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恋はするものじゃなくて、おちるものだ・・・密会 4話まで

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韓国ドラマ「密会」4話まで視聴。

ブロ友さまや、行きつけのブロガーさまたちの評判が軒並み良いので、視聴してみましたら。
あら、面白いです。
江國香織の「東京タワー」にインスパイアされているらしい、と教えていただいた「密会」

江國香織かぁ。一時期狂ったようにハマりました。
「恋はするものじゃなくて、おちるものだ」とは彼女に教えてもらいました。
恋なんて綺麗事ばかりではなく、一皮むけばドロドロした理不尽な情熱で、周りを傷つけ、自分を追い込み、それでも求めずにはいられない残酷さと、ほの暗い喜びがあるんだ、ということを。
江國の描く恋愛小説は、その奥底にしんとした狂気が潜んでいて、読んでいて怖くなりながらも、憧れました。
どこまで「密会」が恋を描いていくのかはわからないけれども。

年上の女性と青年という関係性だけをなぞらえ、そこに音楽という選ばれし者たちの崇高な喜びと、矮小な出世欲を絡めているのが、アクセントとなって面白い。

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a0192209_21550629クラッシク曲の数々に導かれるように物語は進んでいきます。
バルトークの♪ アレグロ・モルト ♪ で物語の幕は急速に開け、文字通りはじけるように展開していきます。
シューベルトの ♪ 4手ピアノのためのファンタジア ♪ はまさに、パートナーとの出逢いの曲であり。
パートナーと巡り合うことで、恋愛のファンタジアの世界が開ける。

ソンジェ(ユ・アイン)とヘウォン(キム・ヒエ)の連弾のシーンは、巷でも大絶賛、官能的なシーン。
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映画「ピアノレッスン」が教えてくれたように、ピアノってエロティックなんだよなぁ。
ピアノの弾き方を女性の体になぞらえる事があるくらいに。
言葉を交わさなくても、ピアノの音色で交感をしている二人。
言葉よりも雄弁なその音色と、暗い室内でそこだけに光があたり、まるで官能につつまれているかのような二人。

チャイコフスキーの ♪ 四季 4月 松雪草 ♪ は春の目覚めか、恋の目覚めか。

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初めて自分を見出しいてくれた人と出会って、ベートーベンの♪ 情熱 ♪ の嵐に巻き込まれる。

「密会」は韓国ドラマにしては、少し乾いた感じがするのは主役二人はあまり言葉を交わさないからかもしれない。
言葉の代わりに、ピアノで、あるいはパソコンのチャットが深い意味を持ってくる。
ピアノもパソコンのキーボードも、キーを叩くというのが同じですね。

仕事がソツなくできるキャリアウーマンのヘウォンは、言葉によってミスすることを、自分の気持ちを発露することを極端に恐れていて。
海千山千の、言葉さえも相手を籠絡する手段、自分の欲しいものを奪い取る手段にしか考えていない俗物たちしか周囲にいないヘウォンの処世術だったのかしら、自分の気持ちを抑えるって。
自分の気持ちを抑えるうちに、いつしか語る言葉をなくしてしまうヘウォンだけれども、そこにソンジェのピアノが語りかけるように、ねじ込むように彼女の心を揺さぶっていくのね。
言葉よりも雄弁に、彼女への恋慕を語っているソンジェのピアノ。

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シューベルトの ♪ さすらい人幻想曲 ♪ に導かれるように、ソンジェはさすらい、そしてへウォンの元に走っていく。
調子はずれのランゲの ♪ 花の歌 ♪が流れてくる勤務先では、自分がいるのはここではなく、音楽が満ち溢れているヘウォンの世界だと、痛切にソンジェに知らしめるのだ。

カメラワークも主人公たちの表情をアップにせずに物を挟んで撮っていたり、少し距離感がある所がまた、何ともいえずいいわぁ。
クラシックの曲の数々、光と影、カメラワーク、その中でまるでヘウォンに吸い込まれていくかのようなソンジェのまなざし。
揺れている自分を感じているヘウォン。

そんな二人から決して露骨ではないのに、微かに扇情的な香りがするのが、いいなぁ。上質のドラマのような気がします。
主役の二人を始め、登場人物たちが皆、とてつもなく寂しい人たちであるということも気に入っています。
生きていくのは寂しいから、ある日突然、恋に墜ちるんだよね。

男と女はお互いに求めあうのに、どこまで行ってもどこか孤独である。
そんなビターな世界が、せつなくて、ほろ苦い、大人の世界が、「密会」で繰り広げられる。

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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