恋愛を期待して

a
恋愛を期待して Date Entertainment 全2話 (2013年 韓国KBS)

■監督:イ・ウンジン
■脚本:チュ・ファミ
■キャスト:
チェ・ダニエル(チャ・ギデ)
BoA(チュ・ヨネ)
キム・ジウォン(チェ・セロム)
イム・シワン(チョン・ジングク)

【あらすじ】
愛にいつも裏切られてきた女チョ・ヨネ(BoA)は愛を信じない男チャ・ギテ(チェ・ダニエル)に SNS 恋愛コーチを受ける。ギテの忠告に従ってチョン・ジングク(イム・シウァン)と付き合うようになるヨネ。恋愛のパワーバランスの主導権を取って遂に幸せになることができるのか…

 


 

私の大好きなSWEETでCUTEでハートウォーミングでスラップスティックなロマコメ「恋愛じゃなくて結婚」のパイロット版ということで、以前からずっと視聴したかった「恋愛を期待して」
歳末大蔵出し(?)で視聴することができました。
物語のでき具合はやはり「恋愛じゃなくて結婚」の方がはるかに構成が練られていて面白い。
「恋愛を期待して」はパイロット版ということで放映したけれども視聴率は惨敗で、人物設定や登場人物の背景などブラッシュアップされて「恋愛じゃなくて結婚」の大成功につながったのでしょう。
ところどころに「恋愛じゃなくて結婚」の原型が散見されて、そういう意味では面白いドラマでした。
「恋愛じゃなくて結婚」のファンの方は視聴の価値ありかもですね。

 

 

 

12
恋愛相手に執着するヒロインのヨネ(=恋愛)はチュ・ジャンミの原型でしょうね。
恋愛至上主義のヒロインが髪を振り乱して、暑苦しく正論を叫ぶシーンから「恋愛を期待して」も始まります。
2つの作品に通じるイタすぎて悲しくって、そして涙が出るくらい心を揺さぶられるヒロイン像。
傷つくことを恐れない彼女のまっすぐな感情はまぶしくもあり、その押しつけがましい親切心は疎ましいけれどもなぜだか心が温まる。
ガサツさと心優しさがいい具合に入り混じっている、非常に魅力的なヒロイン。
「愛はひとりでもできるけれど、恋愛はふたりでしかできない」というのは脚本家の恋愛に対する認識なのね。
物語の始まりは独りよがりになってしまう愛に疲れたヨネが恋愛を探すところから始まる。
恋愛アドバイザーに指南を求めるのよね。

 

 

 

13
恋愛指南役として軽い気持ちでヨネに付き合うことにしたギテ(=期待)
「恋愛を期待して」とはタイトルからわかるように、ヨネとギテの物語なのです。

ギテ、ギテ!
「恋愛じゃなくて結婚」のコン・ギテ(ヨン・ウジン)と同じ名前だよ~!なんだか嬉しくなる。
ギテとは脚本家チュ・ファミの好きなキャラクターなのでしょうね。
SNSを通じてやり取りをするふたりはいつしか目の前の恋人ではなく、スマホの向こうの相手に心を許し惹かれていくのよね。

初恋は結ばれないとか、ストーカーまがいの行為は愛ではなくてストーカーだ(笑)とか。
プロポーズ、それも韓国ドラマ特有の風船が部屋中飛んでいて、キャンドルが灯り、ベッドに薔薇の花弁でハートを描いていたり、ロマンチックであるという定義のサプライズプロポーズ。
南山のソウルタワーでのアイスクリームの中に指輪を入れたサプライズプロポーズ。
ロマンチックであると定義されているはずの韓国での流行りのプロポーズ手法が、むしろイタい演出となって描かれているところに脚本家のシニカルな目線を感じるの。
そういうイベントって誰のためにやっているの?
恋愛をしているの?
実はそれは恋愛じゃなくてそういうイベントを経験できる自分に酔っているだけではないのと。
恋人ではなく自分を愛しているだけではないの?
パイロットドラマなのでこのテーマに関してはさらりと触れられているだけですが、このテーマを深く掘り下げていったのが「恋愛じゃなくて結婚」とも言える。

 

 

 

z
「恋愛を期待して」はヨネとギテはすれ違いの連続で最後までふたりはまなざしを交わすことがありません。
そこが単発ドラマだから許される設定であって、連続ドラマでは物語展開が単調になりすぎたでしょう。
SNSを通じてだけのやり取りなので切なさがあまり感じられない。
スマホやネットが普及したからこそ却って人は孤独に耐えきれずになり、誰かと繋がっていたいという欲求、誰かと繋がっていないと不安だという感情が過剰になってきたような気がしませんか。
目の前にいる恋人よりも、誰かと繋がっていたいという欲求の方が強くなり恋愛のカタチも変わってきているのかなぁ。

 

 

 

 

d

s
そんな中、シワン君は体当たりの演技で私の涙をそそりました。
「赤道の男」「太陽を抱く月」に続いて出演した作品だと思うのですが、彼の綺麗な容貌、ちょっと華奢な感じを活かしてキモカワユイ恋愛ベタなジングクを好演。
ドンくさくって気が利かず、スマートでもなく、肉食系になりたい草食系なキモカワユイ男子。
あまりモテそうにない雰囲気をシワン君が醸し出していることにびっくり!
硬軟の演技ができる子なんだなとますますファンになりそうです。
ドラマを見ていて申し訳ないけれどもあまり男としての魅力を感じないジングクがラスト、非常に男らしく、かっこよく、しびれました。
でも恋愛はひとりではできないんだよね。
ヨネはジングクの捨て身の求愛にかつての髪を振り乱して愛を乞うていた自分の姿を見出すわけです。
愛は恥ずかしいものではないと思うよ、ヨネ。
例え髪を振り乱してもね。
たくさん愛した方が負けなのか?
恋愛のパワーバランスの難しさで幕を開けたこのドラマは、同じくパワーバランスの難しさで幕を閉じたのです。
ラストの関していろいろと感想がありますが、私はリアルな人間関係がSNSに勝ったのだと思います。
この瞬間、ジングクはギテよりも強く愛を叫んだのですから。バーチャルな人間関係よりもリアルな関係の方が強い。
ヨネとギテが恋愛を始めるにはやはりふたりが初めてリアルに再会(変な言葉・笑)する4年後まで待たなければいけないのですから。

 

 

★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

  • コメント ( 4 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. りょう

     「恋愛じゃなくて結婚」を、この上もなく愛する者です。(「離婚弁護士は恋愛中」は、ダメでした)
    決して美男子ではありませんが、チェ・ダニエルがまあまあ好きで、「童顔美女」、「幽霊」、「学校」を視聴しました。
    「恋愛を期待して」ぜひ、視聴してみたいと思います。
     去年の今頃は、個人的「恋愛じゃなくて結婚」祭りを絶賛開催中!でしたが、現在は、「オー!私の幽霊様」祭りを開催中で、つたない韓国語の能力にもかかわらず、連日tvnのHPで視聴しています。お暇でしたら、視聴してみてください。

  2. yuca

    りょうさま、コメントありがとうございます♪

    >「恋愛じゃなくて結婚」を、この上もなく愛する者です。(「離婚弁護士は恋愛中」は、ダメでした)
    同じくです!「恋愛じゃなくて結婚」はロマコメの傑作ですよね。
    そして同じく「離婚弁護士」は私もリタイアしちゃいました・・・

    チェ・ダニエルもいいですよね。何気に私も彼の出演ドラマは結構な数を見ています。
    眼鏡男子萌えになるわ~

    >「オー!私の幽霊様」
    お、年が明けたら視聴しようと思っています。
    この作品も人気のロマコメですよね。
    視聴された方の評判がいいので楽しみです。

  3. はうん

    シワン君、この後、ミセンに出演されたのかな?
    若手の中ではかなり好きな俳優さんですね。
    来年、もっと大きな作品で主演作が見れるといいなと思っていたりします。

    yucaさん、今年も1年ありがとうございました。と、締めくくってしまいますが、忘れないうちに年末のご挨拶しておきます。良いお年を!

  4. yuca

    はうんさん、コメントありがとうございます!

    >シワン君、この後、ミセンに出演されたのかな?
    「トライアングル」そして「ミセン」ですよね。
    私もアイドル出身ですけれども、大好きな役者さんです。
    「赤道の男」の子供時代では鳥肌がたちましたもの。
    たたずまいでけなげな感じにも、フォトジェニックな感じにも、いかようにも変身できる役者さんだと思います。
    主役にはちょっと線が細いのかなぁ。

    こちらこそ、スローペースな私を見捨てないでくださってありがとうございます!
    はうんさんには感謝の気持ちでいっぱいの年の瀬です。
    よいお年をお迎えくださいね。