イニョプの道

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イニョプの道 The Maids 全20話 (2014-2015年 韓国jtbc)

■演出:チョ・ヒョンタク
■脚本:チョ・ヒョンギョン
■キャスト:
チョン・ユミ(クク・イニョプ)
オ・ジホ(ムミョン)
キム・ドンウク(キム・ウンギ)
イ・シア(ホ・ユノク)

両班から奴婢の身分に転落してしまうヒロイン、イニョプ(チョン・ユミ)、王の庶子であることを知らず奴婢として生きるムミョン(オ・ジホ)、 イニョプの婚約者だった名家の御曹司ウンギ(キム・ドンウク)、イニョプの親友でありながら、密かに嫉妬の炎を燃やすユノク(イ・シア)。この4人の恋愛模様を中心に、 厳しい身分制度を乗り越え力強く生きるヒロインの姿を描く。

 


 

この秋から始まる「六龍が飛ぶ」と前後した時代が舞台なのね「イニョプの道」
劇中のイ・バンウォンの親子の葛藤が背景に描かれていることからも分かるように、「イニョプの道」は「チャングム」や「トンイ」に続く女性の生き方を描くドラマに見せかけて実は父親と子供たちの話だったのかなとも思う。
朝鮮建国直後の国も親子関係もまだ確固たる仕組みが作られておらず、どこか危うい、どこか揺らいでいるようなそんな時代が舞台。
身分の上下関係が出来つつありながらも、国をひっくり返そうと画策する人たちや、互いに目指す国の姿が違い離反していく親子の姿が描かれていた。
そんな時代にイニョプもムミョンも、ウンギも父親との関係性を追い求めていた子供たちだったのだ。

 

 

 

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時代劇のヒロインものは割合、宮廷すごろく的なストーリー展開が多いよね。
つまり最下層から最後は王妃(最愛の側室)まで成り上がってゴール。
「善徳女王」は文字通り女王になってジ・エンドでしたけれども。
「イニョプの道」が面白いのはヒロインが愛によって成り上がるのではなく(這い上がるのではなく)、亡き父の願いをかなえるという強い思いで身分を取り戻していくところ。
愛よりも恋よりも彼女にとっては、亡き父の名誉回復への願いが勝っていた。
それは彼女が奴隷と言う身分に堕ちても、たったひとつ残ったプライドだったから。栄華を誇った家門というのが。
そのためには愛も恋も捨て去る。
恋愛至上主義の韓国ドラマでは珍しいヒロインかもしれないなぁ。
「イニョプの道」を見ていると強い父権の回復といった裏テーマを感じてしまうのは、勘繰りすぎなのでしょうかね。
そう勘繰ってしまうくらい見事にイニョプは全てを切り捨てていくのよね。父の名誉の回復のために。

 

 

 

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ある意味男前なヒロインのイニョプに対して、恋愛至上主義な男たち。
最初からウンギのたどり着く先は想像できていたけれども、この善良なトリョンニムが闇に染まっていくさまは心に響きます。
すべてを持っていたはずなのに、あっという間にその手からこぼれ落ちてしまう。
ただイニョプを愛し守りたかっただけなのにね。
ウンギの愛が壊れた瞬間はいつなのかと、今でも考えます。
もちろん行われなかった結婚式の瞬間だろうけれども、ウンギはイニョプにその愛を捧げた時から報われない運命を選んだのかもね。
イニョプは愛よりも恋よりも、家門の栄光を、父権の回復を、自身のプライドを生きる理由としているヒロインなのですから。
序盤はイニョプの転落に心を痛め、そして終盤はウンギの愛してはいけない女を愛してしまった男の心の崩壊に胸を痛めました。
愛が報われないと気づいた瞬間からのウンギは、それはそれは鬼気迫り、どこまでも堕ちていくさまは圧巻。
イニョプやムミョンという登場人物の影が薄くなるくらい静かな、静謐な狂気に満ちているのよね。

 

 

 

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ムミョンは「イニョプの道」のキーパーソンです。
無名という名でありながら、実はオールマイティな人物であったはず。
謎に満ちており、最下層の出身ながら登場人物たちの誰よりも「人間らしく生きる」ということに強い矜持を持っている男。
中盤まではそれはそれは、強烈なオーラを画面の中で放っていました。
彼の一挙手一投足が物語の展開を握っていると言っても過言ではない。
登場人物全てがムミョンの行動を固唾をのんで見守っている、そんな緊張感がありました。
ところが。
ところが中盤から終盤にかけて彼の出自がわかり、そしてムミョンがイニョプへの愛を隠そうとしなくなった途端、あの強烈なオーラがなくなったのよね。
イニョプのそばを離れない忠実な大型犬としか私の目に映らなくなりました(苦笑)
ごめんよ、オ・ジホ。ムミョンは神秘的な方がよかったなぁ。
自分の想いをイニョプに語った瞬間、ムミョンもまた恋愛至上主義な男になってしまって。
いかにイニョプに振り向いてもらおうかと苦心している男にしか見えなくなっちゃいました。

ウンギとムミョンという男たちの献身を背負い、イニョプは家門の復権のために奔走する。
物語の最後ヒロインはある選択をするのですけれども、実はここからが女性としての生きる道が始まるのではないかとも思っています。

 

 

 

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中盤まではね結構夢中になって視聴していたのですが、どん底に堕ちたヒロインが実は男たちの献身によって生き延びていくのに、全然男たちに頓着しないのがなんとなく興ざめで終盤以降視聴意欲がやや失速したのよね。
そんな中で私の心を癒してくれたのはサウォル。
この小さな忠実なイニョプの友の生き方は、これこそが「人として生きる」ということではないのかしら。
家柄も富も名声も関係なく、ただ自分が欲するままにすべてを投げ出して生きていく。
イニョプやウンギ、ムミョンの生き方よりもサウォルの生き方に涙しましたし、この物語も彼女の存在で救われたと思います。
いろいろあった伏線も拾いきれていないような気もしますが、総体的に面白いドラマでした。

 

 

 

★★★


感想+考察

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 5 )

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  1. 桜より、雨が恋しい・FANです。

    ユカさん、お加減はいかがですか?
    え? 聞くまでも無い?(私も花粉症、雨が恋しいです) 答えたくも無い?
    は、お察しいたします、そりゃそうです。

    桜の開花に、一喜一憂のニュースと同時に、花粉情報を流すTV・・あれって。
    どうしろというの?何をしろと、言いたいの?
    桜に罪は無いけどさ。
    と、私も、野暮な疑問をやり過ごしております。

    で、漸くNHKが、このドラマを放送だとか。
    ワクワク、楽しみ~。ユカさんの低空視聴を持ち上げたドラマですよね?

    やっと、奇皇后の女優さんから離れてくれたのね、NHK。
    長いこと、彼女のドラマ輸入オンリーで、もう、お腹一杯だったのよ。
    (ヨン様ほどでは無いけど)

    しかし、タファンの時間枠というのが、どうも?引っ掛かる・・。
    ま、気にしない、気にしない、楽しみです。

    さ、マスクで曇る花粉ガードのメガネを装着して、今日もお花見の八甲田だわ。
    我が家のHDの録画残り時間が気になるけど。
    春の八甲田は、比較的ラクだと言う言葉を信じよう。

    ユカさん、我々のGWは、梅雨入りですワ、きっと。(その後には、熱中症が待っているけど・・)

  2. 失言の・FANです。

    げ!!イニョプのお部屋を彷徨ったらば・・。
    わたくし、何と言う暴言をコメントしていたのでしょう。
    6話のお部屋で、このドラマを期待しながらも。

    @少なくとも、NHKが輸入する韓ドラ時代劇よりは、面白いかと存じます。

    オイオイ・・・輸入したがな、NHKハンが・・。
    違うわ、その前に、そうよ!ユカさんが嵌まっていらっしゃったのよ。 NHKは、後発よ!!そうよ、気にしないのよ、!!

    (で、FANさん、何が言いたいの?) え?
    いや、気にしたくないので、以下は、独り言です、聞き流して下さいませ。

    いえね?気のせいか、フジTVが目を付けたスポーツ選手と、NHKが見出した俳優さんは。
    何故か? 大盛り上がりで結果を出せば幸い、でも、大概が尻すぼみ・・・

    ・・・いえ、独り言です。体操の内村君が心配、そんなこと言ってません。朝ドラ女優が泣かず飛ば・・
    いえ、どうぞ、お気に無さらずに、はい。

  3. yuca

    FANさん、コメントありがとうございます~♪

    相変わらずの遅レスです。(開き直ってきた・爆)

    「イニョプの道」いかがでしょうか?
    序盤は面白かったのですけれどもね。

    予定調和が最近苦手なのかもしれません。
    そんなことを想いながらGW過ごしていますよ~

  4. ごめん遊ばせ。の、FANです。

    イニョプ・・・。まぁねぇ・・。
    いえ、見ていないとは言ってません。録画はしてます、ハイ。

    ※いや、FANさん、再生は?

    ・・・・、これがですね。
    新ドラマのトットてれびが、8話。しかも録画容量が重たい。(音楽、サイコーです) で、朝ドラの真央ちゃんは、まだまだ、すこぶるお元気だろうし・・。
    すると、録画残り時間が・・・・。
     ↓
    恐らく、ごめん・・イニョプ。(だって、吹き替えが昭和すぎr・・・・)いえ、何も言ってません。

  5. yuca

    FANさん、どもども~♪

    >いや、FANさん、再生は?
    わはは、わかります。
    私はせっせとブルーレイに録画をオトしていっているのですが、いったいいつこれを見るのだろうかと思いますもの。
    未だにクドカンの「ごめんね青春」が視聴していないのに、「ゆとり」なんかにたどり着くのだろうか?

    こっそり書くけれども「イニョプ」は視聴せずとも大丈夫ですよ。
    むしろなぜあんな地味な作品をNHKが購入したかのほうが不思議。
    NHKなので大々的に宣伝していますが、そんなに派手な作品じゃないのになぁ。