Amazing Grace・・・THE K2 2話まで

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韓国ドラマ「THE K2」2話まで視聴。

 

【あらすじ】
「THE K2」は戦争傭兵出身ボディガードのキム・ジェハ(チ・チャンウク) と、彼を雇った大統領候補の妻チェ・ユジン(ソン・ユナ)、そしてこの世と離れて生きる少女コ・アンナ(ユナ) のストーリーを描く作品。
幼いアンナは母の死を目撃してからある修道院に送られた。アンナは修道院で10年を過ごした後、成人となってそこから脱出するために空身で飛び出した。キム・ジェハも誰かから逃げていた。地下鉄に向かって走っていたアンナはキム・ジェハとぶつかり、「痛い」と韓国語で言った。キム・ジェハは韓国人であるアンナに「大丈夫か」と聞いた。アンナはキム・ジェハも韓国人であることを知って「助けて」と哀願した。キム・ジェハはどうしてもアンナを捨てることができず、彼女を助けるために孤軍奮闘した。キム・ジェハは銃を持った警察を素手で圧倒する優れた武術の実力を持っていた。しかし、自身も逃亡者であるキム・ジェハがアンナを助けることは無理であった。結局キム・ジェハはアンナを助けず、アンナは彼を恨みの目で見つめた。

 


 

物語の始まりから息もつけぬ展開。
走る、走る、走るアンナ。
闘う、闘う、闘うジェハ。
彼らは何から逃れようとし、何に抗い、誰を希っているのだろうか。
「映画のよう」と評されていたけれども、まさしく。
1話の大部分で会話はなく、ただ画面から伝わるアンナの絶望、ジェハの失望がひしひしと伝わってきて圧倒される。息もつかせぬ展開。

 

おかえりなさい、チ・チャンウク。

 

そうつぶやこう。
あなたの韓国ドラマへの帰還を待っていたのだから。ずっとね、ずっと。

 

 

 

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ボディーガードアクションドラマと銘打たれた「THE K2」はチ・チャンウクの前作「ヒーラー」の進化形でもあると、もしかすると考えられるかもしれない。
しかし「ヒーラー」より余分な装飾をはぎとり、よりシンプルに、より研ぎ澄まされたストーリー展開。それによって、狂おしいほど胸がひりひりするのは何故なのだろうか。
言葉では語ろうとせずに、登場人物たちのまなざしで、あるいは戦いから物語の全貌がおぼろげに浮かび上がってくる構成は圧巻。
言葉では掬いきれないエモーションがドラマに表れてくるのだから。

 

「ヒーラー」のジョンフと「THE K2」のジェハは全く違う。
ジョンフは世界に心を閉ざしたヒーローだったけれども、ジェハは世界に失望したヒーロー。
その手は血にまみれ、何かを失い、何かから逃げ、自分の無力さを知り、しかしそれでも市井の人々のひとかけらの善意を信じたい、と願うヒーロー。
その闘いはあまりにも孤軍奮闘で、たったひとりでこの不条理な世界に立ち向かっているようで。
アンナも不条理な世界と闘うヒロイン。純潔の白いワンピース、そして裸足で。
その姿はまるであの世とこの世の狭間でもがき苦しむ天使なのか。間違ってこの世界に生まれてきてしまったかのよう。
彼女の言葉は誰にも通じない。彼女が真実を言っても誰も信じない。自分の記憶すらあいまいで、ともすれば自分自身もうっすらとした靄の中で生きている実感しかないのかも。
薬の投与の影響か、記憶操作をされているのか? あるいは幼少期の深いトラウマのせいなのか。
その彼女の「助けて」という言葉が、この広い世界の中でたったひとりジェハには届いた。
強烈なA BOY MEETS A GIRL の物語が、始まった。

 

 

 

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そんな息もつかせぬ展開から一転。
孤独なジェハと猫。このシーンは反則でしょう!
どれだけの視聴者が「私もこの猫になりたい」と画面のこちら側でのたうち回ったことか。
製作者側のもくろみ通り、1話の冒頭30分ですっかりこのドラマに夢中になっている私がいます。
どれだけ久しぶりなのでしょうか、リアルタイムで観たいと思うドラマに出会うのは。

 

 

 

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今のところの物語のカギを握るチェ・ユジンも、ものすごくいい。穏やかでたおやか、凛としたたたずまいの中からちらりと見える狂気がいい。
全てを手に入れながらも、たったひとつのものが手に入らない者の狂気がいい。
万能感を抱きながらも、実は誰よりも無力なチェ・ユジン。彼女もジェハとの出会いで変わっていくのだろうか。
鳥肌が立つようなソン・ユナの演技が絶品。こんな演技をする人だったのねと敬服です。彼女の底知れぬ狂気が、この物語の根底に流れていて緊張感を私たちに強いてくる。
分かりやすい悪役ではなく、無力を噛みしめているフィクサーだからこそ怖い。
愛なんて信じていないという態度を取りながら、どこか傷ついた表情を浮べるユジン。

 

 

 

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イザベル・アジャーニの「ポゼッション」をどうしても思い出してしまう、このシーン。
偶然にも「ポゼッション」のヒロインもアンナ。妄想と現実に押しつぶされていく映画のヒロインと同名なのは偶然か、あるいは必然か。
アンナを見ているだけで、ジェハは弱いだろうなぁと思ってしまう。
たった2話だけでも、ジェハの心の奥のそっと秘めた柔らかい部分にアンナのような存在は刺さるのだろうなと分かる。
浮世離れしたこの少女は、ジェハの琴線に触れるのだろうなと分かる。
ジェハにとって、あまりにも無防備に(裸足で)この世界と闘おうとする無垢な女は守らなければいけない存在。
だって彼は闘うことでしか世界と関われない人間で、闘うことが彼の存在意義だから。
言葉で語るよりも、その闘い方で自分の気持ちを表現する人間なのだから、ジェハは。アンナが彼の生きる意味になるのだろう。

 

 

 

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まさしくAmazing grace!
キャスト、映像、音楽、構成、すべてがパーフェクト。ストーリは未知数ですがボディガードの物語が私たちを熱狂させない訳がない!
この素晴らしき恩恵のドラマが私たちに降り注いできます。
目を決してそらさずに彼らの闘いを見ていきます!

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. メロメロ沼の同志

    yuca様

    >おかえりなさい、チ・チャンウク
    はい、そしてyuca様もおかえりなさい♪ 嬉しいな~♪♪
    リアタイされましたか。彼のドラマは冬が似合うと思うのですが、今回は少し季節が早めですね。

    >その手は血にまみれ、何かを失い、何かから逃げ、自分の無力さを知り、しかしそれでも市井の人々のひとかけらの善意を信じたい、と願うヒーロー。
    ジェハは世界にも失望しているし、自分にも失望している…..、でも何かを願っているようで……
    だから1話の掃除婦、2話の果樹園の老夫婦、ジェハは自分のためではなく、市井で慎ましく生きる心優しい人々のために闘うんでしょうね。
    特に2話の老夫婦との絡みでは、ジェハの言葉ではなく態度で示す優しさにうるうるした私です!
    Healerでもアクション頑張っていましたが、本当に『闘う、闘う、闘うジェハ@JCW』ですね。

    >「映画のよう」
    >「ポゼッション」のヒロインもアンナ
    うん、この監督さん(脚本家さんも?)かなり映画を意識して撮っておられますよね。結構ここはあの映画のオマージュという部分がありますよね?
    4話で、私の大好きな映画?と思われる部分が何箇所かあって、1人にんまりしていました。(理髪店&回転扉、風呂場 笑)
    撮影技術でも『マトリックス』と同じバレットタイムという技術を使っていて、映画ファンの私はうはうは状態です。
    ただ、そういうのに拘る監督さんは突っ走って、視聴者を置いてきぼりにすることがあるので……..私は大好きなんですけれどね

    >どれだけの視聴者が「私もこの猫になりたい」と画面のこちら側でのたうち回ったことか。
    はいはい、のたうち回った1人です。(^O^)/(痛いわ~辛いわ~!爆)

    アンナ(ユナちゃん)とジェハ、ユジン(ソン・ユナさん)とジェハの関係がどのように絡みあっていくのか本当に楽しみです。
    たった一つ欲しいモノが得られていないユジン、それを得てしまうのはアンナか?それとも……そして狂気の矛先は……
    あっ、ユジンの秘書、彼女の狂気もかなり怖いです!ユジンを取り巻く人々は皆かなりの曲者揃いですね。(*_*; 

    うふふふっ、金・土の夜はパソ前に集合です!!

  2. yuca

    同志さま、コメントありがとうございます!

    面白いですよね~、よかった!怖くて1週間視聴できませんでしたもの。
    確かにチャンウク君は夏だとタンクトップで二の腕やら、腹筋やら大サービスしてくれます。夏もいいですよね(笑)
    いつの間にこんなに体が鍛えられたんだとファンではない私はびっくり。

    傭兵って設定は血にまみれたはずなのに、そこに人を殺すことはできないという設定を付け加えてきましたね。
    なんとも甘い。しかしその甘さがジェハにはよく似合います。
    そこかしこに映画へのオマージュがあってニマニマですよね。
    しかしチャンウク君、撮影大変でしょうね・・・

    ただ一つだけ文句があるとすればラーニャの設定。ものすごく違和感がある。
    ジェハとの並びがしっくりこない。なんで、なんで?と叫んでいます。
    これは嫉妬でしょうか? 冷静になれない私。

    >うふふふっ、金・土の夜はパソ前に集合です!!
    いや、本当です。ジェハの魅力が全開になるのはこれからでしょう。
    あ、しかし。
    できたらジェハは前髪を上げてほしいなぁ。そこはかとなくジョンフとかぶるので。
    ティーザーでは前髪上げていましたよね。惚れそうになった私でした。