応答せよ1988

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応答せよ1988 Reply 1988 全20話 (2015-2016年 韓国tvN)

■演出:シン・ウォンホ
■脚本:イ・ウジョン
■キャスト:
ヘリ(ソン・ドクソン)・・・主人公。ドンイル夫婦の次女。1971年生まれ。双門女子高校に在学中。
パク・ボゴム(チェ・テク)・・・1971年生まれ。あだ名は「ヒドン」。「天才」と呼ばれる囲碁棋士。
コ・ギョンピョ(キム・ソヌ)・・・1971年生まれ。双門高校の生徒会長。
リュ・ジュニョル(キム・ジョンファン)・・・1971年生まれ。サッカーが好き。
リュ・ヘヨン(ソン・ボラ)・・・1968年生まれ。ドンイルとイルファの長女で、ドクソンとノウル姉。
イ・ドンフィ(リュ・ドンニョン)・・・1971年生まれ。勉強より遊ぶのが好きで、ダンスがうまい。
ソン・ドンイル(ソン・ドンイル)
イ・イルファ(イ・イルファ)
キム・ソンギュン(キム・ソンギュン)
ラ・ミラン(ラ・ミラン) ほか

【あらすじ】
時は1988年。韓国で初めてオリンピックが開催されるこの年は、国中がお祭り気分で活気に溢れていた。学校の成績は999番、勉強よりもオシャレに興味津々の高校2年生ドクソン(ヘリ(Girl’s Day))は、両親と姉、弟の5人家族。鬼のような姉、ボラ(リュ・ヘヨン)とはささいなことですぐに取っ組み合いになるものの、勝つのは決まってボラだった。近所に住む幼なじみ、サッカー好きのジョンファン(リュ・ジュニョル)、優等生のソヌ(コ・ギョンピョ)、お調子者のドンリョン(イ・ドンフィ)、そして天才囲碁棋士のテク(パク・ボゴム)とは兄弟のように育ち、母親たちの日課である「お裾分け」のせいで彼らの家の食卓に上るメニューは毎日同じになってしまう日々を過ごしていたが…。


 

なんて私たちは遠くに来てしまったのだろうか、あの頃から。
どれだけのものを私たちは手にして、そして失っていくのだろうか。
自分の人生を振り返り、はるか遠くであの頃の自分が笑って手をふっているのが小さく微かに見えるような気がした。
どれだけお金を積んでもあの失ってしまった時代には戻ることができない。
そのことを、「応答せよ」シリーズは毎回、思い出させてくれる。
ノスタルジックで、美しく甘美な思い出が、時に凶器のような切なさに姿を変える瞬間がこのドラマにはあると思う。
その切なさという凶器が私たちの胸を優しく貫くのだから、このドラマ侮れない。
「応答せよ1988」の5人の姿の後ろ姿を見ていると、ずいぶん前に視聴完了しているにも関わらず、今でも胸が苦しくなる。
今でも、涙が出そうになる。
生きていくということは何かを失い続けるということを、ユーモアとペーソスを持って私に教えてくれるドラマ。

 

 

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あの路地に今は誰がいるのだろうか?
あの路地にどれだけたくさんのことを置いてきてしまったのだろうか。
忘れてきてしまったのだろうか。

ものすごいセンチメンタルに「応答せよ1988」を視聴した私。
初めはドクソンの青春を自分の青春に重ねドラマを満喫していたのですが、次第にソン・ドンイル世代にシンパシーを感じるようになったのはこの春、子どもが上京したことも関係あるのかもしれない。
ソン・ドンイルが劇中、「青春(チョンチュン)の歌詞が身にしみる」みたいなセリフを言っていましたが、本当にそうだわ。
身にしみて、身にしみて。
初恋の甘美さを味わいながら、一方で子どもを手放していく親の切なさも味わう。
センチメンタルの二乗状態で、きりきり舞い。
このドラマ、「応答せよ」シリーズの中で作品の出来はどの位置を占めるのでしょうか。
主人公たちの恋愛模様よりも、親子の関係にやや比重が大きいような気がするので、単純に恋愛ドラマだけを求めていると肩透かしかもしれない。
冗長なドラマなのかもしれない。
20代の方が「1988」の、主題を、語りたかったことをどれだけ理解できるのだろうか。
「1988」は若い世代よりも、実は私たちの世代に向けたドラマなのかもしれないなぁとぼんやりと思う。
誰もが心の奥に大切にしまっている、あの頃の路地の物語なのだから。

 

 

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「応答せよ1988」の恋愛の行方について語るのは、野暮というものでしょう。
結局恋愛というものは、あの瞬間、あの場所にいたから導き出される偶然のような必然なのかもしれないね。
テクの切実さとジョンファンの切実さのどちらがドクソンの心に響くのか。
誰に愛されるかではなく誰を愛するかというテーマの中で、愛されることばかり求めていたドクソンが愛することを知っていく成長を見せてくれたよね。
ドクソンがどの時点で彼女自身の恋心に気づいたのか。
ヘリがインタビューで答えています。

「最近上手くいくことがない」とつぶやきながら読書室の階段を上るシーンがありました。そこで、ドクソンがどうしてこんなことを言うのか気になりました。

この瞬間にヘリがドクソンの恋心について気づいたらしいので、それまでの演技から答えを導き出すのは難解ですけれどもね(笑)
以下ヘリのインタビュー記事。ネタバレになっておりますので、ご注意。

 

 

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意地っ張りの誰にも見せないはにかんだ笑顔も心に響きました。

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どこか家庭の幸せを諦めているような、囲碁を通しての世界とのコミュニケーションは、彼自身の心をも切り裂くようで、ますます闇に墜ちていくようで、そんな痛々しい少年の存在にも心を痛めたし。
ドラマを熱く語るくせに観終わったらその熱をすぐ忘れ去る私にしては珍しく、いつまでも彼らが私の心の裡に潜んでいます。
その不器用さ、その真摯さ、そのまっすぐさ、その若さゆえのほろ苦さをいつまでも忘れることができない。

 

 

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彼らにもう二度と逢えないと思うと、切なくて苦しくなる。
そんなドラマになりました、私にとって「1988」は。
このドラマの中にかつての私がいるかもしれない。
不器用で、真摯で、どんくさいけれどもまっすぐで、傷ついてばかりいたあの頃の柔らかな心の私が。
自分の青春をも追体験できる、そんなドラマでした。
OSTも秀逸。いまだにOSTを聞いては咽び泣いています。息もできないくらいに。

 

キム・ソンギュンの「アイゴ~、ソン社長」から始まるギャクのフレーズ今でも体に染みついているし、何より女豹サマ(笑)ラ・ミラン最高です!
チェ・ムソン(テク父ね)の武骨なやさしさ、ジョンファン兄キム・ジョンボンのことを想うと、心が暖かくなる。癒される。
日本放映ではおそらく曲の何曲かは差し替えられるし、カットされるシーンがあるかも。
しかも1話100分近くあるから、変なところで細切れになりレンタルDVDではやたら巻数が増え、全30話なんて訳分からないバージョンで紹介されるのかもしれない。
毎話のエピソードは三題噺のようにテーマが3つぐらいあり綺麗に伏線が拾われ、それはそれは美しい構成なんですよ。
ぜひオリジナルバージョン放映を熱望します。

 

 

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あの時代に今は誰がいるのだろうか?
あの時代にどれだけたくさんのことを置いてきてしまったのだろうか。
忘れてきてしまったのだろうか。

 

あの扉を開けたら、今でも彼らが待っているような、そんな気がしてならない。

 

OMG★★★★★

 


感想+考察

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 4 )

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  1. はる

    yucaさん、こんにちは

    応答せよシリーズ
    その度々、ワクワクドキドキの
    乙女のような気持ちで視聴してました。
    この1988は、中年層(苦笑)の世代が
    自身の過去への戻れない悲しさ
    懐かしさ、幼少期から今。
    家族と同化させて、4組の家族と
    私の家族5組で、見ていたように思います

    視聴して、すぐ別のドラマに
    行く私もなかなか手放せなかった
    そして、今も心から離れない

    テクの内に秘めた熱さ
    一歩後ろから静かに皆んなを見ている
    佇まい
    このキャラクターは
    ずっと忘れないと思います
    このタイミングで
    前人未到な記録を打ち出した
    井山裕太さん
    この人の佇まいも、ずっと好きでした

    応答せよ、シグナルと考察しながら
    心鷲掴みされるドラマを見て
    今は、見てるだけで癒される(それのみ)
    イサンウのお願いママを
    楽しく見てます。
    毎回、想像つく演技のドラマですが
    一息ついてます

  2. yuca

    はるさん、コメントありがとうございます♪

    本当にはるさんには感謝の気持ちでいっぱい。こんなに素敵なドラマを教えてくださって。

    >私の家族5組で、見ていたように思います
    そうなのよ!
    1988年ってちょうどリアルに主人公たちと同性代。
    でも映しだされる韓国の風景は、もう少し前の日本ですよね。バナナが貴重だったり。
    だから自分の青春時代と、親から聞いたノスタルジックな話(バナナを食べるのが楽しかったとか、ご近所さんとの夕飯のやり取りとか)、初恋のほろ苦さ、いろいろなものがミックスされてなおさら心に響くのだと思います。

    >テクの内に秘めた熱さ
    親子間の愛情がテーマのひとつだったので、どうしてもテクのエピソードの比重が軽いような気がして・・・
    そこだけがちょっと残念。
    もっともっと彼を見ていたかった。
    19話のホテルにてのドクソンとのやり取り、「薬を飲むとまた・・・」のくだりでは心臓が爆発しそうでしたよ。

    >応答せよ、シグナルと考察しながら
    「シグナル」評判いいですよね!私も視聴チャレンジしますね。

    >そして、今も心から離れない
    私も同じ状態でした。2か月も!(爆)
    3月4月のブログ更新停滞は、「1988」の視聴後の放心状態のせいもあるかもしれません。
    いずれにしろ「1988」のような良質なドラマを見てしまうと、しばらく腑抜け状態になりますよね。

    >この人の佇まいも、ずっと好きでした
    世界を見るまなざしが、俯瞰しているまなざしが、好きだなぁ。

  3. rei

    yucaさん、お元気でいらっしゃいますか?
    台風の影響はなかったですか?また、きてますねぇーー
    北海道も珍しく、大雨、洪水の被害が甚大ですが、、。

    yucaさんの書かれた、1988のレビュー、今日はまた読みながら泣いてしまいました。
    本当に、もう一度ドラマを、もっと深く噛み締められます。
    実は、シグナル視聴後どんなドラマを見ても、心動かされることなく、
    しかも、ずっと放置していた1988は、一話の騒がしさにウンザリ、、、。
    そこで止まっていたのですが、yucaさんのレビューをちょっとだけ覗き見して、
    しかも、omg☆☆☆☆☆を信じて見始たら、とんでもないことに(笑)。

    もう、本当にこんなすごいの作っちゃうんだ、韓国。
    なんで、こう次々名作が生まれるの!?!?もう、脱帽です。
    思い出しては、可笑しくて、思い出し笑いしてみたり、
    急に切なくて、思い出し泣きしてみたり。
    素敵なレビュー、本当にありがとうございました!!!!

  4. yuca

    reiさま

    ごぶさたしすぎております。

    そうそう「1988」
    今年視聴した韓国ドラマではダントツです。
    1話はちょっとtoo much noisyですが、あれよあれよと引き込まれる。

    いいドラマですよね。

    こちらこそコメントありがとうございます!