柔らかい肌・・・仮面8話まで

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韓国ドラマ「仮面」8話まで。

 

 

感想を書くのを忘れてしまうぐらい面白く視聴しています。
「仮面」の主役はチェ・ミヌ(チュ・ジフン)。
ジフニのドラマを視聴するのはものすごく久しぶりです。
「蒼のピアニスト」も「メディカルトップチーム」も未視聴なので。
チェ・ミヌはどこかあの「宮」のシン君を思い出して、懐かしさのあまりに胸が締め付けられそうです。
シン君がもう少し神経質で、親の愛を感じられずに、周囲を信じられずに生きてきたらチェ・ミヌになっていたのかもしれない。
そんなことを思ったりするの。
何でも持っているのに、自分の横にいる妻への愛情表現が下手な男たち。
シン君にあったその育ちゆえの人に対して冷酷なまでの無邪気さはチェ・ミヌにはないけれども、妻のことを好きと言えないもどかしさは2人は共通してるんだよね。

 

 

 

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政略結婚だけれども、おそらく初めて自分の半径1メートル以内に入ってきた女性ジスク(スエ)にミヌが惹かれていくさまが、本当にみずみずしくて心に響きます。
シン君とは違い歳をとっているだけミヌはこじらせ男子で、ジスクに対しても素直になれない。
でも、気になって気になって仕方がない。
彼女が泣けば気になるし、彼女が笑えば嬉しくなるし、自分を頼ってくれたら何だってできそうな気がする。
恋に堕ちた瞬間の万能感と、自分は愛されていないと思う絶望感に揺れ動くチェ・ミヌがいい。
ミン・ソクフン(ヨン・ジョンフン)はチェ・ミヌのことをよく分析しているよね。
ジスクにミヌと触れ合い、ジスクを信じるようにしろと命じますもの。
接触恐怖症のミヌが、初めて触れ合ったジスクの柔らかい肌の温かみを忘れることができなくなりますものね。
初めて知ったからこそ、ジスクの肌の温もりに執着してしまう。
どこかセンシャルでそれでいてどこか悲しい。
そんなミヌ。

 

 

 

 

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姉チェ・ミヨン(ユ・イニョン)の謀略によって、寒い山奥でびしょぬれのジスクを人肌で温めるミヌ。
つり橋効果ではないけれども、ミヌはここから一気にジスクを好きになります。
例えジスクが誰かを好きでも、自分のことを見て欲しいと願う恋に堕ちるのよね。
面白いのはね、今視聴している「純情に惚れる」でも全く同じシチュエーションがあるのよね。
お墓参りの帰りに車が故障して2人きりになって、恋が、想いが加速するという。
お手軽すぎます(爆)
でもね、「仮面」が秀逸なのは肌で温め合っている2人をソクフンがじっと見つめるのです!!

 

 

 

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はい、お待たせしました(誰も待っていない・笑)、ここからソクフンについてがっつり語るよ~
申し訳ないけれどもミヌについての語りは前菜です。
もうね、ソクフンの一挙手一投足にいちいち反応する私です。
ソクフンは死んでしまったウナに瓜ふたつのジスクをコントロールして、ミヌを陥れ自分が当主の座を乗っ取ろうと画策している男です。
愛なんか信じていない男。
ジスクをコントロールすることなんて簡単だと思っていた。
だって彼女は恐ろしく貧乏だし、怖がりだし、自分しか頼る人がいないから。
お金や恐怖でコントロールできる女だから。自分が死の淵から救った女だから。
だから自分の言うがままにミヌと肌を触れ合い、ミヌと寝て、そしてミヌを陥れる切り札として使おうとする。
けれども、なぜだろうね。
自分の命令したとおりに肌を許したジスクを見た時のソクフンの顔。
嬉しそうなのに、なぜかそのまなざしは悲しそうに涙をたたえていて。
傷ついているかのように見える。
なぜ、傷つくの? ソクフンは未だ自分のそんな感情に気づいていないけれども。
あ~、たまりません、こういう顔が絶品なんですソクフンは。

 

 

お金も愛も、恐怖も全部彼にとっては世の中を支配していく手段。
妻のミヨンの愛だって彼にとってはビジネスのひとつでしかない。
彼女をコントロールするために、時には冷たく突き放し、時にはすがり甘い言葉を囁く。
ミヨンが彼を愛するあまりに心は入り乱れて、結果アルコール依存症になっていく。
アル中になったとしてもソクフンはミヨンのことをこれっぽちも気にしないでしょうね。それをわかっていながら、それでもどこかソクフンを信じ、彼が振り返ってくれるかもしれないと足掻くミヨンの愛も切ないけれども。
ソクフンにとって愛とは、自分がのし上がる手段の一つでしかない。
愛人ウナの死だって、眉をひそめただけで冷静にその影響を計算していたもの。

 

 

 

Mask7-00512そんなソクフンの仮面が、ジスクに対してだけは剥がされるのよね。ソクフンの素顔がさらけ出されて。
ミヌといるジスクを見つめるソクフンのそのまなざしは、嫉妬にカテゴライズされます。
まあ、だいたい偏執狂なのだけれどもソクフンは。
こっそりモニターでミヌとジスクの寝室を覗いているソクフン。
一歩間違えればギャクです(笑)
ミヌと寝ろと命令しながら、いざミヌとジスクが接近すると慌て地団駄を踏むソクフンは、ミヌとは違う意味で不器用で私にとっては愛すべきヒーローなんです。
まあ、とにかくヨン・ジョンフンの演技が絶品。
この方が私をここまでメロメロにするとは思ってもみませんでした。

 

 

 

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きっとソクフンは自分でも何をやっているのかわからないのだと思います(爆)
病気の義妹を見舞いにと言って寝室にずかずか入って喋っているなんて、普通ではないですから。
ソクフン的にはジスクを脅して自分の言うことを聞かせるためだなんて自分で自分に言い聞かせているのかもしれないけれども、ただただジスクが心配なのです。
ミヌの恋の堕ち方が王道だとすれば、ソクフンの恋の堕ち方は邪道です。
その邪道具合は、脚本家の前作「秘密」のミニョクの邪道具合に匹敵する(笑)
恋人を殺した女を好きになってしまうミニョクと同じくらいひねくれていて、そのひねくれ具合が私好きなんです。
「秘密」のモチーフが「嵐が丘」ならば、「仮面」のソクフンのモチーフはドストエフスキーの「罪と罰」です。
これもものすごく面白いよね。
「罪と罰」のラスコーリニコフのように「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」という選民思想を持つソクフン。
選ばれた人間だから何をやってもいいのだと嘯きながら、妻の愛を利用し、ミヌを薬漬けにし、彼らの財産を手にし自分が世の中を変えていくのだという思想に酔いしれている。

 

 

 

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愛にもお金にも地位にも名誉にも囚われず、世の中を変えていくことを願うソクフン。
そんな彼が、たった一人の女ジスクに捕らわれていいくさまが、恐怖によって彼女を支配していた彼が実はジスクによって支配されているという立場の逆転がこの5~8話で進んできているのよね。
たまらなくその逆転が面白いです。
ソクフンはまだ気づかない。
なぜ彼がジスクのために走り、ジスクのために犯罪に手を染めてしまったのか。
まだ彼は気づかない。
その感情が何なのか。
賛否両論はあるでしょうけれども、私はミヌの見せる愛のカタチよりもソクフンの見せる愛のカタチの方が興味深いのよね。
選ばれた人間だと思っていたラスコーリニコフが、この世で一番貧しい売春婦ソーニャの前で膝まずいたように。
ソクフンがジスクの前で膝まずくのは時間の問題。

 

 

 

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とにかく両ヒーローの演技をがっしり受け止めるスエ。
あるときははかなげで、あるときは毅然として。
そのジスクの両極に男たちはメロメロになるんだろうな。嗜虐心と被虐心が満たされるのだと思います、ジスクを見ていると。

 

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. けいこ

    yucaさん!
    ご覧になってるんですね、仮面!
    いやー、出遅れて見るのをやめようかと思ったのですが、
    たまたま見たチュ・ジフンとスエのキスシーンから
    俄然みる気になり、途中参戦(笑)しましたの。

    ヨン・ジョンフンいいですよねー♪
    こういうクールな役をやらせると限りなくセクシーなんですよね。
    丸顔だの(魔法使いチャッピーの)ドンちゃんだの言ってごめんね、愛してます!と
    ここでも謝って愛を告白しておきます。

    私はyucaさんみたく深く考察できないので漫然と見てましたので
    またyucaさんの感想楽しみにお邪魔しますね!
    いやはや、ウフフ♪楽しみが増えました!

  2. yuca

    けいこさん、コメントありがとうございます♪

    「仮面」はツッコミどころ満載で面白いですよ~

    >ヨン・ジョンフンいいですよねー♪
    だよね。毎回トキメキっぱなしです、私。
    こんなに悪人が似合う俳優さんだとは思っていなかったので、見直しています!
    私も今までちょっとぽっちゃりだなぁ、なんて思っていてごめんなさい。
    今ではすっかり夢中です。