奇皇后

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奇皇后 Empress Ki 全51話 (2013-2014年 韓国 MBC)

■演出:ハン・ヒ/イ・ソンジュン
■脚本:チャン・ヨンチョル/チョン・ギョンスン

■キャスト:
ハ・ジウォン(キ・スンニャン)
チュ・ジンモ(ワン・ユ)
チ・チャンウク(タファン)
ペク・チニ(タナシルリ)
キム・ソヒョン(皇太后)
チョン・グクファン(ヨンチョル)
イ・ジェヨン(ワン・ゴ)
イ・ウォンジョン(トクマン)
イ・ムンシク(パン・シヌ)
キム・ヨンホ(ペガン)
ユン・ヨンヒョン(チョンバギ)
チョン・ウンイン(ヨム・ビョンス)
チェ・ムソン(パク・ブルファ)
クォン・オジュン(チェ・ムソン)
キム・ジョンヒョン(タンギセ)
チャ・グァンス(オグァン)
ユン・アジョン(ヨンファ)
チン・イハン(タルタル)
チャ・ドジン(タプジャヘ)
キム・ミョングク(チャン・スニョン)
チョ・ジェユン(コルタ)

【あらすじ】
幼い頃、貢女として元に運ばれる途中で母と逃げ出したスンニャン。だが、母は元の追手に殺されてしまう。逃げのびたスンニャンは男として生きることを決め、親元派の重鎮ワン・ゴに仕え、彼が最も信頼する手下へと成長する。
弓などの武術に長けたスンニャンはチンピラたちのボスとしてその名が知られるようになるが、そこに別のグループのボスであるワン・ユが勝負を挑む。実はこのワン・ユこそ高麗の王子なのだが、実質的な権力者であるワン・ゴの目を欺くために放蕩な生活を送っていた。いがみ合うスンニャンとワン・ユだが、2人はワン・ゴが手を染めている塩の密売事件を巡って協力し合うことで、互いの素性も知らぬまま絆を深めていく。この事件の後、ワン・ユは王に即位し、一方のスンニャンは手下が盗んだ指輪から自分の父親が巡軍万戸府の万戸長だと知る。武術に自信のあるスンニャンは兵登用試験に応募し、自分の正体を明かさずに見事に合格。その武術の腕前から父親の側近に抜擢される。
ある日、元から皇太子のタファンが流刑で高麗にやってくることに。巡軍万戸府はタファンの護衛を任せられることになり、スンニャンもそれに同行する。元の権力者から命を狙われているタファンとスンニャンは運命的な出会いを果たすが…。


51話、視聴完了しました!

久々の長丁場のドラマで途中リタイアしそうな時もありましたが、なんとか最終話までたどり着きました。
途中何度かぶつぶつとブログで語っております感想がすべてで、51話視聴して新たな感動や感想はないのですけれども。
こういう長丁場のドラマって終わった後に1話を思い出すと、なんて遠くに来てしまったんだろうかと寂寞の念を抱きますが、それこそが長編ドラマ視聴の醍醐味なのでしょうね。
時の流れこそが歴史ドラマの主役なんです。
隆盛を誇っていた人も、虎視眈々としていた人も、野心を持った人も、ただ愛をささげた人も、全ての人の上に平等に時は流れていく。
愛も憎しみも恨みも野心も全ての時の流れにさらされ、はるか遠い記憶のかなたへと。
時の流れは、切ない。
以下、「奇皇后」の簡単な感想。

今から思い出すと、海辺でワン・ユの馬とタファンの馬、どちらに乗るかスンニャンが迷っていたシーンがありますが、その瞬間に彼女は運命を選択したとも言えるんですよね。
このドラマの悲劇は、いろいろありますが、愛を信じた男と愛を信じなかった女のすれ違いの悲劇だとも言えます。

 

 

 

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劇中歌でチ・チャンウクが歌う「蝶々へ」の歌詞にこうあります。
「愛してるという言葉では君を側に置くことはできないのかい?」と。

まさに、スンニャンは「愛している」という言葉ではそばにおけない女なんです。
幼少の頃から艱難辛苦をなめて育ったスンニャンは、言葉は信じることができない女なんです。
言葉よりも、行動を信じ、苦難を乗り切ってきた彼女。触ることができない言葉よりも、自分の目で確かめられる地位や権威を信じた女なんです。
「父を救ってくれる」というタファンの言葉や、「一生一緒に生きよう」というワン・ユの言葉に結果的に裏切られ、自分の手でつかめるものしか信じない女になったんです。
彼女の複雑なところは、だからと言って名誉や地位や金銭を決して望んでいない。
ただ、自分が生きるために皇宮での地位や名誉、お金が必要なだけだったというところなのですが、欲望に目がくらんだ人たちには分からない。
だから元の人にとっては、高麗人の彼女は非常に危険に思えるんでしょうね。
普通後宮で成り上がるためには「愛」という武器を持って成り上がるのですが、スンニャンは「知恵や策略」を使って成り上がっていきました。
決して「愛」を切り売りしない女でした。
あの時代後宮にいて「愛」を切り売りしない女は異色だったでしょうね。
己の知恵だけで闘い生き抜いていこうとするスンニャンは、どこか近代的なワーカーホリックの企業人のようでもありました。

 

 

 

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それなりに面白く視聴していたのですが、結局誰にも肩入れせずに最終話まできました。
しかし、タルタル師匠のことを考えると、胸が千切れそうになる。
一族のことだけを思っていたタルタル師匠は、誰よりも民や国のことを考える人間へと成長。
その彼の選択に胸が引き裂かれそうになる。
そして、彼の最期がただただ言葉で語られたのですが、それがなんともあっけなくて、だからこそ切ない。
国のために闘いに身を投じたタルタル師匠の姿が脳裏に浮かびます。
タルタル師匠の死と同時に、元という国は滅びていく。「奇皇后」は時の流れの中での滅びの物語でもあったんですよね。

 

 

 

無題
スンニャンとタファンの悲恋(?)に心を痛めたファンたちの要望で、650年後という設定のCMが作られましたが。
これがそのまま「歩歩驚心(宮廷女官若曦 )」のラストシーンと同じ設定なのが笑えます。
そもそもラストシーンは2種類あって①海辺でタファンとワン・ユどちらの馬に乗るかスンニャンが悩むバージョン、②アユがスンニャンに「元の人間ですか、高麗の人間ですか」と問いかけ、スンニャンが「どちらの人間でも関係ない。わたしの民を守るために闘うだけだ」というバージョン。
このラストシーンだけを見ても、スンニャンはやっぱり愛に生きる人間ではなく、闘いに生きる人なんだなぁと。
「愛してるという言葉では君を側に置くことはできない」のです。
共に高麗のために闘っていたからこそワン・ユのそばにいることができたし、ヨンチョルという敵を倒すためにタファンと心を通わすことができた女です。愛だけでは生きてはいけないヒロインだったのね。
私的には650年たって再び巡り合ったとしても、二人は同じことを繰り返す気がするんだけれどもね。
愛にのめり込む男と愛を信じない女の恋愛は、どれだけ時を重ねても愛はすれ違うしかないと思います。
相性が悪いのに惹かれてあってしまう、ってところが愛の不思議さなんですけれども。

 

 
★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 2 )

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  1. himeka_kisaragi

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    こちらでも、こんばんわvv

    NHKBS1で見始めています。
    yucaさんが観て、途中語っていたなんて、少し意外です。(笑)

    しかも、どうやら元のタルタル堕ちでしょうか。(笑)
    そういうとこに行くのがyucaさんらしいですが(笑)私は実はその相方のペガン将軍押し(まだほんの4~5話までしか観てないですが)です。(笑)

    でもきっと、yucaさんが惹かれるのだから、なんか私もそんなとこに目がゆくような気が・・・。そもそも、そんな脇の人に目が行くあたりが私たちって感じが。(笑)

    そうそう、そして私もワン・ユには何も感じず、どちらかといえばタファンが可愛いです。ちょいとしびれたシーンとかもあったし。

    ちなみにNHKBSは、この長い話を週イチの放送という気の長いことをしてくれるので、見終わるのは一年後になりそうです。(苦笑)

  2. moonlight-yuca

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    PASS:
    ♪ひめかさん、どもども~♪

    >どうやら元のタルタル堕ちでしょうか。
    はい。タルタル格好よかった!
    最初はへたれのタファンを応援していたのですが。
    いつの間にかタルタル堕ちに。
    しかし、チ・イハンって声がいいんですよね~
    マルオッパの声も好きですが、チ・イハンも捨てがたい(笑)

    >ペガン将軍押し
    なるほど、そうきましたか。
    実は悪役のタンギセ不憫で心が揺れました(笑)
    ルックスがもう少し私好みだったらよかったのに~

    ワン・ユ・・・まったく何も感じずじまいでしたね。
    なにしろ「霜花店」のガチな王様ですから、私の中では彼は女性を愛するはずがないとインプットされておりまして。
    ワン・ユがスンニャン似合いを語れば語るほど、「さっさとカミングアウトすればいいのに・・・無理しちゃって」などと失礼なことを思っていました(笑)
    恐るべし「霜花店」の影響。

    >この長い話を週イチの放送という気の長いことをしてくれるので
    いやあ、これはひどいですよね。
    1年かかるなんて、気が遠くなりそうです。