その人は私の名前を花を呼ぶかのように・・・恋愛じゃなくて結婚 8話

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韓国ドラマ「恋愛じゃなくて結婚」8話視聴。

 

 

ラブコメというのはたいがい1話の時点では登場人物たちはかなり極端な行動をとらされていて(脚本家からだったり、演出家からだったり)、そのハイテンションぶりにやや引き気味になって私たちは視聴したりするのです。
大体、3~4話くらいになってやっと役者も役にこなれてくるので、そのキャラクターのリアリティが出てくるんですよね。
「恋愛じゃなくて結婚」も、そう。
チュ・ジャンミの1話登場時は、え、こんな性格の子がヒロイン?
と度肝を抜かれたのですけれども、話数が進めばだんだん愛おしくなるんだよな。
ヒロインのキャラを暴走機関車にして、序盤に視聴者の意表を突くのがラブコメなんですね。
私的に、そんなジャンミの1話の行動の遠因が分かるような気持ちがした8話でした。

 

 
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このドラマ、いろいろ面白い仕掛けがしてあって、効果音もタイミング良く使われています。
効果音もそれぞれの登場人物にツッコミを入れているんだよな。
「ガ~ン」とか「カクッ」とか「ピポ」「ピョン」、そんな感じの効果音(笑)
そんな効果音が多用される8話はギテとジャンミが自分の中にある気持ちに目を向ける回でもありました。
しかし「その人は私の名前を花を呼ぶかのように」の意味が、そんな意味だなんて大爆笑。
やっぱりこのドラマ面白いです。

 

 

 

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8話 Marry me if you can
コン・ギテとチュ・ジャンミに家族から結婚の許可を出されてしまう。それはギテ母の2人の結婚を阻止するための策略であったのだ。両家の顔合わせまでギテ母のごり押しで開催され、ギテ母に「ジャンミ~」と優しく呼ばれながら結婚の準備に苦しめられるジャンミ。とうとうウェディングドレスまで試着してしまい・・・

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8話は何と言ってもギテ母(キム・ヘスク)でしょう!
圧巻です。顔で優しく笑っていながらも、ゴリゴリと自分の意志を押し通し、他人をコントロールしていく手腕。
口では相手のことを思っているかのように優しく囁くので、ジャンミは太刀打ちできません。
気が付いたらギテ母の掌で踊らされているという、テイタラク。
おそらくギテ母のこのコントロールフリークぶりが、息子ギテから「恐ろしい人なんだ。何でも自分の思い通りにしてしまう」と言わしめた所以でしょう。
ギテが、意固地なまでに独りを、コントロールされない自由な自分を望むのは、母を見ていると納得しますよね。
しかも元婚約者のセラでさえも、ギテ母と同じくらいコントロールフリークだたっという悲劇(笑)
母親の支配から逃れようとして、別の女性の支配下に置かれそうだったなんて、そりゃあギテとしてはあわてて逃げますよね。
ギテ母やセラは口では相手のことを思い、優しい口調なので始末に負えません。
ギテ母は強敵だなぁと思うけれども、ジャンミとギテの仲を引き裂こうとするラスボスではないと思うのだけれども。
この二人の最大の障害は、やっぱり嘘から始まった関係ということでしょうね。
嘘だと思っているから、今自分が相手に対して抱いている感情も真実なのか確信が持てないというジレンマ。

 

 

 

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ラストシーンではギテは「待て。俺がお前の所に行くから」と叫びますが、その声はジャンミには響きません。
ジャンミの欲しい言葉ではないから。
ジャンミが欲しかった言葉「きれいだね」はヨルムがかけてくれます。だから彼女はヨルムのもとに走っていたのでしょう。
しかしギテとしては最大の愛情表現だったのにね、彼なりの。
あの、人と一緒がいやで、人に合わせて生きていくことが嫌いな男が、ジャンミには妥協して同じ場所まで行くと叫んでいるのに、心に響かないのは、ギテ自身自分の言葉の意味を理解していないから。
どうしてジャンミを失いたくないのか。
どうしてヨルムと一緒にいさせたくないのか。
彼はまだまだ自分の恋心に向き合っていないので、その意味を理解していないのね。
(しかし、ギテのスーツの趣味はよく分かりません・笑 ザ・韓ドラって感じのスーツばかりだ。ルームウェアはステキなのにね)

 

 

 

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ヨルムと逃げながら(まるでかの名作「卒業」みたい)、ジャンミは泣きじゃくります。
彼女も自分の気持ちに気づいていない。
偽装恋愛関係だと周囲に言う機会はあったのに、ギテのことを思い芝居を続けるのはなぜかという意味を理解していない。
ジャンミとはもともと優しい子なので、相手が望んでいることを断れないという押しの弱さがあります。
そもそもイ・フンドンと付き合ったとき、ドン引きのホテルでのプロポーズシーンがありましたが、あれはフンドンのレベルに合わせてフンドンが喜ぶようなお膳立てをしたのだと、今になって思うのです。
ほら、フンドンってそういうきらきらしたイベントって好きそうだもの。
1話の時点ではフンドンが結婚する気はなかったので、あのシーンは茶番になり、そしてジャンミはストーカー扱いを受けてしまうという悪循環でした。
1話で私を驚かせたヒロインがストーカーって、しかもあのセンスの悪いプロポーズって・・・というのは、ジャンミなりの優しさの空回りの結果なんですね。
そう思うと冒頭の暴走機関車ぶりも納得できます。
でも実は彼女の恋愛や結婚に対する望みって、ああいうイベント系ではなくって「綺麗だ」とか「愛している」の言葉ひとつで満足する女性のような気がしてきました。
彼女の望みの、相手が自分を必要と思ってくれるようになりたい、誰かから自分を必要と思ってもらいたいというのは、幼少期の独りの時のトラウマなんでしょう。
必要とされるならば自分は独りではないのだ、という思い込みがある。
だから、両親が喜び、ギテを救っている偽装恋愛というお芝居から抜け出せないのです。
そこにギテ母は優しい悪意で持って、現実を突き付けたのです。
「本当にギテと結婚したいの?」と。「本当に私たちと家族になりたいの?」と。
ギテ母のやり口があまりにも優しい悪意に満ちて巧妙なので、ジャンミは初めて「結婚」と直面しました。
このドラマのタイトルどおりに「恋愛じゃなくて結婚」でいいの?と、現実を直視したんだと思います。
あのギテの母に付き合っての病院めぐりや、お買いもの、ウェディングドレスの視聴だってギテのためにやっているんです。
しかし、肝心のギテが自分の方を振り向いてくれないのなら。
「綺麗だ」と言って、自分を必要としてくれないのならば、彼の恋心がセラにあるのならば、自分は何なのだろう。
だから逃げ出したの。
自分の心が壊れそうだったから。
でもどうして壊れそうなのかは、分かっていない。車で泣きじゃくってる意味もまだ、分かっていない。
ジャンミもまだまだ自分の恋心に向き合っていないので、その意味を理解していないのね。
互いの恋心に気づけば、そのまま結婚しても何ら差し支えのないカップルでありますが、二人の馴れ初めの「偽装恋愛」ということにとらわれ過ぎているので、話がややこしくなってきてるんですよね。
このこんがらがった状況を打破するために、何らかの事件がまた起こるのね、きっと。
自分たちの本当の気持ちがどうなのかを直視しはじめた第8話、折り返し地点ですね。

 

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 4 )

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  1. waya

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    こちらでは始めまして。
    今回は更新されているのに気がつかなくて、9話を見た後に読ませていただきました。ものすごく残念。読み応え有りました!9話を見る前に読めてたらよかったのにと、チェックしていなかった事に、ものすごく後悔…。プロポーズの場面、私はそんなものよね~と軽く流してました。

    効果音、本当にいい味出してますね。私はハト時計みたいな効果音がなる時が一番好きです(笑)
    そして、スーツでは無くギテの部屋着の赤いトップの袖の花模様にノックアウトされました…。

    最近になってようやく、製作発表のインタビュー会見を見ました。ヨルムは「悪い男」なんですね。でも、彼がいなくちゃこのドラマは面白くないし、ただの悪い男じゃないですよね。いつもあわてる事無く空気も読んで、淡々としているヨルムもなかなか魅力的です。
    8話では、彼の「嫉妬?」って聞くセリフが一番のお気に入りです(笑)

    もう折り返し地点だと思うと淋しい気持ちになっちゃいます。

  2. moonlight-yuca

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    ♪ wayaさん、コメントありがとうございます♪

    ようこそいらっしゃいませ~

    >効果音、本当にいい味出してますね。
    ボケとツッコミ効果を醸し出していますよね。面白い~
    そしてギテの洋服がいつも微妙な感じなのが笑えます。
    なぜに~!?
    ジャンミもいつもホットパンツで、だからおなかを冷やすのよと心配しています(笑)

    >いつもあわてる事無く空気も読んで、淡々としているヨルムもなかなか魅力的です。
    ヨルムは謎ですね。
    チョン・ジヌンくんの演技についていろいろ取りざたされていますが、あの少し固い演技が却ってヨルムの謎な魅力を出していると思いますよ。

    ヨルムにしろギテにしろ、ジャンミのストーカーまがいになるまでの愛の表現に心打たれたんでしょうね。
    そういう意味であの1話の暴走機関車ぶりは必要だったんでしょう。
    サブタイトルといい、毎回のテーマといい、脚本はかなり計算されているなと思います。

    でもね、1話だけ視聴して、とっちらかってて訳わかんなくてリタイア、なんて感想を読むと悲しくなります。
    こんなに面白いのにね。

  3. はる

    SECRET: 0
    PASS:
    yucaさん、こんばんは

    ここまでの、深〜いレビューを
    ハヤル気持ちで、読ませて頂きました。
    チュ・ジャンミ
    2人のナムジャを、行ったり来たり
    してるようですが
    全開で、真面目に、誠実に
    生きています 笑
    嫌味がないです
    愛すべきキャラ

    ギテ
    自分を見失って狼狽える
    ラブコメ王道なキャラ
    この俳優さん、ドンハマりですね

    ヨルム
    演技どうこうじゃなく
    彼のキャラは、このドラマでは
    重要ですよね

    ギテオンマ
    この人が画面に出てくるだけで
    期待爆発です

    まだ、話の展開を追うので必死
    じっくりレビューを再読させてもらいます
    毎日楽しいー
    折り返し地点です ‥寂し

  4. moonlight-yuca

    SECRET: 0
    PASS:
    ♪はるさん、コメントありがとう~♪

    いいでしょ、いいでしょ、このドラマ!
    本当に楽しく視聴しています。
    決して派手な出演者たちではないのに、(ギテ母、ギテ父は派手ですが・笑)、のびのびと体を張って演じてくれて、観ているのが楽しいですよね。
    ジャンミがカワユイ~、嫌味がない女優さんです。
    ギテ役のヨン・ウジンくん、当たり役ですね。
    「普通の恋愛」から(もしかすると「オジャッキョ」から?)気になっていた俳優さんなので、ブレイクできてうれしいです。

    それでいて、親子関係とか「愛ってなんだろうね」みたいなほろ苦さも兼ね備えていて、思わずほろりときちゃいますから。

    >折り返し地点です ‥寂し
    一気視聴できるなんて、至福ですよ!羨ましい(笑)

    しかし、今年はラブコメの当たり年ですよね。
    結構、面白い作品が続いています。