すいません・・・あまちゃん153回その3

a0192209_2046494「あまちゃん」153回。
実は鈴鹿ひろ美と天野春子の再生の物語は、荒巻太一の再生の物語でもあった。
最愛の妻、鈴鹿ひろ美の歌声を聴いた時、彼は何を感じたのだろうか。
時代の波に流されてしまった悔恨であり、少女たちの夢を変えてしまった哀恨であり、そして妻の願いを理解していなかった痛恨。
トシちゃんのバッグダンサーで躍っていた時は、あるいは自分のダンスで芸能界にのし上がっていく夢を見ていたのかもしれない太巻。
しかし番組の事情で、あっさりと解雇されてしまう。
自分の夢が断たれた瞬間。
その時から彼はプロデューサーに転身、アイドルの原石たちの存在を脚色し始める。
声を変える、経歴を変えるといった手法で・・・
いつしか彼のプロデュースするアイドルたちは装飾過多の彩られたお人形さんたちばかり。
太巻のプロデュースアイドルの第一弾が鈴鹿ひろ美だったのだ。
鈴鹿ひろ美も声を変えられ、そしてアイドルの階段を登っていく。
彼の中ではアイドルとは代替が可能な存在なのだ。
その時々の時流で、装飾方法を変えるだけで。
太巻が、それでも鈴鹿ひろ美を大切にしたのは、彼女は太巻が施した装飾に負けることがない、自らが輝く「プロ」であり本物だったからなのか。
遠い昔、ダンサー志望の時に夢見ていた本物の輝きが、鈴鹿にはあるからなのか。
太巻が持っているたった一つの本物の輝きが鈴鹿だったのだ。
時代の波に飲み込まれない本物の輝きの鈴鹿を彼は慈しんだのだ。
大切に、大事に、誰にも二人の関係を知らさずに(・・・あっ、梅さんは知っていたけれども)
鈴鹿ひろ美を損なわせるものから遠ざけて。
あの移ろいやすい音程の鈴鹿の ♪ 潮騒のメモリー ♪ のテープは金庫の奥に隠して。
太巻は太巻なりに鈴鹿を守ろうとしたのだ。
そして、北三陸でのステージでも再び禁じての影武者を用意し、鈴鹿を守ろうとする。
だが、しかし、彼の脚色ばかりの手法に、鈴鹿の声は突き刺さる。
電池が額に突き刺さったように、鈴鹿の歌声は太巻の心に突き刺さる。
本物の輝きを持って。
「I miss you」と。
a0192209_21435319「逃げるの、もう嫌なんです。下手でもいい。不完全でもいい。自分の声で歌って、笑顔を届けたい!」という女優、歌手、芸能に関わるすべての人たちの心の叫びが、太巻の心に突き刺さる。
脚色はなしで自分の声で、自分の演技で、誰かに何かを伝えたいんだ、ということを。
「君の代わりは君しかいないのだから」
鈴鹿ひろ美の声の代わりはいくらでも用意できると思っていた彼の心に、鈴鹿の「本物の声」は突き刺さる。
この鈴鹿の「本物の声」は、太巻がどうあがいたって脚色はできない。
圧倒的な力と幸福感に満ちて。
そんな太巻の心を見越してか、鈴鹿はのびやかに、清らかに歌いかけるのだ。
ローレライのように。
♪ 来てよ、その火を飛び越えて ♪ と。
鈴鹿の表現者としてのプライド、自分なんかが脚色できない「本物の輝き」、誰よりも何かを伝えたいと願う鈴鹿の前では、ただ「すいません・・・」と泣くしかないのだから。
「鈴鹿ひろ美の代わりは鈴鹿ひろ美しかいない」
こんな簡単なことを、ずっと気付かなかった太巻はただ泣くしかないのだから。
でも、そんな太巻を鈴鹿は愛おしそうに受け入れるんだろうな。
・・・そんなことを考察すると、また泣けてきちゃうのです。
■ 身もだえポイント ■
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♪ 三途の川のマーメイド ♪ の歌詞で悩む鈴鹿。

 

 

 
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「んだら、三度の飯よりマーメイドは?」

 

 

 
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「三段腹のマーメイドは?」

 

 

 
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「三枝の愛ラブクリニックは?」

 

 

 
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「・・・・・・・・・」

 

 

 
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「せめて、マーメイドは残しませんか?」

 

 
もう、ちょっとミズタク!「三枝の愛ラブクリニック」って何よ!(爆)
あんたが一番、ノーテンキな気がします。弥生さんに呆れられたら、もうおしまいよっ!
北三陸に戻って来れて嬉しいのはわかるけれども、あんなに「潮騒のメモリーズのマネージャーがやりたい」と言っていたのに、なんだか最近幸せボケしているような気がします。
東京にいた頃に見せた、キリキリとしたまなざし、何かを手に入れたいと思う切望感が今のミズタクからは感じられません。
帰りたい場所に帰ってきたら、あんたが一番やりたいことは何なの!?
(・・・まあ、その一つに琥珀磨きがあるかもしれませんが・・)
a0192209_2164992どうも、私を心底恋焦がらせた、あの体温の低さから、突然発せられる熱を感じることができません。
なんだか、ミズタクぬるま湯につかっている感じ・・・
どうもここ最近のミズタクに煮え切らないものを感じます。
あと物語は30分しか残されていないよ!(笑)
まあ、相変わらずのアキちゃんの「落武者」発言に、何とも言えなそうな、がっくり感と切なさが伝わってくるミズタクの表情は大好きですけれども♪
a0192209_217922鈴鹿さんの成績表(爆)

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 4 )

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  1. sora

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    154話になりますが、春子が鈴鹿ひろ美を感嘆を込めて「プロよね~」という。
    この一言につきると思いました。
    真相は謎のままだけど、私は北三陸に来て歌の練習をしない鈴鹿ひろ美に焦りも感じたりしてたけど…ほんとは歌える人なのかもね。
    ん~でも謎のままでいいや。

    ミズタク。アキや春子に次いで、その心情を写し出されてきましたよね。…なになに?ヒロインの位置づけなのでしょうか(笑)
    あと2回。アキちゃんまわりのラブラインはクドカン書いてくれてなさそうだなぁ。
    ミズタクは今の見守り系で満足なのかな。

    太巻さんとミズタクの間柄が何気に好きです。電池が飛んできて倒れちゃった太巻さんに駆け寄るミズタクも。

  2. moonlight-yuca

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    ♪soraさん、コメントありがとうございます♪

    >謎のままでいいや
    私もそう思います。移ろいやすい音程だったのか、そうでなかったのか。
    でもわかったのは鈴鹿さんは「プロ」で果てしなく優しい人なんだろうなぁ、ということ。
    舞台の上では完璧なんでしょうね。

    >アキや春子に次いで、その心情を写し出されてきましたよね
    東京編から、ミズタクのワンショットって何気に頻繁に挿入されていますよね。
    その時ミズタクがどういう気持ちかを視聴者に考えさせるように。
    あまりにも毎回意味深なので、絶対このドラマにおいてミズタクの存在って特別なんだ、と思っていますが。
    あと2回でひっくり返るのか。
    それともそのままなのか。

    >ヒロインの位置づけなのでしょうか
    爆笑~~~! そうなのかっ!

    >太巻さんとミズタクの間柄が何気に好きです
    アキちゃんをないがしろにするから太巻氏の元を離れたけれどもこの2人も師弟関係ですよね。
    ミズタクが泣きそうになると、太巻氏は察知するし。

    このままミズタクが見守り系ヒロイン(笑)で終わるのか。
    またいきなり熱い男に変化するのか。

    あと2回だね。

  3. 窪田好男

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    はじめまして。
    いつも楽しく拝見しています。

    >どうも、私を心底恋焦がらせた、あの体温の低さから、突然発せられる熱を感じることができません。
    なんだか、ミズタクぬるま湯につかっている感じ・・・
    どうもここ最近のミズタクに煮え切らないものを感じます。

    ミズタク、なかなか手強い岩手と戦っていたわけですから、今の姿はひょっとして岩手に負けたミズタクなのでは、と思ったりしています。

    いつの日か、続編でこの謎が解けることを期待です。

  4. moonlight-yuca

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    ♪窪田さま、はじめまして♪

    >いつも楽しく拝見しています。
    うわぁ、とても光栄でございます。こちらこそありがとうございます。

    >今の姿はひょっとして岩手に負けたミズタクなのでは、と思ったりしています。
    なるほどです!
    ものすごく腑に落ちました。

    闘って負ける相手ならば、相手に同化して相手の力を自分の者にするというのも戦略ですものね。
    水口はぼんやりと岩手を漂っているかのように見せかけて、コハク色のシャツを着用し、岩手に愛され、あの大発見につながったのかもしれません。

    >続編でこの謎が解けることを期待です。
    同じく。
    ミサンガも切れていないですし、あくまでも「潮騒のメモリー」第一章が「あまちゃん」でしたね。
    第二章が公開されるといいですね。