イニョン王妃の男

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イニョン王妃の男 The Queen Inhyun’s Man 全16話 (2012年 韓国tvN)

 

■演出:キム・ビョンス
■脚本:ソン・ジェジョン/キム・ユンジュ
■キャスト:
チ・ヒョヌ(キム・ブンド)
ユ・インナ(チェ・ヒジン)
キム・ジヌ(ハン・ドンミン)
カ・ドッキ(チョ・スギョン)
【あらすじ】
時は朝鮮王朝時代。王からの命を受け、密かに南人の動きを監視していた弘文館(官庁)の校理(正五品の官職)であるキム・ブンド(チ・ヒョヌ)は、彼らがイニョン王妃の暗殺計画を立てていることを知る。それを必死に食い止めようとしていたブンドは、自分の身に危険が迫った瞬間、現代にタイム・スリップしてしまう。一方、現代の韓国。売れない女優のチェ・ヒジン(ユ・インナ)は、ドラマ『新・張禧嬪(チャン・ヒビン)』でイニョン王妃役に抜擢される。そして300年の時を超えてタイム・スリップしてきたキム・ブンドと出会い…。

 


もうね、スーパーミラクルカワユイお話でした。パーフェクトなラブロマンス。
笑顔とドキドキと、号泣を与えてくれました。スリル、ロマンス、スピードそしてメロの配合が絶妙なドラマ。
このドラマを見る前に、チ・ヒョヌくんの「舞台の中心で愛を叫んだ」件を知っておりましたので、演技なのか素なのか、疑っている自分がいましたもの~
もうね、もうね、なんだか主役の2人がかわゆくて、もう、それでいいんじゃないのかしら。
そんなことを思いながら視聴したのよね。
チ・ヒョヌくん、ユ・インナちゃんが、もう体質的に合わない・・・という方はリタイア必須かもしれませんが、そうでなければ、気楽な感じで楽しめるドラマだと思います。
私はインナちゃんは、(超美人じゃないのに)すごいしぐさ、喋り方がかわゆくって大好きなんですよね。「シガ」の時から。だから彼女が画面に出ているだけで大満足♪
序盤の展開はちょっと退屈でしたが、そこを乗り越えれば後は一気にラストまで怒涛の展開。
昨今流行りの「タイムスリップもの」としては「イニョン王妃」は異色ですね。
過去から現代にタイムスリップという、同じ題材を扱った「屋根部屋の皇太子」(現在視聴中デス)と比較すると、その異色さがはっきりします。
おそらく過去→現在のタイムスリップの要の一つには、カルチャーショックだと思われる訳です。
「屋根部屋」は典型的だけれども、現代に来て何が何だかわからないタイムスリーパーたちの右往左往ぶりがコメディになって、序盤を引っ張って行くのよね。
ところが、「イニョン王妃の男」のタイムスリーパー、ブンドは、COOLなのよ~
淡々としている、ポーカーフェイス、泰然としている・・・決してあわてたそぶりは見せない。想像を絶する世界に自分が置かれているのに、慌てず、その環境に順応していくの。
常にどんな世界に身を置こうと、彼は動揺しない。
異色だよね~ 普通は慌てふためくと思うのですが、冷静です。
きちんと現代に順応するために服を盗む(いつもきちんとサイズがあった、おしゃれな服を盗んでいます・爆)
あっという間に電話も一人で掛けれるし、お金も工面する。
視聴していて、ちょっとこんなところが違和感だったりしました。「えっ、そんなに順応しちゃっているよ」って。
タイムスリップのからくりも、さっさと自分で解明して、自由自在に時を行き来する。

 

 
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しかし、このドラマのミソは、過去と現代の対比によって、社会の問題をあぶり出す・・・ということでもなく、ただただロマンスであるということなんだろうな。
だから、ロマンスのヒーローとしてブンドは格好悪くっちゃいけないの。慌てふためいちゃいけないし、むしろヒロインのヒジンが頼れる存在でないといけないのよね。
ロマンスとして考えると、見栄えが良く、頭が良く、性格も穏やかで、頼りがいがあり、しかし、自分がいないと生きていけない・・・なんてヒーローの存在は、まさに少女マンガの典型で胸がキュンってなるものね~
とにかくブンドはヒジンだけが、現代社会の知り合いなのだから、彼女を頼るわけです。
まさにその状態が「吊り橋効果」で、そんな2人が恋に落ちるのは、当たり前のこと。
そんな2人のべたべた甘甘状態を、こっちもにっこりしながら、楽しむのがこのドラマの視聴方法でしょう。
「イニョン王妃の男」とはどういう意味なのか。
韓ドラでありがちの悪意で2人を引き裂く脇役というのも登場せずに、そこら辺はストレスフリー。
ここでは「時」が2人を引き裂くので、どうしようもない障害に私たちは切なく胸を痛めたりします。
COOLなブンドが、初めて膝を屈し、涙を流す終盤では、切なさクライマックス。
クリネックスを用意しておくべきです!
続きはネタバレ。

 

 

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二人を引き裂く障害として「時」と「記憶喪失」が何度も出てきます。
タイムスリップのお札に何かあると、2人は記憶を失うのよね。しかし、「記憶」=その人の今まで生きてきた積み重ね(その人そのもの)であるから、ブンドが、ヒジンが、自分らしく生きる・・・ということはすなわち記憶を蘇らせるということになる訳です。
だから彼らは何度でも記憶を失い、何度でも記憶を蘇らせる。
自分が自分であるためには、2人が愛し合った記憶が必要だから。
そこらへんの設定が甘いと、言えばそうなのでしょうが、逆にそこに愛の強さを感じさせる仕組みになっているんだろうなぁ。
お札とは、ユンウォルのブンドへの愛でもある訳です。彼のことを愛し、想い、準備したもの。
だから、ヒジンがブンドを愛し、彼のために用意した、あるものが、16話で生きてくる。ブンドの命を救うために。ここら辺は号泣でしたもの、ワタクシ。
本当に、パーフェクトな、カワユイ、ドラマでした。
ラストシーンのスギョンのブンドへの3回目の質問には大爆笑!もう最高ですね。スギョンってぶれないわ(爆)
「大学はどこ?」「どこに住んでいるの?」「ご両親は何をしているの?」
300年の時が二人を隔てようとも、やっぱり縁ってものはあるんだなぁ。
今、私の横にいるひとたちだって、300年の時は経ていないけれども(爆)、ものすごく縁があってここにこうして一緒にいるんだよなぁ、と自分を振り返って、なんだか暖かい気持ちになれたそんなドラマだったなぁ。

 

★★★★★

その時々の、私の心の琴線に触れたモノ・・・ 小説や、映画、音楽、ドラマ、ファッションについてだけの簡単な備忘録。 Everything was beautiful and nothing hurt.

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  • コメント ( 8 )

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  1. pumson

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    ご無沙汰してます。
    星5 ついてますが・・・よかったですか?どうしてもチ・ヒョヌ氏が苦手なんですけど付いていけますでしょうか見てみたい気持ちもあるんですけど・・・ピとかチェ・ダニエルあたりは全然大丈夫なんですけどチ・ヒョヌとチョン・ギョウンはなんかだめなんです。千回のキスはリタイアでした。う~ん星5ですか。
    ところで話は変わりますが、とっても懐かしい名前が~ 氷室冴子・なんて素敵にジャパネスク 私リアルタイムで読んでましたわ。(おっと歳がばれてしまいますが)太陽を抱く月から掘り下げてこちらにたどり着くとは、驚きです。感想とか読ませてもらっていると読書がお好きなんだろうなあ。というのがわかります。これからも韓国ドラマを見るうえでの参考(おもしろいドラマの選別)にさせてもらいたいので、卒直な感想をどんどんアップしてくださいませね。

  2. moonlight-yuca

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    ♪ pumsonさん、コメントありがとうございます♪

    ★5はちょっと甘め評価ですかしらん。しかし、私の評価はいい加減なので(爆) OMG★5が最高評価なので、中の上(上の下)といった意味合いですね~
    何しろユ・インナちゃんが好きなので、甘いです、評価(笑)

    ヒョヌ君の魅力は私にもちっともわかりません・・・
    このドラマにおいてもかなりポーカーフェイスです。しかしですね、こなんだか最終回に向かうにつれ、彼のリアルさがドラマににじみ出ているんですよ。「インナちゃん大好き」といったlove光線が。
    そういう意味でも、このドラマちょっと稀有かもしれない。
    役者の本気度が、だんだん視聴者に伝わってくるという(爆)

    ドラマとしての評価というより、若い2人を応援する気持ちがつけた★5ですね♪
    しかし、この主演の2人が苦手な方は、リタイアする確率が高いドラマだとも思うわけです。変なドラマですよね。

    >卒直な感想をどんどんアップしてくださいませね
    ありがたいお言葉を下さって嬉しい。
    時々、自分が的外れな感想を書いている気がして落ち込むこともありますが、読んでくださって楽しんでくださったら、感激です♪

  3. momo

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    いや~、見終わって思ったのは「ガチ」。

    チ・ヒョヌは、オーバー・ザ・レインボーで昔見て以来ですが、その時からこの人は知らないうちに異業種にさらっと転身するのではないかしらと思ってしまったのですが、(悲愴感がないし)いい役に巡り合えてよかったです。

    ケーブル局のドラマはいいですね。
    親や見てると疲れる2番手がいなくて、集中できました。
    うん、よかったです。

  4. moonlight-yuca

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    ♪momoさん、コメントありがとう~♪

    ガチでしょ、ガチ。もう彼らのカチの前には、ストーリが陳腐だとか、演技がどうとか、エラソーなこと言えません。
    ただただ、にっこりして、幸せになるんだよ~みたいな目線で視聴していました。

    >いい役に巡り合えてよかったです
    ヒョヌくんって、淡々としているんですよね。俳優という職に執着がないような気がする。そんな彼が、執着できる人に出会えて、よかったね、と思います。
    この2人が別れる・・・ことになってしまったら、このドラマの魅力は半減するのじゃないかしら。そんな気がします。

    ケーブル系ドラマは、面白いですよね。あまり視聴率にこだわらなくていいからかな、肩の力が抜けた面白い作品がたくさんありますよね。次に気になるのは「応答せよ」です。

    辛口のmomo師匠が、「よかった」との感想なのでホッとしました(笑)
    ってか、いつのまにか「ジャクギ」からすっかり足を洗われていたのね(爆)

  5. momo

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    「ジャクギ」の余韻よりもHDDの容量という、現実が迫ってきたので只今ヤミ鍋状態なんです。

    こちらで初めて知った「芙蓉千里」ⅠからⅢまで一気に読んでしまいました。引き込まれて一気でした。

    おすすめの本がありましたら、またよろしくお願いします。

  6. moonlight-yuca

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    ♪momoさん、どもども~です♪

    >只今ヤミ鍋状態なんです。
    あはは、そうそう、切羽詰まってくるんですよね~。なんだか溜まってくるとバサバサと未視聴のドラマを削除していっちゃってます、私も。

    「芙蓉千里」、おおお、須賀しのぶに行かれましたか。
    いいですよね、彼女の作品。少女小説のカテゴリーにずっとくくられてきていましたが、少女小説にありがちな甘い幻想が一つもないところがいいです。
    ものすごく、ヘビーでシビアでビター。
    ヒロインに対しても、どこか突き放して書かれていますよね。
    少女コバルトの時から、コバルトで浮いているのじゃないかしらと、いつもいらぬ心配をしていましたが、やっぱり一般に活動を広げられて、嬉しいです。
    「流血女神」シリーズも好きですが、入手できないのよね~

    辻村深月の「ぼくのメジャースプーン」は読まれましたか?
    思春期の戸惑い、自分と世界との闘い、果てしない孤独、理不尽な恐怖、冷酷な優しさ。主人公たちは襲ってくる理不尽な悪意に屈することなく、光に眼差しを向けていく、傷つけられないように。この本をカフェで読んでいて、ラスト、私、人前で号泣しました。

  7. fiona

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    yucaさま、

    本当にいつも丁寧にお返事を書いてくださって恐縮です。
    ムダに書き込みするのも悪いんですが、私がこちらに
    お邪魔するきっかけとなったドラマにはやっぱりコメントを
    残したかったので。

    星5つですね!去年見たドラマで間違いなくNo.1です。
    よく出来た脚本ですよね。笑わせてくれて、号泣させてくれて、
    このドラマ、何度見たかわかりません。
    全く期待してなかったんです。出演者にも興味なかったですし。
    愛がテーマで最後までぶれなかったのが素晴らしい!
    ハリーに惚れたのか、スンホに惚れたのかわけわからなくなった
    私ですが、こちらでははっきりと言えますね。ブンドに惚れました~!

    屋根部屋も面白かったですが、韓ドラ的要素がてんこもりに
    詰め込みすぎで、こちらはその要素が最小限だったのも
    スッキリとしていた要因ですかね?

    でもまあ、監督版のラストシーンを某動画サイトでみましたが、
    あれはちょっと・・・。テレビで流れなくて良かったです。

  8. moonlight-yuca

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    ♪fionaさん、コメントありがとうございます♪

    >ムダに書き込みするのも悪いんですが
    えええーっ、そんなことないですよ!頂いたコメントは私の宝物だし、皆さまの色々なご意見を教えてもらって、「そういう見方がこのドラマできるんだ~」と新鮮な驚きを味わっていますもの。

    >ブンドに惚れました~!
    「イニョン王妃の男」は昨年のダークホースですよね。
    本当に面白かったし、可愛かったし、切なかった・・・
    チ・ヒョヌくんって、カッコイイと思ったことなかったのですが、ブンドはカッコよかった!
    飄々として、しかし、一途でしたよね。
    もう途中から役柄なのか、素なのか、わからないくらいラブラブビームが発射されていて、恋に落ちる様子がリアルにわかってドキドキしましたもの。

    おっしゃる通り、ストーリーもすっきりして、わかりやすかったのも良かったです。

    >でもまあ、監督版のラストシーンを某動画サイトでみましたが
    おおお、違うのですか!?
    なんとっ!知りませんでした。

    ・・・・・

    早速ググってみました。
    な、なんと、露骨ですね~(爆)