幻の王女チャミョンゴ

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幻の王女チャミョンゴ (2009年 韓国SBS)全39話

■演出:イ・ミョンウ
■脚本:チョン・ソンヒ
■キャスト:
チョン・リョウォン(自鳴:チャミョン姫:楽浪国王女)
パク・ミニョン(楽浪公主:ナクラン・ラヒ姫:チャミョンの異母姉)
チョン・ギョンホ(ホドン:好童王子:高句麗王子:大武神王の息子)
イ・ジュヒョン(ワン・ホル:ジャシル弟)


 

 
30話からの嵌り方は尋常じゃなかった、「チャミョンゴ」
13話までの苦痛の子供時代からは想像できない、終盤の怒涛のロマンティック。
構成のバランスの悪いドラマだけれど、だからこそ妙な勢いが後半にある。
まず、主人公のホドンがねぇ、不遇な悲劇の王子だけれど二股男なのよね。
自分が何を欲しているか、わからない。父親の愛なのか、王の座なのか、愛する人なのか。
頭がいい、腕もたつ、のに打つ手打つ手が全て裏目に出てしまう。
自分が何をしたいのか、わからないから。
だからラヒに甘い言葉をささやき、チャミョンを奪いたいと思う。
父親のように冷酷には徹しきれないし、愛に溺れることもできない。どっちつかずの王子。
やっていることだけ見れば、誰よりもひどかったりするのよ。
それは志や、理念がないから。だから彼には天命がない。卑怯な作戦しか遂行できない・・・
登場人物がホドンに対して云った「遊女のようだ」はまさにそう。誰にでもいい顔をしようとする。
彼の内なる感情がなかなかわからない。
でもね、でもね、ホドンって嫌いじゃないの。むしろ好きなのよ。
ホドンの混乱を愛おしく思えるし、彼を見ると切なく胸を痛めてしまう。
こんな難しい役をサラリと演じて見せたチョン・ギョンホ、要チェックです。
笛を吹いたプック(チャミョン)を探し当てて、川べりに立った時の笑顔。
両手を広げてプックを迎え入れようとした時の笑顔。私、撃沈しました。
ラヒが云うように本当に「悪い男」なんだけど、
その場その場ではいつも本心を語っていて、その言葉が胸に突き刺さります。

「国を滅ぼしてでも、お前を奪ってやる」(31話)
「お前がもう一度、呼んでくれるのを待っていた」(37話)
「楽浪の王女として告げる。ホドン王子、剣を抜け・・・早く!」
「この剣は大神神王の剣だ」
「・・・だから?私の血で汚したくないと?」
「この剣で・・・お前は死ぬ」
「やはりお互いに会いたかった理由は同じようね」
「時間を稼ぎたかった。お前を見ていたいから。お前の笑顔、怒った顔、私を苦しめ、剣を向ける姿。お前の気持ちを感じていたかった」(39話)
「お前を他の者に殺させるわけにはいかない」(39話)

チャミョンも、ラヒも可愛かったなぁ。どうしようもない運命に抗う二人。
義を重んじて愛を捨て去ろうとする女の苦しみも好きだし、愛に殉じる女の愚かさも好きだ。
対して、親世代がちょっと視聴がしんどかったなぁ。
高句麗、楽浪という大国の割に男の影が薄くって暗躍するのは悪女ばかりって、どうよ!?
私利私欲ばかりに汲々とする面々の中で、ワン・ホルは一服の清涼剤でした。
一途で、真摯で、無骨で、機転もきいて、何より「ハッハッハッ・・・」という豪快な笑い声が好き。
でも、なんだかんだいってホドンが一番ツボでした。卑怯なんだけどねぇ・・・
彼のあまりにも「わかってなさ」にシンパシーを覚えるのです。
そもそも自分の「理」やら「志」やら「信念」など持っている人間は少なくて、
ドラマではややもすると天命のある人物ばかりにスポットライトが当たる中、
ホドンの高スペックの主人公なのに、何一つやり遂げられなかった中途半端さに
哀愁と、憐れみと、切なさを感じる。つまり・・・好きなのよ(笑)、彼が。
こんなこと初めて。ビジュアルもやっていることも、全然タイプじゃないのに、
ここまで気になるキャラクターなんて、そうそういないわ。
恋焦がれるように「チャミョナァ」と呼ぶ彼にもだえました。

 

 
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文句を言いながら、20話以降は大変面白く、切なく、視聴しました。30話からは絶品。
チャミョンの幻視のシーン。
雪原の中、紅の楽浪の御旗のもと、純白の鎧を纏い1人佇み、
彼方から視界を埋め尽くすほどの鈍色の鎧の軍勢と対峙するチャミョン。
その鈍色の軍勢の先頭にはうつろな瞳をしたホドン。
この映像の美しさ。身震いしました。鳥肌がたった。
このワンシーンだけで、本当に前半頑張って視聴した甲斐がありました。
蛇足だけど、ずっと「チャミンゴ」だと思っていた私。「チャミョンゴ」なのよね。
そして、チョン・ギョンホ、ものすごく気になる・・・
「あなた、笑って」を視聴しようかしら。
そして、今調べたら、チョン・ギョンホも昨年の11月末から兵役中なのね・・・(´Д⊂ヽウェェェン
ナムギル、ビニ、ギョンホ、ジフニ・・・(´Д⊂ヽウェェェン

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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