今にも泣きだしそうな空見上げて・・・また?!オ・ヘヨン 8話まで

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韓国ドラマ「また?!オ・ヘヨン」8話まで視聴。

【あらすじ】
外食事業本部商品企画チームで代理として働くオ・ヘヨン(ソ・ヒョンジン)は、婚約者と結婚前日に破談になる。
学生時代、自分と同じ名前で優秀な“美人の”オ・ヘヨンのせいで、自分は“普通の”オ・ヘヨンと称され、透明人間のような時期を過ごしたトラウマがある。あれから数年、やっとそのトラウマを克服したと思ったのに、何故かアンラッキーな出来事ばかりが起こる…。
韓国屈指の映画音響監督のパク・ドギョン(エリック)は、仕事も出来る上に外見も完璧。過去に結婚を約束した仲だった“美人の”オ・ヘヨン(チョン・へビン)が、結婚式当日に何も言わず消えた出来事のせいで、心に深い傷を負った。そんなある時、昔の彼女と名前だけが同じ女、“オ・ヘヨン”の未来が見え始める…。


 

“Pity’s akin to love”を「可哀想だた惚れたってことよ」と訳したのは漱石。
まさに「また?!オ・ヘヨン」は、同じ痛みを持つ二人が出会い、その痛みゆえに惹かれあい、癒し合っていく物語。
愛を失うという痛み。
それはある日突然自分の世界が崩れることで。
引き裂かれるようなその痛みは、いつまでもじくじくと自分の心の中で膿んでいく。
痛みにただ、ただ耐えるしかないオ・ヘヨンとドギュンは、相手の姿に自分の痛みを映し出す。
そしてたまらなく互いが可哀想で、可哀想で、だから愛おしくなる。

 

 

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オ・ヘヨン演じるソ・ヒョンジンは「帝王の娘スベクヒャン」の時から大好きな女優さんです。
今作でも愛を失った女の狂乱を渾身の力で演じる。ヘヨンを見ていると、愛を失ったかつての自分と重なってくる。
幼稚で、見栄をはり、愚かしくって、はしゃいでみせたり、突然落ち込ん見たり、その空元気のさまは見ているだけで心がぎゅっとなるくらい恥ずかしい。
だってこれはかつての自分だから。
恥ずかしくって、恥ずかしくって、痛々しい。
痛すぎて、愛を突然失ったヘヨンの混乱を見ていると涙が出てくる。
美人のヘヨンに対して、自分を認めてくれない世間に対して、ものすごく強いコンプレックスを抱き、自分を愛してくれない世界は滅びてしまえばいいとつぶやいてしまう。
それでいてこの世界でささやかな喜びをみつけては、そっと小さな幸せを噛みしめる。
ものすごく等身大なヒロイン。

 

 

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予知能力でヘヨンの未来を垣間見ることになったドギョンもまた、愛を失った痛みに耐えている男。
ゆっくりとひとつ、そしてひとつとかろうじて息をしていくことでなんとか生きている男。
笑いを忘れてしまった男。誰かに語りかけることを忘れてしまった男。
贖罪の意味でヘヨンを見守るうちに、彼女の痛みに自分の姿を重ね見て、ヘヨンを悲しみから救いたいと願い始める。
ヘヨンを可哀想だと思うのは、それはもう愛でしょう。

 

 

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「また?!オ・ヘヨン」が面白いのは、引き算の魅力です。つまり言葉の力に頼らないストーリー構成。言葉の力を信じていない。
ドギョンは音響監督ですが、この世界に満ちている音を意味付けていく仕事なのです。
だから隣人のヘヨンが出す音で彼女の気持ちを察していく。ヘヨンの空元気も、不安も、寂しさもすべて音から理解し、彼女を助けてあげたいと願っていく。
あるいはドギュンの姉は泥酔するとフランス語をつぶやいているのですが、それはこの宇宙で彼女を理解してくれる人だけがわかる言葉なのです。
世界でたった一人の運命の相手を探している、寂しい人たちの物語。
そんなことを考えながらそっと涙をぬぐう8話まで。

 

 

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誰かに寄り添ってあげたいと願う主人公たちとは真逆で、彼らを結婚式当日に振ったふたりは、実は自分のことだけが大切な人たち。
美人のオ・ヘヨンの理由はもっともらしく劇中で語られますが、結局は彼女は自分のプライドを選んだということ。
「同情は愛ではない」と嘯く美人のオ・ヘヨンですが、”Pity’s akin to love”なのです。それだって愛のカタチなのに。
その愛を自分から捨て去っている。ハン・テジンも美人のオ・ヘヨンと同じ穴の貉。
真実をありのままに相手に伝えればよかったのに、相手を傷つけても自分のプライドを守った人たち。

 

 

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ヘヨンとドギョンの互いを可哀想だと思う気持ち、笑ってほしいという気持ちが徐々に近づいていく、そんな物語の展開が美しい。
言葉の力を信じない、言葉では語らせない物語と上で述べましたが、ノンバーバルコミュニケーションのドラマでもあります。
登場人物たちの手がたびたびクローズアップされる。
言葉では語らない彼ら、ポーカーフェイスの彼らの、本当の感情が、ダイレクトな感情が手で表現されているのも、面白い。
ヘヨンとドギョンは二人の距離を縮めて、手をつなぐことができるのか。
自分の中にある痛みを乗り越えて、誰かを信じる、誰かとともに歩む未来を信じることができるのか。
このふたりの距離感がだんだん縮まっていくさまをゆっくりと描いてみせるこのドラマは美しい。

 

 

■密かな萌え萌え■

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「恋愛じゃなくて結婚」からコン・ギテが登場!!!
いや~ん、懐かしすぎる。監督が「恋愛じゃなくて結婚」と同じなので友情出演なのね(笑)
ちょっとゲスい男の役だけれども、元気そうなコン・ギテに出会えて、サイコーに幸せです。

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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