プロちゃんにはなれねえし、なりだぐねえ・・・あまちゃん147回

a0192209_22444172「あまちゃん」147回。

 
いろいろあったけれども、祝★潮騒のメモリーズ復活ですね。
実はユイちゃんは「銀河鉄道」のカンパネルラみたいに消えてしまうかもしれない、と思っていましたがその予想ははずれて、ほっとしています。
「銀河鉄道」ではなく「走れメロス」でしたね。
自分を信じて待っていたセリヌンティウスのために走ったメロスのように。
自分を信じて待っていたアキちゃんのために、立ち上がるのです。
「北鉄のユイちゃん」として。

アキちゃんがアイドルになるためには、まず自分を見出すことが先決で。昨日も考察したように、自分の中の奥底に眠っていたもう一人の自分を、海に潜りウニを採ることで見つけ出したアキちゃん。
海女cafeという、自分がこの地に存在してもいいという証も建てました。
今までは自分というカラにこもっていた彼女が世界に目を向ける、そのきっかけが今週かな。
そう考えると、海=羊水というイメージだったけれども、琥珀の隧道=産道のイメージにも重ねることが出来るよね。
隧道にいるユイちゃんも、新たな自分を誕生させるのかも。(57回感想より)

以前、そんなことも考えていました。
そしてやっぱりユイちゃんはいまだにトンネルを抜け出すことはできていません。
「アイドルになりたい」とトンネルに向かって叫んだユイちゃんは、今思えば非常に意味深だったのね。
あのトンネルの先にはなにがあるのか。
ユイちゃんは、果たしてトンネルの向こうを見ることができるのか。
最終週に向けての興味はそこです、私。
アキちゃんのラブラインがどうなるか、も気になりますが。
アキちゃんはユイちゃんと並んでいるのが、誰と並ぶよりもしっくりきます(笑)
「男はできた」とアキちゃんは言いますが、あんまり生々しくないんだよな~
どこか中性的アキちゃんは、魔性のユイちゃんと一緒にいるのが似合っています。

 

 
a0192209_2246869アキちゃんとストーブさんのシーンは、「あまちゃん」のテーマを語っています。
実は私、このドラマ視聴し始めのころは「あまちゃん」というタイトルは自虐的な意味なんだろうな、と思っていましたが、むしろ「あまちゃん」でいいじゃないかという肯定的な意味でつけたんですね。

芸能界さいるど、ていうか、東京がそうなのかな。成長しねえど、怠けてるみたいに言われるべ。
でもな、成長しなきゃダメなのか、って思うんだ。人間だもの、ほっといても成長するべ。 背が伸びたり、太ったり、痩せたり、おっぱいデカくなったりな。それでも変わらねえ、変わりだぐねえ部分もあると思うんだ。
あまちゃんだって言われるかもしんねえけど、それでもいい。
うん、プロちゃんにはなれねえし、なりだぐねえ。

「成長しなくてもいい」というメッセージは斬新だけれども、額面通りうけとっちゃあ、いけないよなとも思う。
「あまちゃん」で言いたいことは、「無理して自分の自分らしさを殺すな」ということでもあるし「自分の代わりはいないんだ」ということでもある。
アキちゃんは「あまちゃん」らしさを追求して、成長するのだから。
「あまちゃん」は成長を否定するドラマではなく、「自分を追求していくドラマ」でもあるの。
アキちゃんの周囲は変化していくけれども、それは各々が自分らいさを追求していった結果なのだから。
自分が何をやりたいか、自分の戻る場所はどこか、自分とは何か、ということを考えるようになって、「自分」を見出していく物語なのだから。

 

 
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a0192209_23202394だから鈴鹿さんは、歌を追求してくんだわ。
影武者の助力で成功した「鈴鹿ひろ美」は、その歌の部分は嘘だったから。
自分の成り立ちの嘘の部分を捨て去り、影武者を使わない「鈴鹿ひろ美」を見出せないと、もう自分を信じて演技ができなくなっているのかもしれません。
自分だと思っていた自分が、実は自分でなかったという衝撃。(わかりにくい書き方ですが・・・)
春子は夏ばっぱと和解し、アキを認め、正宗さんと復縁し、そして自分の声を取り戻すことで、「天野春子」を見出した。
だから鈴鹿さんも、「移ろいやすい音程」(笑)で、自分を見出していかなくてはいけないのです。
おや、そう考えると「あまちゃん」の最後は、ユイがトンネルを抜けるか、ということと、鈴鹿さんが自分の本当の声でファンに思いを伝えるか、という自分を見出していくエピソードで終わるのかもね。
春子―アキ、鈴鹿―ユイ、春子―鈴鹿、ユイ―アキ、春子―ユイ、鈴鹿―アキ、様々な対比で物語は進んできたけれども、最後もやっぱりエピソードの対比で綺麗な構じゃないかしら。

 

 

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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