綈袍恋恋・・・琅琊榜30話まで

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中国ドラマ「琅琊榜」30話まで視聴。

 

 

しびれっぱなしの展開。寧国侯府の一夜が過ぎ、新たな赤焔事案の真相が浮かび上がってきた。
謝玉の影に隠れていた悪役、夏江が舞台に躍り出る。
しかし、いずれにしろ梅長蘇が言及するように全ての根源は梁帝でしょうね。
誰も信じることができない、自分の子どもたちでさえも信じられない、猜疑心に満ちた男。全てを持っているのに、愛するという能力、信じると言う力を持たない、愚かな皇帝。
周りにいる人間が全て何かを自分から奪っていく存在にしか見えないのでしょうね。
それが国を腐敗させていくとも気づかずに、優秀な皇子、忠臣たちを排除していく。
信じる力を持たない皇帝を持つ国は不幸。

 

物語は折り返し地点。ここから怒涛の「転」への展開か。

 

 

 

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謝玉と梅長蘇のダイアローグは圧巻。心理的な駆け引きに息をのむ。

 

 

 

 

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真実が靖王と夏冬の心に、降り注ぎ打ちのめされるふたり。
ラスボスは夏冬の上司なのか。

 

 

 

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「小殊に会いたい」と言って咽び泣く靖王に私の心はロックオン。
「琅琊榜」におけるヒロインに決定!

なんていうかね、可憐過ぎるのです、靖王。
まっすぐで、不器用で、頑固で、融通がきかずに、心のどこかが失ってしまった兄、親友への想いでぽっかりと穴があいている男。
この物語の世界観は情義と名利で成り立っていますが、靖王は情義の代表でしょうね。
いきなり現れた梅長蘇という才子に勝手に見込まれて(笑)、追いかけまわされて(爆)、気がつけば自分の心の穴を埋める方法を梅長蘇が示している。
皇帝になれと。
亡き兄、亡き親友の名誉を回復しろと。
そして民を想い、国を立て直せと。
うさんくさい才子だと梅長蘇のことを想いながら、気がつけば勝手に作られた(爆)秘密通路を通って梅長蘇に逢いに行かずにはいられない。
なぜかしら梅長蘇の行動から目が離せなくなる。
なぜなら彼からは亡き兄祁王に関係している気配が、何よりも亡き親友林殊の面影を感じるから。
自分が失ってしまったものを梅長蘇が持っている気がするから。
だから、あんなにも警戒していたはずの梅長蘇から目が離せなくなる。
徐々に変化していく靖王の心境の変化が、割と武骨でぶっきらぼうに見える靖王のちょっとした表情の変化にたまらなく私は身もだえるわけです。

 

 

 

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梅長蘇が自分を親友小殊と同じように「水牛」と呼んでいたことを知り、驚きの中に微かな喜びの表情を浮かべる靖王。
靖王はきっと自分でも梅長蘇に何を求めているのか、皇帝になるためだけの戦略を求めているだけではなく、共に闘う同志としての心のよりどころを求めていることに、まだ気づいていない。
小殊の面影を見出し、小殊の気配を感じ、かつての自分の青春時代を思い出させる梅長蘇という存在に激しく心がかき乱される靖王。梅長蘇が上手く靖王の追求をかわすたびに、靖王にかすかに失望が漂う。
そんな自分が何を梅長蘇に何を求めているのかわからないけれども、例えようもないくらい彼に引きつけられていく靖王のたたずまいは、まさにヒロイン(爆)なのですよ、私にとって。

 

 

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思いっきりブロマンス(男性同士の親密でプラトニックな関係)なドラマです。いやあ、私が腐っているのか?(爆)
水面下ではものすご~いかすかなやり取りを、蘇先生は小殊に関係があるのですか、否かみたいなことをふたりがやり取りしている反面、でも表舞台では男としての生き方を互いに説いているのです。
国のために身を捧げるといういうのはどういうことか、どういう覚悟があるのかと。
生きていくということはどういうことなのかと。
己の命をかけて成し遂げたいものは何なのかということを、びしびしと私たちにも問いかけてくる。

 

 

「BANANA FISH」という名作少女マンガがあるのですが、その中で主人公のひとり英二がアッシ・リンクスに銃を貸してくれというシーンがあったのをふと思い出した。

 

「銃をひとつ貸して。自分の身は自分で守るよ。君の足手まといにはなりたくない」
「その必要はない。人殺しはオレひとりでたくさんだ。お前はオレが守る。オレのそばから離れるな」

 

まるで愛の告白。
この「BANANA FISH」と同じ匂いを「琅琊榜」に感じます。
権謀渦巻く宮廷で、梅長蘇は汚い陰謀劇は、手を汚すことは自分が全部引き受ける、靖王にはやらせないと断言します。
(こんなニュアンスのセリフだったと思います。メモを取っていなかったのでうろ覚えですが)
それは靖王がその性格から陰謀を繰り広げることなどできないという意味と同時に、梅長蘇が靖王に汚いことをやらせたくないという気持ちもあるのではないでしょうか。
靖王が他の人間を殺したり、貶めたり、騙したりすることによって、靖王のその魂の輝きが荒廃してしまう、そのことから彼を守ろうとしているのです。
靖王がそんな梅長蘇の気持ちに気づかずに、ただまっすぐと誰かを傷つけて策を練る彼を弾劾する時に梅長蘇はいつもどこか痛みに耐えているような、傷ついてしまうような面持ちになり。
また物狂おしく私の胸はかき乱される。

 

 

 

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そんな何とも言い表しがたい微妙の梅長蘇と靖王の間に、蒙大統領が加わるとなんともコミカルな風合いに。
ああ、蒙大統領も猛者のくせして可憐なの(爆) 彼も私の中ではヒロイン枠(笑)
確か武人番付で1位のくせして、そんなに可憐でどうするの?
「琅琊榜」は真っ向勝負のガチな骨太ドラマなのに、ふっと息を抜くシーンがあって、そういう緩急の付け方も絶品。
日本の少女小説、少女マンガでは古くからトリオもの(「クララ白書」とか「笑う大天使」とかカテゴリーに入るのか)があるのですが、そういうトリオもののコミカルな風合いがあるのよね。
もちろん、主役の梅長蘇は病弱な姫ですものね、ヒロイン枠です。

 

 

 

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私のお気に入りは飛流。だいたいセリフが「フンッ!」しかない(爆)
彼が長いセリフをしゃべると驚きます。
アスペルガー症候群ではないかと思われます。
彼の才能は武勇に特化されているのよね。少年なのに、登場人物の中で最強かもしれない。
燕に育てられたのではないかと思うくらい、自由自在に空を飛びまわり、おそらく梅長蘇にインプリンティングされているの。
彼の登場シーンも、癒されるシーンのひとつ。

 

 

綈袍恋恋(ていほれんれん)
《「史記」范睢(はんしょ)伝の、魏の須賈(しゅか)が范睢を哀れんで厚絹の綿入れを与えたという故事から》友情のあついこと、また友情の変わらないことのたとえ。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. 守百香廃人

    yucaさん お久しぶりです。
    琅琊榜見てくださってるんですね。スベクヒャン以来熱中している史劇です。特別編成でこの1週間はお休みで淋しい限り。
    セリフ,展開,キャスティングどれをとってもvery good!! 適度な緊張感のある画面で飽きさせることも疲れさせることもなくいい感じで流れながらも謝玉の悪事を暴き追い詰める回の緊張感はいいんです。ヒール役ですけど私も謝玉は好きですね。たぶん魅力的に演じられているからかもしれません。
    どの登場人物も魅力的 靖王役の王凱も新たなる発見 お声もご本人が演じているとのこと
    胡歌 一見すると風中奇縁のときと似た感じに見えなくもないけど 今回はとっても惹かれます。梅長蘇の仮面をつけていてもその下から向けられる郡主や靖王への眼差しは林殊 その切ない感じがあまりにもはまっていて また彼自身の事故からの復活と重なって彼以外には考えられないと思っています。
    琅琊榜 男の物語ですよね。権謀術数といっても後味が悪くなのがいいです。
    女性陣は抑制が効いて「諍い女」のときのようなおどろおどろしたものがなくて 特に郡主と静妃がお気に入り。来週からは怒涛の展開のようです。
    この作品の英語タイトル Nirvana in fireですが54話終わったときに腑に落ちるのだろうか?と 今はなぜと思ってます。

  2. yuca

    守百香廃人さま、コメントありがとうございます♪

    ごぶさたしております!そしてまたドラマ視聴をご一緒できるなんて、嬉しすぎます。
    本当にGWの一週間は軽いロスになっておりました。
    ロスすぎて誉王のことをつらつらと考えた1週間でした(爆)

    >胡歌 一見すると風中奇縁のときと似た感じに見えなくもないけど
    そうそう、あの役をさらにバージョンアップした感じ。
    愛のために殉じる九爺もいいけれども、やっぱり国を語る蘇先生のまなざしは美しい。触れば切れてしまいそうな、そんな鋭さと甘さがにじみ出る演技。

    >靖王役の王凱も新たなる発見
    まさに。彼の声を聞くだけで心が震えます。寡黙な彼は眼差しで心情を語っていますよね。

    神劇だとは聞いていましたが、まさに神劇です。

    >来週からは怒涛の展開のようです。
    だよね。嵐の前の静けさを感じております。

    英語のタイトルは私も不思議(爆)
    何はともあれ、日本語のタイトルが摩訶不思議なものにならずに済んでほっとしています。
    これからも視聴をご一緒させてくださいね!