Weddingdress for death・・・愛なんていらねえよ4

「愛なんていらねえよ、夏」LAST4再視聴。

 
韓国ドラマ「その冬、風が吹く」の視聴の前に、原作の「愛なんていらねえよ、夏」を復習しようと思ったのが、去年の夏(笑)　全然復習が進んでいなくて、しかも「その冬、風が吹く」がいよいよ2月から放映開始ということであわてて、再視聴しています。
「その冬、風が吹く」のティーザーを見る限りでは、かなり原作に忠実にリメイクしているような気がします。
「愛いら」の脚本家は、龍居由佳里さん。「星の金貨」、「ストロベリーナイト」の脚本家ですね。
彼女の中でも最高傑作の一つだと思うのですが、視聴率が低かった・・・　平均7.8%ということでTBSでは大失敗なドラマという烙印を押されています。
しかし、10年たった今でもこのドラマについて熱く語るファン(私もその一人です)がいるし、韓国では映画やドラマにリメイクされるという、支持を受けているドラマ。
本当に贅沢なドラマで、オールロケ（！）、ワンシーンに100カット以上撮影。金喰い虫のドラマだっと聞いております。それであの視聴率だから・・・
鎌倉(や湘南、歌舞伎町)を舞台にそれは、それは息も詰まるような心理劇を展開していったの。このドラマが視聴者に支持されなかった理由は、色々あるのでしょうが、その一つに心理劇ということがあげられるのかな。登場人物の心は決してドラマで語られることがない。それぞれの登場人物の気持ちを、視聴者は推測していかないといけない。そういう意味で分かりにくいドラマだったのかも。
全てを語り視聴者に考えさせないドラマが多い中、決して語らず、ドラマの余白を視聴者が考えないといけないドラマだったの。不親切なドラマ。だからこそ、マニアが生まれるドラマです。
私は、そういうドラマの方が好きなのですが・・・
最近では「世界のどこにもいない優しい男」もそうでした。
本当に脚本一つ一つが、練られていて、見るたびに気付くのよね～、いろいろなメタファーに。

レイジ：「そういえばね、レイジさんてね、捨てられてたらしいよ、ゴミ箱に。…生まれてすぐ、ゴミ袋に入れられて、捨てられちゃったんだって」
亜子　：「嘘！」
レイジ：「…嘘に決まってるよねぇ。…そんなんで、生きていられるわけないじゃんねえ。…まだヘソの緒ついてたってんだよ。…ありえない。…そういう嘘をね、平気でつく人」

と語りながらレイジはゴミ箱から猫を拾って、逃がしてやる。
この猫もメタファーでね。ゴミ箱に捨てられたレイジの心なのかもしれない。ずっと長い間ゴミ箱にレイジの心は残っていて、救ってもらうのを待っていたんだ。
猫は外の世界に出ることができた。そして、レイジの心も、偽りの嘘の海から本当の愛を求めていくのだ。
このシーンなんて、なんてことないのだけれども、さまざまな意味が隠されていて、深いわ～

 

奈留（藤原竜也）の亜子（広末涼子）に対する思いも複雑で。
レイジを自分から奪ってしまう憎い女、だがレイジが大切にしている女だから自分もレイジと同じように大切にもしてあげたい。レイジを敬愛するあまりレイジの行動を真似したいのだから。
奈留の行動はダブルバインドで、狂おしく演じてくれた藤原竜也ｸﾝはこの時20歳。ゾクゾクきました、奈留には。
「その冬」では奈留役をキム・ボムが演じるんだよね。「パダムパダム」でもガンチル（チョン・ウソン）とのちょっと女子には入り込めない（笑）男の友情を演じてくれてたのを思い出し、期待しています。

 

DVDのコメンタリーで渡部篤郎氏が語っていました。
「最初は騙そうと思って、少し信用してくれると嬉しくて、全部信用してくれると苦しかった」
演じている渡部さんも辛かったらしいこの7話（LAST4)　視聴者はどこでレイジの心が変わっていったのか、自分で推測していかないといけないので、このドラマ難しいのだろうな。
でも、それが、本当に「愛なんていらねえよ、夏」の魅力なんです。
引き算でみせているドラマ、かな。セリフは、極力削っていて、最小限で、説明はほとんどない。
自分で考えないといけないドラマ。