THE K2

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THE K2  16話 (2016年 韓国tvN)

■演出:クァク・ジョンファン
■脚本:チャン・ヒョクリン
■キャスト:
チ・チャンウク(キム・ジェハ)
イム・ユナ(コ・アンナ)
ソン・ユナ(チェ・ユジン)
チョ・ソンハ(チャ・セジュン)
キム・ガプス(パク・グァンス)
シン・ドンミ(キム室長)
イ・ジョンジン(チェ・ソンウォン)

【あらすじ】
「THE K2」は戦争傭兵出身ボディガードのキム・ジェハ(チ・チャンウク) と、彼を雇った大統領候補の妻チェ・ユジン(ソン・ユナ)、そしてこの世と離れて生きる少女コ・アンナ(ユナ) のストーリーを描く作品。
幼いアンナは母の死を目撃してからある修道院に送られた。アンナは修道院で10年を過ごした後、成人となってそこから脱出するために空身で飛び出した。キム・ジェハも誰かから逃げていた。地下鉄に向かって走っていたアンナはキム・ジェハとぶつかり、「痛い」と韓国語で言った。キム・ジェハは韓国人であるアンナに「大丈夫か」と聞いた。アンナはキム・ジェハも韓国人であることを知って「助けて」と哀願した。キム・ジェハはどうしてもアンナを捨てることができず、彼女を助けるために孤軍奮闘した。キム・ジェハは銃を持った警察を素手で圧倒する優れた武術の実力を持っていた。しかし、自身も逃亡者であるキム・ジェハがアンナを助けることは無理であった。結局キム・ジェハはアンナを助けず、アンナは彼を恨みの目で見つめた。

 

 

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「THE K2」満喫しました!
「ヒーラー」がディテールの積み重ねのドラマならば、「THE K2」は疾風のような勢いのドラマ。
細かいところはいろいろ突っ込みどころ満載だし、ロマンス色は薄いし、万人受けするかと聞かれるとはなはだ疑問ではありますが、私の心の奥底にある深い森に迷い込んで途方に暮れてしまった少女を救い出してくれる、そんなカタルシスがあるドラマ。
「ヒーラー」のように萌え萌えを期待されると肩すかしをくらいます。
しかし「ヒーラー」の萌えとは違う醍醐味が「THE K2」にはあると思います。

 

 

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私たちは皆、誰だって昔は純真な少女。
ところが年月を重ねていくうちにいつしか純真さは失われ、柔らかだった心は傷をつけられていつしか固くなり、そして猜疑に満ちたまなざしで世の中を見てしまう。
自分が何の力も持たないちっぽけな人間であることを否応なく認め、世の中にすり寄って生きていく。
そんな少女たちの成れの果て。
でも、そんな深い森の奥深く迷い込んでしまった私たちが、若く美しく疾風のような狼に森でであったら。
狼が私たちを森の外に導いて、掬いだしてくれるかもしれないと思ったら。
愛でもなく恋でもないのかもしれないけれども、また、再び少女のころのような夢を見ることができたのならば。
幸せなのかもしれない。
そういうカタルシスがあるドラマです。
チ・チャンウクが演じる疾風をぜひ感じてほしいドラマ。

 

分かち合うことができない人間は皆、滅んでいきました。
愛、大統領という地位、財閥のトップ、彼らは自分の求めるものがこの世にたったひとつしかないと思い込んで、死に物狂いの闘いを繰り広げる。
「THE K2」の闘いは、本当に血みどろ。
大統領選挙の争いは、マニフェストよりも肉弾戦でそんなのあり?とつっこみたくなるけれども、現在のかの国の騒乱をみているとありかもと思わせてしまう。
骨組みは本当に「ヒーラー」に似ていて、違うところは「ヒーラー」はまだ報道の力(言葉の力)を信じているドラマでしたが「THE K2」は報道さえも信じられない世界。
信じられるのはその手を血に染めることだけという、その流した血だけが信じられるという緩やかな絶望が占める世界。
誰かと関わるのは、愛か死しかないという世界観。
まさに暗い深い森の中のお話です。

 

韓国ドラマを見始めて数年がたつ私が、初めてヒロインについて語りたいと思ったドラマでもあります。
ヒロインにはいつもそんなに関心を持たなかった私がユジンに関しては、共鳴したなぁ。それだけ圧倒的なヒロインでした。
ドラマ終盤にかけては毎回ユジンの声ならぬ魂の叫びを聞いて切なくなっていましたもの。

 

 

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「そろそろソッカンのメモリーを私に預けたらどうです?」
「ああ・・・悪いが、これは渡せませんね。アンナを助けなければならないので」
「だったら大統領になるチャンスをあきらめるつもり?」
「それも仕方がない」
「すべてを失うのに?」
「関係ないな」
「あなたは本当に・・・娘のために大統領になるのを諦めると言うのですか?」
「私が大統領になりたいと思ったのは、君より強くなって君を踏み潰す為だ」
「あら、ずいぶん強気ね。もっと早く強気になってくださればよかったのに。そうしたらあなたを違う目で見れたのに」
「それでも何も変わらないだろう。私が君を憎んでいるということは」
「そうでしょうね。・・・だけど本当は私、オム・ヘリンを殺していないの。殺せと支持も出していないわ」
「私がメモリーを持っているから、しっぽを巻いて逃げるつもりか?」
「そんなわけないでしょう。ここであなたからメモリーを奪うのは、子供から飴を奪うことより簡単なのに」
「だったらどうして、今までオム・ヘリンを殺したふりをしていたんだ?」
「あなたが私のもとを去るのが怖かったからだと思ってらっしゃる?
いいえ・・・たぶん自分の選択が間違っていたと認めることが怖かったからでしょうね。亡くなった父に私の選択は正しかったと証明したくて。たとえその選択が間違っていたとしても、私は過ちを挽回できるんだと証明したくて」
「ひとり賢いふりをしていたのに・・・君は本当に愚かだ」
「・・・そうね、私は愚かだったんだわ。幸せを他人に証明する必要なんてないのに。そうしたらこんな生活をする必要もなかったのに。私も・・・あなたも。
でも、もう、ここまで来てしまったの。ごめんなさいね、あなたにまでこんな生き方をさせてしまって」
「ごめん?はははは・・・今、君はごめんと言ったのか?」

相変わらずユジン登場シーンは緊張に満ちていて見ごたえがある。
チャン・セジュンとチェ・ユジンの愛の成れの果ての残骸に涙する。
セジュンはかつては若く美しく才気ばしった狼だったのでしょう。
ユジンに愛をささやいて、深い森へと連れていくのです。ところが狼が愛した女はユジンだけではなく。
そのことが許せなかったユジンは、全てを捨ててセジュンについていった自分を正当化するために魔女になったのです。
魔女になったユジンはセジュンを恐怖と財力で支配する術しか持たず、セジュンのプライドをずたずたに引き裂いて。
セジュンは浮気を重ねることでユジンに復讐することしかできずに。
この夫婦はどこを間違えたのでしょうかね。
互いに愛したいと叫びながら、独り相撲をしているユジンとセジュンの愛のカタチに胸がきりきりとする。

 

 

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今生の別れだと思っていたキム・ジェハに再び会えたユジンの歓喜に胸が痛む。
ジェハのまなざしの真摯さにたまらなくなる。
分かち合いたくなかったユジンが実はジェハには見返りもなくすべてを与えていたのよね。
鏡も、自分の情愛も信頼もジェハには与えていて。
何よりもユジンはアンナにジェハを与えていたのですから。
冷静に考えれば優秀なジェハをアンナのボディーガードに命じるなんてありえないのですが、無意識にアンナを助けたいとユジンは思っていたのでしょうね。
愛は惜しみなく奪うユジンでしたが、でもその裏で愛は惜しみなく与うヒロインでもありました。

 

 

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竜頭蛇尾の蛇足エピローグ。しかも実はこのエピソードの撮影からドラマの撮影は始まったということで、このエピローグは明らかにキム・ジェハの顔つきが違うのは仕方がないことか。
16話かけてたくさんの悲哀、憤怒、情愛を駆け抜けてきたジェハの顔じゃないのよね。
ジェハが流したたくさんの涙、血が、このエピローグには込められていない。

 

 

終わってみると「THE K2」というタイトルは、それはそれは意味があったと思う。
「K2」と聞けば誰しも、カラコルム山脈最高峰を思い出す。世界一、難航不落の孤高の山脈を。あの名前さえなかった山を。
まさにキム・ジェハのコードネームにふさわしい。
この世界で誰よりも強く峻烈で、誰よりも孤高で、誰よりも優しかった男のコードネームに。
K2はその高さゆえに森さえ存在しない。ユジンを連れて行った深い森さえK2には存在しないのだから。
だからこそ、ジェハはユジンが囚われていることを見抜き、森を、クラウドナインを捨てることを勧めるのだから。

キム・ジェハという名前はユジンが与えた名前。だから「THE K2」はユジンが支配する物語だったのだ。
そして名前の呪縛から逃れたこれからは、ジェハは本当の名前を取り戻して新たな人生を歩みだすのだろう。
毀誉褒貶のドラマではあるけれども、その欠点さえ含めて私にとっては愛おしいドラマになった。

 

 

 

おかえりなさい、チ・チャンウク。

やっぱり、そうつぶやこう。
あなたの韓国ドラマへの帰還を待っていたのだから。ずっとね、ずっと。

 

 

 

★★★★★(非常に甘めの評価ですし、マニアック受けなドラマだと思います)

 

 

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コメント

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  • コメント (2)

    • ぱこ
    • 2016年 11月 23日

    全話視聴後の 感想をとても楽しみにしていました
    ヒーラーの時も もちろん 他のドラマでも深く考察していらっしゃるので感心します というか 深く考える事の出来るドラマに惹かれるのでしょうか?
    K2の作家さんの前作 ヨンパリも 観たので途中からドラマの緊迫感が 無くなるのではとソワソワしたのですが 途中からジェハとアンナ以外の 人物のシーンが増えて 特にユジンのシーンで引っ張っていたのでダレずに観れたのが 良かったと思います チャンウク氏は 演技で説得し切れなかったと悔やんでる所がある様ですが 私の感じでは充分に表情 特に目の力というか視線に感情が込められていて 説得力あったと思うんですけどね 来年早々に 字幕で放送されるので きっとツッコミ所は多いと思いますが(笑) また疾走感を感じられるのが楽しみです
    最後のエピソード 確かに全然表情が違いますね^^; 私の中では ラニヤといた頃の表情に戻ったのだと 解釈しました また 他のドラマでも共感出来る作品が沢山生まれるのが楽しみだなぁと思います

  1. ぱこさま、コメントありがとうございます♪

    >深く考える事の出来るドラマに惹かれるのでしょうか?
    過分にお褒め頂き、ありがたいです~
    しかし自分の妄想をドラマに押し付けているとも言えます(笑)

    >私の中では ラニヤといた頃の表情に戻ったのだと 解釈しました
    あ、なるほど!
    どうも私、ラーニャとアンナに対して厳しすぎると思います・・・(笑)

    年明けCS放送開始ですよね!私も字幕できちんと見直そうと思います。

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