負けたらあかん。他人にやない、自分にだす・・・あさが来た90話まで

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「あさが来た」90話まで視聴。

 

 

ペンギンは、鳥やけども、空は飛べない。しかし、大きな海を、素早く泳ぐことができる。そやけど、海の中は、危険がいっぱいや。どんな敵や、困難が待ち受けてるかも分からへん。そんな時に、海に、群れの中から一番先に飛び込む、勇気あるペンギンのことを『ファースト・ペンギン』というんです。

 

 

五代さんの部屋に飾られているファースト・ペンギンの絵は、彼があさを想いながら描いたのだろうか。
そう思うと泣けて、泣けて仕方がない。
「手に負えそうにないものほどつい追い求めとうなる。それが男というもの」と五代さん。
彼にとって大阪を発展させる事業欲=あさへの想いの発露。
難儀なほうへ、難儀なほうへと進んでいく五代さんを見ていると、なんだか泣けてくる。
彼の恋も難儀なほうへ、難儀なほうへと進んでいくから。ずっと片思いなんてね。
五代さんが一番欲しいものはきっと手に入らないから。

 

 

いずれにしろ「あさが来た」では五代さんのプライベートは全くと言っていいほど描写されずに、だからこそ却って彼の果てしない孤独が浮き彫りになる。
常にワーカーホリックの五代さん。
親友の大久保利通亡きあとは彼のそばには秘書の三坂しかいない。
男としての安寧を捨て去り、まだ見ぬ新しい事業を追い求めて前へ前へとしか進まない彼の安らぎの場は、ファースト・ペンギンの絵の前にしかないのか。

 

 

 

 

85-2
あるいは「ともちゃん」「しんちゃん」という同じ女を愛した同床異夢の男との酒の席だけは、本音が言えるのか。
せっかく互いを認め合っている男たちの新たな友情が築かれようとしているのに。

 

 

 

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しかしそうは言っても、相変わらず肝心かなめの本音だけは英語でしか言わない五代さん。
それは誰かに自分を理解してもらうことを諦めているからなのか、理解されなくてもいいと思っているのだろう。

 

 

時に難儀な道を歩くのをやめ、道端に膝を屈したくなる時もあるだろうに。
別の道を行きたくなるときもあるだろうに。
共に道を歩んでいく伴侶が欲しいときもあるだろうに。
しかしそれを自分に許そうとしない。自分に負けようとしない。
どんなにつらく、苦しくとも、一歩一歩前へ前へと、あえぎながら進んでいくのが己の誠実だと信じているから。
それが彼の生きている意味だから。
いつもぎりぎりのところに自分を置いて、右か左しかない道を自分の本能で決断しながら生きていく。
自分だけの世界の極限を追い求め、静かな孤独の中で生きていく男。
どれだけ孤独だろうとも、前に進むしかない五代さんの水際立ったダンディズムは、その孤高ゆえに果てしなく切なく私の心に響く。

 

 

馬鹿だなぁ、五代さんは。

 

 

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物事の本質を見抜く力を持つのは新次郎も同じで。
「あさが来た」を視聴するたびに、あまりにも新次郎の懐の深さ、温かさに、優しさにまたなんだか泣けてきたりする。
彼もまた自分の幸せのためには、世間で言われるところの男としての野望、野心を捨てた男。
自分がどれだけちっぽけな人間かを知り、そしてその上であさを大きく包み込む。
あさって愛されているよね。
ふたりの男の愛の大きさになんだか毎回泣けてくるのはどうしてだろうか。
その愛のカタチはあまりにも居心地がよくて、優しくて、美しくて、だからこそこのほのかな三角関係が崩れることを、私は心のどこかで恐れているからなのかもしれない。
明治の時代に自分の生き方を、例え後悔の涙を流すとしても信じ、まなざしをまっすぐに前へ向けて進んでいこうとする女。
その女の価値を知り、彼女が走りだせるようにいつも支え、守る男。
その女と決して交わることはできない未来を指し示し、共に奔っていきたいと願う男。
まるで「あ・うん」のような関係。違うのはあさがものすごく鈍感ということだけれどもね。
女性の社会進出の物語というよりは、男のダンディズムを見せてくれるドラマです。

 

 

 

90
幸せなんて相対的なものだから、哀しみや苦しみもその瞬間にははらんでいるのです。
90話の終わりが幸せな家族の姿だからこそ、今後襲ってくる哀しみを想像し私は打ちのめされそうになる。
あさはドラマが始まって以来、大きな哀しみや絶望に出会ったことがあるのかと、ふと思います。
はからずしも雁助が「運の強いお人」とあさを表現していたけれども、「あさが来た」が始まって以来ずっとあさは強運。
朝ドラは女性の一代記だけれども、いいことばかりではなく、打ちのめされたり、立ち直れないと思ってみたり。
はつやふゆはそれを体験し、自分の生き方を変えていったよね。
アイデンティティー・クライシスがあさを襲うのはこれからなのか。
物語はここから山場に入っていくのかもしれない。

 

 

だからかなぁ、なんてことのない家族の風景なのに、胸が締め付けられるような気がする。
このシーンは美しいと感じるからこそ、凶器のような切なさに私の中で変わっていく。喪失感を感じてしまうから。
喪失感を強く感じるのは、今日が1月17日だからかもしれない。

 

 

 

85-3
ところで新聞の五代さんの似顔絵。
なんかずるそうな顔になっている~! 本物の五代さんはもう少しアンニュイなのに。
事業欲があり、みなぎるエネルギーを内に秘める五代さんですが、どこかアンニュイなんだよね。
その陰影が彼の魅力のひとつと思うのですが。
まあこの官民癒着という話は、よくあるのですけれどもね。
ところで美和さんだけが誰も知らなかった五代さんの行方を知っているのは、どうしてなのでしょうね~
五代さんが美和さんにあさが心配していたらと伝えてくれと打ち明けたのか、それとも・・・

 

 

 

Hedgehog’s Dilemma・・・チーズ・イン・ザ・トラップ1・2話

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コメント

    • 惚れなおす・FANです。
    • 2016年 1月 18日

    なんて、素敵な感受性の持ち主なんでしょう、ユカさんは。
    @今日が1月17日だからかもしれない。
    ・・・・そうなんですよね、この配慮が、ニクイけれども、さすが、公共放送。
    そして、それを感じ取られたユカさんに、今更ながら、惚れなおします。(FANさん、それはスルーするわ) え?聞こえませんでした。

    家族で記念撮影なんて、今なら、気恥ずかしく感じるほどの、当たり前の幸せ。
    それを噛みしめさせる、憎い演出ですよね。

    それにしても、千代ちゃん2代目の子役ちゃん、可愛かったなぁ。(素人っぽさが堪らない)
    来週からは、上手なアサ子役ちゃんが復活するようですが。この子役さんとの記念撮影にも見えて微笑ましかったです。

    ところで、去年ユカさんに教えて頂いた、大友さん音楽の、LIVE!LOVE!SING!という、ドラマですが、いつの間にか、映画になっていたそうです。こんな感じです↓
    http://livelovesing-movie.com/

    重たいテーマですが、素敵なドラマでしたよ。

    • ぴょんこ
    • 2016年 1月 18日

    とうとう五代さんにフラグが立ち
    カウントダウンに入ってしまいましたね・・くすん。
    あさと仕事以外の話がしたかった五代さんに
    次の機会があるといいな・・まぢで。

    大事な事を五代さんが英語で呟くのが切なくて。
    言えない本音、伝えたい想いを・・
    それでも発したい五代さんが、英語ならばと口にする。
    彼の想いはもう飽和状態なのね、と思ってしまう。

    鈍感なあさ・・
    あさは商売の事に関してはハナがきくけど
    「男心」に関しては鈍感・・すぎる。
    フツーなら五代さんの「恋心」に気づきますよね。
    でもだからこそ、このほのかな三角関係が保っていられたのでしょう。
    泣きながら抱き締められた気まずさも
    「友」という言葉で見事に軌道修正してしまうあさ。
    五代さんも驚くほどに、無意識に最適の距離に納めてしまう。
    そう、あさはホントに天然なのです。
    あのシチュエーションでフツー「しこ」は踏まない。笑
    あさにとって五代さんは「師」であり
    あの時から「同志」でもあるのでしょうね。
    だからこそ「負けたらあかん」と諌める事もできた。
    この時代の「女子力」を持ち合わせていない
    あさの希有な「価値」に魅かれた男二人・・
    実はマニアック?

    yucaさんのおっしゃるように
    ヒロインよりも男二人のダンディズムに
    すっかり心を掴まれています。

    五代さん・・逝かないで。

  1. FANさん、コメントありがとうございます♪

    >FANさん、それはスルーするわ
    ゴシックで引用しておきます(笑)

    今週はブルーな幕開けですよね。
    世間で起こっている色々な事柄が、私の心に響いてきて。
    出逢いがあるから別れがあり、私たちは別れるために生きているのかなとか。
    別れたくないから必死であがくけれども、でも、やっぱりいつかは別れはくるのです。
    なんともメランコリックになっています。

    五代さんも今週が最終週。しっかり見届けます。
    「ダメな私に」の方に注力するから「あさが来た」に出演できないなんて思いたくない・・・(苦笑)

    >LIVE!LOVE!SING!という、ドラマですが
    いいドラマでしたが、やっぱり「その街のこども」の方が心に深く響く。
    渡辺あやさんだものね。

    17日の夜はそっと「その街のこども」を見ていました。

  2. ぴょんこさん、コメントありがとうございます♪

    フラグ立ちまくりですよね~ つらい。
    しかも砂時計で、五代さんの残された時間を表しているなんて・・・

    >次の機会があるといいな・・まぢで。
    約束はかなえられないものなのです。
    決して叶えられない約束を交わす五代さんのことを想うと、切ない。
    どちらかと言うと新次郎派だったのですが、五代さんのことを想うと苦しくなるのよね。

    >あのシチュエーションでフツー「しこ」は踏まない。笑
    うっちゃりでかわしていましたよね。
    あさはもしかすると、無意識のうちに恋愛をスルーしようとしているのかもね。
    恋愛感情を追求していくと、お商売には専念できないから。
    そんなあさを好きな男子たちは、あの時代かなりマニアックな部類でしょう(笑)

    なんたってペンギンやラクダを見てみたいと思う男たちなのですから。

    >五代さん・・逝かないで。
    新しいドラマに出演しなくてもいいから、「あさが来た」にいてほしいなぁ。
    三角関係のバランスが崩れた時に、どうなるのかしら?
    あさや新次郎は・・・

    • 明朝体の・FANです。
    • 2016年 1月 19日

    ・・何ですって?こらこら、コラ。
    @今週が最終週・・・注力するから・・・出演できないなんて思いたくない・・・(苦笑)

    そんな・・・。メランコリックに持って行く朝ドラ商法を、見事にキャッチされる、ユカさんなのに。

    世間が目をそらしている事実を掘り起こしたら、アカンてば。(あら?そこだったかな?ま、いいや)
    立つ鳥跡を濁さず、この言葉を贈りたいです。 あ、ゴダイ様にです・・やばいやばい。

    LIVE!LOVE!SING!より、渡辺さん。
    それは、分かります。1/17と、3/11を抱き合わせているので、転結が描き難いのですよね。
    ただ、ともさかりえの、やるせなさは胸に突き刺さりました。

    あ、で、ですね、忘れてました。一番、突き刺さりましたわ・・ユカ様。
    ・・何ですって?>FANさん、それはスルーするわ
    しかも!禁断のゴシック体!!なんちゅう、プレイだ・・。(え?そこなのFANさん・・) 

    • ぴょんこ
    • 2016年 1月 22日

    yucaさん、こんにちは。

    五代さんとあさ・・
    二人で仕事以外の話ができて良かった。ほんとに。
    そして、五代さんの優しい笑顔が見れて良かった。
    砂時計の砂は無情にも尽きていたけれど・・

    五代さんにとって日本語はビジネス言語で
    英語が心の声、感情言語だったのかもしれません。
    仕事抜きの頭で考えるときは、英語の方がシンプルで
    ストレートに表現出来たのかもしれませんね。

    「かっこつけ」という五代さんのやせ我慢もいいけれど
    最後に新次郎さんが懐の深いところをみせてくれました。
    あさと、ともちゃんの為に
    二人きりにしたしんちゃんの気配りが泣けて・・
    あさと五代さんが「比翼のファーストペンギン」に思えました。
    そして新次郎さん・・
    ドアの外で待つお顔に「決意」のようなものが見えたのは
    私だけかしら・・

    あさの凄いところ(才能?)は
    素晴らしい人との「縁」を持っていることかもしれません。
    もちろん、その「縁」を結ぶのも強固にするのも
    本人の信念と努力が必要ですが。

    「明けない夜はない」
    これからも、あさは前を向いて進み続け
    人生を豊かにする多くの「縁」に出会うのでしょう。
    そしてこれからの新次郎さんは
    内と外の両面であさをサポートしていくのでしょうか。

    五代さん・・本当にお疲れ様でした。さみちぃ。

  3. FANさん、コメントありがとうございます♪

    あはは、明朝体なのね、落ち着くフォントです。

    >世間が目をそらしている事実を掘り起こしたら、アカンてば。
    なんか、納得いかないのよね~
    五代ロスになりそうなのに、別チャンネルで元気にツンデレを演じられていると。
    哀悼も、追悼も、感慨も吹っ飛んでしまいます。

    ディーンさんの事務所的戦略ならば、間をあけず露出を増やすというのはわかるのですが。
    私が五代さんに流した涙はどこにいっちゃうのでしょうか?
    なんとも味気ない大人の戦略です。

    あ、ちなみに例の年代のお話はこちらで編集しましたよ。
    あの事件も怖い。
    いずれにしろ、芸能界は色々ないみで闇です。

  4. ぴょんこさん、コメントありがとうございます♪

    なんだか五代さまが逝かれてから力が抜けています。しかも莫大な借金を抱えていたなんて・・・五代さま。

    >あさと五代さんが「比翼のファーストペンギン」に思えました。
    あさと新次郎は相思相愛、あさと五代さんは比翼連理。しんちゃんともちゃんも比翼ですよね。
    三人がそれぞれ互いを必要としていたというところに、韓国ドラマでよく観る三角関係と違う美しいトライアングルの愛のカタチを見せてくれました。
    しんちゃんもともちゃんも、互いのあさに対する愛を認め、さらに自分の愛の質を高めていく男たちですよね。

    五代さんはあさと新次郎の心の中にいつまでも生き続けるのでしょう。
    泣けてくるよね。
    なんだか虚脱状態です。

    • アデューしたくない・FANです。
    • 2016年 1月 24日

    @こちらで編集しましたよ。
    申し訳ございませんでした。お手数をお掛けしてしまい、反省しきりです。鍵コメで送信すべきでしたのに、厚顔無恥で失礼いたしました。で、

    @、間をあけず露出を増やす・・味気ない大人の戦略です。

    そうなんですよ。 アデュー・ゴダイ様と、早々に言いたいのは分かるのですが。立ち止まる勇気も、戦略としてはアリなのヨ、と、申し上げたいです。

    まぁ。どういう路線を狙っているのか、分かりませんが。恐らく、今年の紅白の審査員席は空いているので、そこを狙うのは、アリだと思いましてよ。
    或いは、ファーストペンギンで流行語大賞を狙うのも、アリかもよ?とにかく、下半期も頑張ってね。(まだ、一月だけれども・・)

  5. FANさん、コメントありがとうございます♪

    >。立ち止まる勇気も、戦略としてはアリなのヨ
    露出を控えて飢餓感を煽ると言う戦略はあまりにもリスキーなのでしょうね。
    もう1作ぐらいヒットしたいと言う気持ちはわかるのですが、それが「ダメな私に恋してください」なのかは私にもわかりません・・・
    深キョンのダメ女ぶりがちょっと理解不能でして(爆)
    深キョン自体はものすごく好きなのに、残念。

    >どういう路線を狙っているのか、分かりませんが
    そうそう、そこが不明なのよね。
    騎士のような2番手ヒーローの次は、ドSツンデレとトレンドは押さえていると思いますが。

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