ヴァンパイア検事2 ~残された赤い記憶

a0192209_22443213

ヴァンパイア検事2 ~残された赤い記憶 全12話 (2012年 韓国 OCN)
■演出:ユ・ソンドン
■脚本:ハン・ジョンフン、イ・スンフン
■キャスト:
ヨン・ジョンフン(ミン・テヨン)
イ・ヨンア(ユ・ジョンイン)
イ・ウォンジョン(ファン・スンボム)
キム・ジュヨン(チェ・ドンマン)
イ・ギョンヨン(チョ・ジョンヒョン)
クォン・ヒョンサン(L)
吉高由里子(ルナ)
■ストーリー
ソウル地検・検事のテヨン(ヨン・ジョンフン)は失踪した妹のヨンジがまだ生きていると信じて行方を追っていた。
そしてテヨン、同僚検事のジョンイン(イ・ヨンア)刑事のスンボム(イ・ウォンジョン)、いまだインターンのドンマン(キム・ジュヨン)の“特捜チーム”は法医官のチョ博士(イ・ギョンヨン)を新たに仲間に加え難事件の捜査にあたる。
そんな折、日本からルナ(吉高由里子)という超能力を持つ占い師が来る。ルナは行方不明の女子大生が死んでいることを見事当て、テヨンらの捜査に協力することとなる。しかし、捜査中、ルナは何者かに連れ去られ…。


 

う~ん。

面白くない訳ではないのですが、シーズン1とは別物と考えた方がいいのかも。
私をあれだけ熱狂させたストイックさがすっかり失せています。
登場人物たちは相変わらず愛すべき人たちなのですが、監督・脚本家の興味がミステリーや吸血鬼の悲哀というよりも、ただただアクションに移ってしまったような気がします。
アクロバティックな展開を脚本が追い求めるあまり、「ヴァンパイア検事」の特色の抑圧された色気、禁じられる思い、手を触れたくても触れられない関係といった情緒面の描写が皆無になり、ただのアクションドラマになっています。
人間描写がストーリー展開に追いついていないのかな。
スピーディーな展開=緊迫したドラマ展開、というものではありませんね。
また、スピード感を出すために選んだ犯罪が「誘拐」に次ぐ「誘拐」というのも、too much。もう少し趣向を凝らして欲しいなぁ。

■ エピソード6 「モデルたち」 ■
a0192209_2255329

シリアスなストーリー展開の中に、エピソード6のようなおバカな話が入るところも好きだなぁ。
モデル勝ち抜きオーディションに潜入捜査するジョンイン。ところがそこにギャングが襲ってきての攻防戦。
ジョンインを助け出そうとする、テヨンの必死さに胸キュン♪
エピソード6まで視聴して感じたことは、シーズン1はあくまでも「ミステリー」にこだわった脚本だったけれども、シーズン2ではアクションが重視なんだろうなぁ、ということ。
アクションを重んじるばかりに、どうもなぜ殺人が起こったかとか、殺人犯の悲哀というものが描ききれていない。
監督と脚本家(の一人)が代わった弊害なのかも。
ミステリーを期待すると肩透かしになります。
a0192209_232443

テヨンとジョンインのほのかなラブラインも描き切れていない。もどかしさがないんだよなぁ。
シーズン2ではむしろ、「ヒョンとトンセン」の関係がクローズアップされてきます。
男同士の友愛の方がクローズアップされて、なんだか私の期待した方向と違う方面に進んで行きます。まさか、ブロマンス(男同士の兄弟愛)にストーリーが展開するなんて(笑)

 
■ エピソード7 「ストーカー」 ■a0192209_2354520

シスコンのテヨンは、同じ養護施設で育ったヘリにも優しい。
通常のドラマの展開なら、ジョンインがそんな二人の絆に割って入れずイライラするという展開だけれども、そこらへんのジョンインの細やかな心情描写はカットなのか。
あくまで、シーズン2では男同士の絆、そして闘いがメインになってくる。
女性はまるで、華を飾るだけの存在みたい。ジョンインも、ルナ(吉高ちゃん)も、ヘリも。
おやおや、どうしちゃったのでしょうか。
シーズン1で私が大好きだった要素は、ほとんど無くなってきているシーズン2。
a0192209_2311349

 

 

■ エピソード8 「横柄なテヨンさん」 ■
a0192209_23123860

シリアスな展開の次はおバカな展開。検察合同特捜班が社員旅行に行ってみれば・・・
シーズン2ではシリアスな展開よりも、おバカな回の方が楽しいなぁ~
何かと部下に横柄に指示を出しているミン・テヨンは、実はアクが強い部下たちに苦労していた・・・という逆パワハラの展開が秀逸。

 
a0192209_23165346事件も、その解決も爆笑間違いなし。
シーズン1の骨太ミステリーなところを期待しちゃいけないシーズン2ですね。
a0192209_23191110苦労しています(笑)

 

 
■ エピソード9 「冷たい血 VS 悪い血」 ■
a0192209_2321710

ep9~ep11までは一つのストーリーですけれども。
やっぱり私にはこのドラマにおいてルナの存在意味がよくわかりませんでした。別に出さなくてもよかったんじゃない?

 
a0192209_23234782

下手にシリーズ化してしまったために、シリーズものの弊害が。
より強力な敵が必要となり、ミステリーはそっちのけで敵と闘うシーンばかりの連続です。
キレのあるアクションがこのドラマの売りかもしれませんが、それは骨太なミステリー展開があればこそ。アクションばかり続くと冗長になるし、謎の解決をすべてルナの占いで・・・なんて、ちょっとどうなのよ、と毒づきたくなります。

 

 

a0192209_232741100ここから誘拐に次ぐ誘拐で、緊迫して最終話にもっていきたいのだろうけれども、あまりに芸がない。
チョ博士の肉親の愛を求めている悲哀も伝わってこないのよね~

 

 
■ エピソード10 「悪魔の誕生」 ■
a0192209_23301836

やっぱり、あの人も、この人も生きていて・・・
しかし、ミン・テヨンの活躍がないエピソード10。ずっとベッドの上に縛られていた(笑)
もう、脚本が破たんしています。チョ博士の「僕の悪い血を子供に残したくないので」という言葉はどこに行っちゃったの?
韓国ドラマ特有の善悪を超越して「復讐」に走る男になってしまいました。

 

 

a0192209_23342473

そして男同士の友情がクローズアップ。
スンボムとチョ博士、テヨンとスンボム、テヨンとラウル、テヨンとチャン・チョロといった具合に男同士の信頼が入り混じり、裏切られ、裏切り、そしてそれでも信じあう関係。
そんなことが描きたかったのかなぁ。
そして、シーズン2では悪役を一手に引き受けるLは自分では築くことが出来なかったそんな関係を羨み、妬み、壊したがっている気がします。
欲しいものが手に入らないのならば壊そう。
そんな男同士の歪な友愛の前では、ジョンインはすっかり色あせてしまっています。

 

 
■ エピソード11 「ヴァンパイアの帰還」 ■
a0192209_23402581諸悪の根源はLですが、彼もまた、国家の陰謀の犠牲者だとわかる。40年前(くらいだったかな?)のヴァンパイア超人計画に血を提供するためにモルモットとしてヴァンパイア化させられ監禁される。
彼の起こす事件は全て、彼がかつて体験したことだった。
彼は最愛の妹を守るために、ヴァンパイアになる選択をしたのだ。だから彼が現代でも誘拐を繰り返し、そして人をもてあそぶのは、かつての自分を再現していることなのね。

 
a0192209_2346162

サイコ・アクションドラマとなってしまったヴァンパイア検事。
あっ、エピソード10でテヨンがずっとベッドの上で寝ていただけだったのは、リアルにヨン・ジョンフンがこのドラマで足をケガをしたせいかもね。
そのせいで脚本が変更になったのかも。そのせいで脚本が破たんしているのだと思われます。

 
a0192209_23502129

ヴァンパイアの生存欲に(吸血行為ですね)、じっと耐え抗う、テヨンの禁欲的な表情。ヴァンパイアになってしまったことで、ありきたりな人間の幸せを、あきらめてしまったあのストイックな眼差し。人間の幸せを断念しようとした彼を支えてくれる仲間に対して、フッと笑うあのしぐさ。
堪らなく、かっこいいですぅ。禁欲的な色気に、私、くらくらしちゃいました。
とにかく、テヨンが微笑んでくれたら、視聴している私もドキドキしている状態に。

私があれだけ大好きだった、ストイックな色気がすっかり失われているんだよな~
ジョンインとテヨンの関係は、なんだかあっさりしていました。
何よりもルナがあっさり殺されたことに衝撃。結局なんだったのでしょうか、ルナって。

 
a0192209_23544464

アメリカドラマを意識したかのような終わり方。すべてを曖昧にして、さらなる巨大な敵を暗示して。
結局あの人もこの人も生きていて、そしてジョンインは生きているのか死んでいるのか不明で続く。

 

 
■ シーズン3は・・・ ■
a0192209_2357575シーズン2のセリフをまとめて、シーズン3へとつなげていこうとするこの予告は好き。
「これで終わりではない」
「まだあるということ」
「きちんと捜査しましょう」
そして、「ミン・テヨンはどこ?」
一体テヨンはどこに行ってしまったのでしょうか。そして、ジョンインは無事なのか。
全てヴァンパイアの根源、「リリス」「悪い血」とは誰を指しているのか。
シーズン1と比較するとシーズン2は期待外れではありますが、やっぱり登場人物たちが大好きなのでシーズン3があれば視聴したいなぁ。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。