リセット・・・ロボットじゃない19・20話


韓国ドラマ「ロボットじゃない」19・20話(MBC版)視聴。

 

やられたー!
考えてもみてください。ロボットのふりをする女の子と人間嫌いの男の子だなんて、あまりにもコミカルな設定じゃないですか。
ばかばかしい設定。
冷静に視聴すると、早くロボットのふりをしていることに気づけよとイライラするかもしれません。
ロジカルに見ていくとあまりにも子供っぽい展開だと思うのです。
思うのです。
しかしそこにこんなエモーショナルな演技をぶつけられると、子供っぽい設定なんてどうでもよくなるくらい悲しみに心揺さぶられる私がいます。
そのくらい18~20話の展開は鳥肌が立つくらいミンギュの痛みを演じ切るユ・スンホ君が圧巻。

 

 


だってさ、こんなふざけた格好で始まる17話から「愛」についてがっつりと考察させられる18~19話になるなんて想像しなかった。
だからドラマ視聴はやめられないのよとしみじみ感じています。
私のドラマ視聴意欲をどん底から救い出してくれたのが「ロボットじゃない」です。
巷では同時刻に放映されている「黒騎士」の方が視聴率は高いみたいですが。

 

 


人間不信から誰ともかかわりたくないミンギュが築いてきたカードのお城をアージ3が壊して、明るい場所にミンギュを連れ出す。
世界はこんなにキラキラして。
そしてミンギュはおずおずと、人と関わっていこうとする。生きていこうとする。
ホン・ベクギュン(オム・ギジュン)を「ヒョン」とミンギュが呼んでいることにも涙。
誰かと関わることによってミンギュはアージ3が自分の心の中でどんな位置を占めているのか気づいてくる。
「愛している」と。
そしてアージ3も彼を愛していることをミンギュは感じる。
気が狂いそうになる。ロボットを愛し、ロボットも自分を愛しているなんて。
ミンギュのここからの慟哭は、あまりにも、身がよじれるくらい視聴している私もつらい。

 

 

人間とロボットの違いは何なの?というリドリー・スコットが「ブレードランナー」や「エイリアン・コヴェナント」で投げかけている深遠なテーマは「ロボットじゃない」では扱われません(笑)
私だったらロボットでもいいじゃない、それは愛だよ、愛は人間相手だけに生じるものではない。なんて考えますが。
人間嫌いだったミンギュに対してはいきなりハードルが高いですよね。
コミュニケーションがとれたらとれたで、それはロボットだなんて。
やっと普通になれると思ったら、ロボットを愛しそして愛されるなんて感じる異常な人間が自分だと気が狂うくらい悩む。

 

 


ベクギュンはミンギュに語る「リセットしろ」と。
アージ3のデータをすべてデリートし、新たな人生に踏み出せと。
(そもそもジアをアージ3として差し出した、頭はいいけれども浅慮のベクギュンには言われたくないですが、ベクギュンはベクギュでいてンで悩み苦しんでいるのです)
その時のミンギュの顔。
震え、悲しみに押しつぶされそうな、それでいて静かに決断した時のこの顔。
突然「ロボットじゃない」というコミカルなドラマがメロウなドラマに転調した瞬間。
(正確に言えば、ミンギュがハートボールの向こうにアージ3を幻視した時からですが)
ラブコメというのは、コメとメロウの落差が大きければ大きいほどいいドラマだと思います。
あとはもうユ・スンホ君の演技に私たちは心を震わしながらついていくしかありません。
どんなにばかげた設定でも役者がエモーショナルな演技をぶつければ、そのドラマは傑作に転じるという瞬間を見せてもらいました。

 

リセットの瞬間は前記事にも書きましたが。
ミンギュとアージ3(ジア)はお互いの存在を優しく受け入れ、愛を惜しみなく与えながら、そして別れるのです。
泣ける。
本当に言いたい言葉、伝えたい言葉は互いに胸に秘めたまま。

 

 


心に愛があればどうなのかを「ロボットじゃない」は私に見せてくれた。
誰かを大切に思い、誰かを受け入れることで私たちは強くなれる。
人間アレルギーのミンギュが世界に向かって一歩踏み出したように。
愛はすべてを変える力を持つ。愛が心の中にあるということ。
誰かに必要とされ、誰かに認められ、私たちは生きていけるのだ。
その愛を、絶頂で断ち切るなんて。
愛をリセットして生きていかなくてはいけないなんて。

 

 


ドラマはようやく折り返し地点。
再び2人は出逢う。

 

 

なんてクリフハンガーのところで続くなのでしょうか・・・
待ちきれません。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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