YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS 恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ>
ぶっちゃけね、こういう同人誌で自分のセクシャルファンタジーをパッションとして発表するようになったから、彼女の商業本が引きずられてぐだぐだになっちゃったのも劣化の大きな原因のひとつだと思うわけです。
この矢代俊一シリーズにいたっては、ググってみたけれども感想が見当たらない(笑)
読者メーターにいたってはゼロだよ。
どんだけ読者にスルーされているのか、ああ、もう感想を書こうかなぁ。
かわいそうだったぁ、ほれたってことよ、みたいな心境です。
「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」です。
薫の文章ってば、やっぱり読みやすいんだよね。
読みやすいからグダグダしていても、読むことができちゃうんだよね。
とうとうと語られる「恋知らず」矢代俊一の述懐は、あれはなんですか、ある意味プルーストばりの意識の流れですか?(爆)
読みやすいけれども、同じ地点をぐるぐる回っているから、感動がないんだよね~
圧倒的な天才とその無垢さをこじ開け、矢代俊一の世界に飛び込んできた英二。
これは、まんま「終わりのないラブソング」の竜一だよね?
そして二葉の進化系が俊一。
けっしてこの<矢代俊一シリーズ>はあの「キャバレー」の矢代俊一ではありません!
俊一がどうしてこんなに皆にあがめられ、守られる、お姫様のようなキャラクターになってしまったのか、読んでいてめまいがする。
それは、すなわち、晩年の薫の「自分はこういう風に愛されたい」という俊一に託した強烈なセックスファンタジーがプンプン匂ってしまっちゃって、読者を置いてけぼりにしちゃうんだわ。
人物を描きたいとか、世界の謎を解き明かしたいではなく、ただ自分を盲目に愛してという狂おしいばかりの自己愛が栗本薫を形作っていたんだなと、振り返ると思う。
そのイタさは、今でいうと中二病そのもので。
そんな言葉もない時代、あれだけ栗本薫がベストセラー作家になったのは、そのかすかなイタさに共感した私たちがいたのよね。
『YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS』
『朝日のように爽やかに Softly, As In A Morning Sunrise』
『CRAZY FOR YOU』
『NEVER LET ME GO』
『BLUE SKIES』
まで読了。まだあと38作も(!)あるんだw~
どこまで読み続けることができるのか、私。
(たぶんつづく)
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