ゴーストバスターズ・・・あまちゃん133回
2013年4月29日(月)
あまちゃん133話。非常に重要な回なので煮詰まってしまった。
(「宮藤官九郎の小部屋の中の引出しの三段目の日記帖」より引用)
あの日のリアルの前には、どんなストーリーを持ってきても、太刀打ちできない、と感じています。
だって、リアルだから。受けとめられないくらいの、現実だから。真実だから。
荒廃した風景とごうごうと響く風の音の現実。
あえて「物語の力」なんて付け加えなくても、私たちは現実に打ちのめされている。
あの日からずっと。
リアルさの前での「ドラマ」の無力さなんか、クドカン始め制作者側はもちろん知っている。
それでも丁寧に言葉を紡いで、食べ物の力を132回では描く。
「ゆべし」で、「豚汁」で、作られなかった「まめぶ」で、生きている、ということを描く。
それは、笑いであり、救いであり、希望である。
宮藤官九郎が紡ごうとしている、制作者たちが紡ごうとしている「物語の力」は「ゆべし」「豚汁」「まめぶ」といった細部に宿ってくるのかもしれない。
失恋の「焼きそば」や郷愁の「ウニ丼」、再生の「ナポリタン」、初恋の「卵焼き」のように。
私たちは無力だけれども、笑いや救いや希望につながる「物語の力」=言葉の紡ぐ力を信じたい。
69回で、私は次のように考察していた。
このドラマでは、女性のなんて、強くてしたたかで、軽やかに描かれていることか。
「あまちゃん」の女性たちは、常に何かを求めて、そして飛び立っていってしまう存在なのかもしれない。
男は常に残される存在。
夏ばっぱを残して海原へと旅立つ忠兵衛さんは違うよ、と思われるかもしれませんが、忠兵衛さんは夏ばっぱが飛び立つ姿を見たくないから、先に自分が旅に出るんです。
そんな風に私には見える。
男は意外に土地に縛られていて、女は自由に境界を飛び越え、自分を探しに行く存在のような気がします。
付け加えます。
男たちは土地(価値観)に縛られながらも、全身全霊で災難に立ち向かう。
「ゴーストバスターズ!」
大吉の震えるように歌う、この歌声に思わずむせび泣いてしまう。
「電話を控えるように」という冷静なアドバイスをしながら小野寺ちゃん母の行方を捜す河島。
津波の寸前まで駅舎で待機していたであろう吉田君。
まずお客である鈴鹿さんを避難させようとする梅頭大将。
地震が起きて真っ先に少女たちを心配し、自分のキャリアにとって起死回生のイベントを冷静に「延期だ」と判断する太巻。「お前の家はここか」というアドリブ突っ込みを忘れずに。
「あまちゃん」ではトリックスター的な扱いだった男たちが、どっしりとした存在感を示し、私は安堵の涙が止まらない。
「ゴーストバスターズ」
うん。
━そこで震災自体をテーマにした物語だったら、まだ書きようがあると思うんですよ。だけど、メインのストーリーが別にある中で震災が起きる、しかも本筋は大笑いできるドラマである、っていうのは、すごく難しいじゃないですか。
「うん」
━脚本としてその正解を出して、NHKの上層部に認めさせて、最終的には日本中の視聴者に認めさせなきゃいけない。そのあまりのハードルの高さにビビんなかったですか?
「ビビってますよ、今も。ビビってるし、登場人物の人たちも・・・・・・今まで想像して演じてたのに、今度は自分が体験した瞬間を演じるわけで。だから、そこで自分に刺さってくる感じが、やっぱり今までとは違うって言ってて。でも、そういう中で『あまちゃん』で何か言えることがあるとしたら・・・・・・それでも人は笑いを求めるというか、それでも人は救いを求めるというか、希望を求める。
それは時として不謹慎な言葉になったりすることがあっても、それでもやっぱり笑いたい、笑って元気になりたいんだよ、っていうことは、言えるんじゃないかなっていうか、言わなきゃいけないんじゃないかなって思って」
(cut 2013.8月号 「宮藤官九郎、決意の作品『あまちゃん』を語る」 より引用)
Ghostbusters!
If there’s something strange in your neighborhood
Who you gonna call?
Ghostbusters!
If there’s something weird and it don’t look good
Who you gonna call?
Ghostbusters!
I ain’t afraid of no ghost
I ain’t afraid of no ghost
If you’re seeing things running through your head
Who can you call?
Ghostbusters!
An invisible man sleeping in your bed
Oh, who you gonna call?
Ghostbusters!
I ain’t afraid of no ghost
I ain’t afraid of no ghost
Who you gonna call?
Ghostbusters!
If you’re all alone, pick up the phone
And call
Ghostbusters!
I ain’t afraid of no ghost
I hear it likes the girls
I ain’t afraid of no ghost
Yeah, yeah, yeah, yeah
Who you gonna call?
Ghostbusters!
If you’ve had a dose of a freaky ghost
You’d better call
Ghostbusters!
Let me tell you something
Bustin’ makes me feel good
I ain’t afraid of no ghost
I ain’t afraid of no ghost
Don’t get caught alone, oh no
Ghostbusters!
When it comes through your door
Unless you just want some more
I think you better call
Ghostbusters!
Ow!
Who you gonna call
Ghostbusters!
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>「あまちゃん」ではトリックスター的な扱いだった男たちが、どっしりとした存在感を示し、私は安堵の涙が止まらない。
私が思っていたことは、これ↑でした。
いつもすばらしい文章をありがとうございます。
杉本哲太の写真アップもありがとうございました。
ブログをあけたとき、この写真が飛び込んできて、うれしかった。
この回は、ここですよね。
あの表情、あの目はすばらしかった。
TVみているときは泣けなかったけど、このブログで泣いちゃいました。
SECRET: 0
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♪Panyさん、コメントありがとうございます♪
・・・いや、本当に毎朝泣いています。
>いつもすばらしい文章をありがとうございます
いえいえ(汗;;) 全然的外れな文章かもしれませんが・・・
133回は、杉本哲太ですよね!
あのシーンは、悲しみと絶望と当惑と、でも駅長だから自分はここで踏ん張らなくちゃという大吉さん。
鳥肌が立つほど見事な演技でした。
悲しみがダイレクトに視聴者に伝わりました。
昨日から、大吉さん見るだけで泣ける。
無精ひげを生やしながら「走らなくちゃなんねえのだ」って。
いざと言う時に意地を見せる人間は、かっけ~です。
男のダンディズムです。