗してしまった時に、「ごめんなさい」といえるか。
    そんなことを優しく教えてくれるドラマでした。

    >寄り添ってくれる人がいる幸せ
    ホームドラマは全てこのことがテーマですよね。
    うんうん。

    本当に韓国ドラマ特有の息子を支配する母親や、破滅的な父親などを出さずとも、心を通うわせていく大切さを教えてくれた「いとしのソヨン」
    素敵なドラマですよね。
    「オジャッキョ」も好きですが、どうも序盤の農場をめぐる話が後味が悪かったので、「ソヨン」の方がホームドラマとしては好きかも。

    キャラ堕ちで言えばファン・テヒですが。

  3. はる

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    yucaさん、こんばんは

    レビューを読ませてもらって
    自分が感じ取れなかった事 に
    気がつきました
    ありがとう^_^

    ソヨンでは、キャラオチ無かった
    テヒには、心鷲掴みされました よね〜

    長編で、『お隣は元旦那』
    私はとても好きでした
    イケメン出てこないのに
    ost流れると涙出てた^ ^
    作家さんのメッセージが伝わるドラマに
    出会いたいですね

  4. moonlight-yuca

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    ♪はるさん、コメントありがとうございます♪

    >自分が感じ取れなかった事 に
    色々な人の見方があって勉強になります。
    私もはるさんの意見で、はっとしました。
    「ソヨン」って絶賛の記事が多いのですが、皆さまこの意固地なソヨンの性格を本当にいいと思っているのかしら、と疑問に思っていましたから。

    ソヨンがプライドだけが心のよりどころっていうのはわかるのですが、それにしても・・・ですものね。

    >テヒには、心鷲掴みされました よね〜
    そうそう(笑)
    それがないと、最近視聴がススミマセン・・・

    >ost流れると涙出てた^ ^
    お、そうなのですね。韓ドラってOSTがいいですものね。
    わかる、わかる。

    ドラマを視聴しながら、「テーマはなんだろう」といつも考えます。
    制作者が大切に作ったドラマを私も真摯に受け止めよう・・・と思っているのですが、なかなかリタイア作品も最近多くて(笑)
    しっかり伝わった時って、ウレシイですよね。

  5. ベン

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    はじめまして^^
    いとしのソヨン好きでした。
    私はソヨンとサムジェは二人ともプライドが大事な似たもの親子なんだと感じました。
    サムジェが妻が死んだときに、今まで苦労をかけてすまなかったとソヨンに言えたら、ソヨンが嘘をつく前に地道に節約生活で借金を返せていたら… と思ってしまうんです。

    ソヨンも仰られてるとおり、プライドだけでいきていますが、ソンジェの件では誰よりもソンジェとジソンの気持ちを考えられる優しい面も持っています。
    終盤にかけて、この二人がごめんなさいと言い合えてわかりあえてよかったです。
    この記事を読んで、なんかこのドラマのメッセージが伝わった気がしてコメントしてしまいました。

  6. moonlight-yuca

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    ♪ ベンさん、コメントありがとうございます♪

    はじめまして。こんな僻地のblogに遊びに来ていただけて、光栄です!

    >プライドが大事な似たもの親子なんだと感じました
    サムジェが語っていたように、ソヨンの結婚式を見た瞬間に、彼は変われたのでしょうね。
    娘から捨てられる父親だということに衝撃を受けて、変わることが出来たのでしょう。
    ただただ、双子を幸せにしてやりたくって、お金儲けに走ってしまったのですが。父親=お金というプライドだったのかもしれませんね。

    サンウもソヨンとよく似ている。
    自分から愛するのではなくて、愛にほだされる所とか。

    ソヨンはウジェの家族と共に過ごすことで、優しく変わっていったのかもしれませんね。
    どんな家族だって、人に隠したい傷があるということを知り、自分の家族にも優しくなれたのかなぁ。

    「いとしのソヨン」は、互いを思いやり認める、といった当たり前のことをきちんと教えてくれる素敵なドラマでしたよね。
    50話、だれることなく視聴できました。

    また、お時間のある時にでも遊びに来ていただけたら、幸いです~♪