DEVILMAN crybaby
DEVILMAN crybaby 全10話 (2018年 Netflix)
■原作:永井豪「デビルマン」
■監督:湯浅政明
■脚本:大河内一楼
■音楽:牛尾憲輔
■キャラクターデザイン:倉島亜由美
■デビルデザイン:押山清高
■キャスト:
不動明(内山昂輝)
飛鳥了(村瀬歩)
牧村美樹(潘めぐみ)
ミーコ(小清水亜美)
シレーヌ(田中敦子)
カイム(小山力也)
本当の悪魔を、まだ誰も知らない―
漫画史に残る不朽の名作「デビルマン」を、湯浅政明監督が完全アニメ化。
永井豪画業50周年を記念し、同氏の代表作である『デビルマン』がアニメーション作品『DEVILMAN crybaby』として蘇る。
かつて幾度も映像化されるも、原作の結末までを表現できた作品はなかった。
“不朽の名作”にして“完全映像化は不可能”と呼ばれたデビルマンの全てが、
ついに今作で描かれる。
監督は『ピンポンTHE ANIMATION』『マインドゲーム』など
多くのハイクオリティな作品を手掛け、世界で評価されるクリエイター、湯浅政明。
さらに脚本は大河内一楼、音楽を牛尾憲輔が担当。
日本を代表するクリエイターが一同に介し、世界的な原作漫画のアニメ化に挑む。
【あらすじ】
泣き虫の高校生・不動明は、幼なじみの飛鳥了と再会し、
危険なパーティに誘われた。
そこで明は見る。悪魔に変わっていく人々を。
そしてまた明自身も……。
クリエーターたちに多大な影響を与えた「デビルマン」
名前はもちろん知っているし、結末も知っているが全10話通して視聴すると、やっぱり世界観に圧倒される。
圧倒的な哀しさに押しつぶされそうな300分だった。上質な長編映画を見るようで。
1話から強烈なエロスとクリーチャーたちの造形に度肝を抜かされる。地上波ではできないよね。
原作の永井豪のアクの強いエッセンスを剥ぎ取ったようなキャラクター、クリーチャー造形だが物語がそもそも強烈なのでね。
1話にこの物語のテーマがすべて込められていて、10話を視聴した後1話に戻ってみると感慨深いものがある。
伸ばした手は誰と繋ぎたかったのか。
信じてほしいのは誰にだったのか。
私の定義では、雨の中、傘を差しだすというのは強烈な愛情表現であり、かつ傘を差しだした方が相手をより深く愛している。
その定義から言えば、この「DEVILMAN crybaby」は飛鳥了が愛を見つけるまでの物語であり、涙を知る物語であることが1話を再視聴するとわかる。
おそらくアニメ史上初の最高にねじれたブロマンスであることは間違いない。
「うつくしき月よ、そなたはこれからおこることを見ないほうがよい」の美しきシレーヌ。
生存欲、食欲、性欲しかないデビルたちと言われるがそんなことはない。
たったひとりに求めて欲しくって、たったひとりを求めたくって、たったひとりに自分の生きた証を穿ちたくって、何よりも愛を求めさまよっているように見える。
善と悪が入り混じる世界観に自分の中の価値観が覆される衝撃を「デビルマン」という物語は持っている。
価値観を揺さぶって、ひっくり返して、残ったものは何なのか。
愛でしょう。
愛を失って、泣きじゃくる子供たちの物語が「デビルマン」なのです。
こぼれ落ちる涙の意味を知る物語。
自分の想像を絶する世の中の圧倒的な不条理に出会い、大切だと気付かずに過ごした青春の日々を失ってしまったことに気づく物語。
生きていくということは、何かを失い続けることなのだと知ってしまう物語。
あの日に戻れないことを知る物語。
馬鹿だなぁ、あんなに勇敢に世界と闘ってきたのに。
振り返ると誰もいない世界になっていたなんて。
★★★★★
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